上 下
131 / 150
スマイル39

愛夜・4

しおりを挟む
 
「で、返事は? 俺のものになってもいいか、イエスかハイか、どっちだよ!」

「さっきも言ったけど、どっちもイエスじゃない・・・・もうっ・・・・バカ、王雅のバカっ! 私をこんな気持ちにさせて・・・・もしも裏切られたりしたら・・・・私、この先、どうしたらいいのよっ」

「裏切らない。絶対、大丈夫だ。この胸を切り裂いてお前への信用が証明できるなら、俺は幾らでも、喜んで見せてやる」

「でもっ、本当に私で大丈夫なの!? 貴方には私なんかよりも、もっと素敵な女性だって、貴方に相応しい家柄の女性だって沢山いるでしょう?」

「まだそんな事言うのかよ。もう、お前にどー言ったら通用するんだ! 俺はな、自慢じゃねーけど、淋しがり屋で嫉妬深くて、それから・・・・生まれつきエラソーで性格王様だし、楽しみな事があったら全然眠れない、子供みたいな男なんだよ! こんな面倒な男、その辺の女が簡単に扱えるワケねーだろ! 子供扱うプロのお前じゃなきゃ、美羽。お前しか俺の手綱は取れねーんだ。お前だってその事、解ってんだろ! 俺を扱えるのは、自分しかないって思ってんだろ! 違うのかよっ」

 俺の言葉に、美羽が俯いた。

「俺が欲しいって、言ってくれよ。俺の事、好きになってくれたんだろ? だったら俺が一生、誰よりもお前を愛してずっと傍で守ってやる。だからお前も俺の事を一生愛して、傍で守ってくれ。俺達、淋しいモン同士じゃねーか。お互いを大切に思い合える事、誰よりも理解してんだろ。俺は絶対、お前を裏切ったりしねーよ。俺だってお前に捨てられたり、裏切られたらって思ったらスゲー怖いけど、美羽は絶対そんな事しない女だって、俺だけを大切にしてくれるって、信じてるから。だから――」



 彼女を抱きしめ、しっかりとその瞳を見つめながら、俺は精一杯の気持ちを伝えた。





「俺と、結婚してくれ。美羽、愛してる」





 美羽が息を呑んだ。大きな瞳を更に大きく見開いて、震えていた。


 彼女の瞳に再び涙が浮かび、ポロポロと零れ落ちていった。


 


「――はい」




 震えた掠れた声で俺にそう告げると、美羽は顔を覆って泣き出した。
 俺はその手を取って、美羽の涙を優しく拭って頬に口づけた。「何で泣くんだよ」

「だって・・・・」

「もう泣くな。泣く事なにもねーだろが」

 美羽を強く抱きしめて、この腕の中に閉じ込めた。
 髪を撫で、お前が欲しいって、俺だけのものになってくれるか、って彼女の耳元で囁いた。

 抱きしめた腕を解いて彼女を見つめると、潤んだ瞳で俺を見つめ返してくれている。


 美羽は少し照れながら微笑んで、はい、と深く頷いてくれた。「私を、貴方だけのものに・・・・してください」


「美羽――・・・・」


 頬に手を当て、美羽に深く口づけた。


 お前に伝わるかな。俺のこのキモチ。


 お前への愛が、溢れて仕方ない。
 美羽が、愛しくて、愛しくて、しょうがないんだ。


 こんなにも、お前への気持ちが溢れてるって、俺自身でも驚く程なんだ。



 だから、これからはお前を一生かけて、愛してやるから。
 絶対、何が何でも、幸せにしてやるから。


 ようやくお前を手に入れたんだ。



 離してくれっつっても、もう、絶対に離してやんねーからな――・・・・





 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

【完結】婚約者に忘れられていた私

稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」  「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」  私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。  エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。  ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。  私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。  あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?    まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?  誰?  あれ?  せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?  もうあなたなんてポイよポイッ。  ※ゆる~い設定です。  ※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。  ※視点が一話一話変わる場面もあります。

本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます

結城芙由奈 
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います <子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。> 両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。 ※ 本編完結済。他視点での話、継続中。 ※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています ※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

もういいです、離婚しましょう。

杉本凪咲
恋愛
愛する夫は、私ではない女性を抱いていた。 どうやら二人は半年前から関係を結んでいるらしい。 夫に愛想が尽きた私は離婚を告げる。

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...