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スマイル39
愛夜・4
しおりを挟む「で、返事は? 俺のものになってもいいか、イエスかハイか、どっちだよ!」
「さっきも言ったけど、どっちもイエスじゃない・・・・もうっ・・・・バカ、王雅のバカっ! 私をこんな気持ちにさせて・・・・もしも裏切られたりしたら・・・・私、この先、どうしたらいいのよっ」
「裏切らない。絶対、大丈夫だ。この胸を切り裂いてお前への信用が証明できるなら、俺は幾らでも、喜んで見せてやる」
「でもっ、本当に私で大丈夫なの!? 貴方には私なんかよりも、もっと素敵な女性だって、貴方に相応しい家柄の女性だって沢山いるでしょう?」
「まだそんな事言うのかよ。もう、お前にどー言ったら通用するんだ! 俺はな、自慢じゃねーけど、淋しがり屋で嫉妬深くて、それから・・・・生まれつきエラソーで性格王様だし、楽しみな事があったら全然眠れない、子供みたいな男なんだよ! こんな面倒な男、その辺の女が簡単に扱えるワケねーだろ! 子供扱うプロのお前じゃなきゃ、美羽。お前しか俺の手綱は取れねーんだ。お前だってその事、解ってんだろ! 俺を扱えるのは、自分しかないって思ってんだろ! 違うのかよっ」
俺の言葉に、美羽が俯いた。
「俺が欲しいって、言ってくれよ。俺の事、好きになってくれたんだろ? だったら俺が一生、誰よりもお前を愛してずっと傍で守ってやる。だからお前も俺の事を一生愛して、傍で守ってくれ。俺達、淋しいモン同士じゃねーか。お互いを大切に思い合える事、誰よりも理解してんだろ。俺は絶対、お前を裏切ったりしねーよ。俺だってお前に捨てられたり、裏切られたらって思ったらスゲー怖いけど、美羽は絶対そんな事しない女だって、俺だけを大切にしてくれるって、信じてるから。だから――」
彼女を抱きしめ、しっかりとその瞳を見つめながら、俺は精一杯の気持ちを伝えた。
「俺と、結婚してくれ。美羽、愛してる」
美羽が息を呑んだ。大きな瞳を更に大きく見開いて、震えていた。
彼女の瞳に再び涙が浮かび、ポロポロと零れ落ちていった。
「――はい」
震えた掠れた声で俺にそう告げると、美羽は顔を覆って泣き出した。
俺はその手を取って、美羽の涙を優しく拭って頬に口づけた。「何で泣くんだよ」
「だって・・・・」
「もう泣くな。泣く事なにもねーだろが」
美羽を強く抱きしめて、この腕の中に閉じ込めた。
髪を撫で、お前が欲しいって、俺だけのものになってくれるか、って彼女の耳元で囁いた。
抱きしめた腕を解いて彼女を見つめると、潤んだ瞳で俺を見つめ返してくれている。
美羽は少し照れながら微笑んで、はい、と深く頷いてくれた。「私を、貴方だけのものに・・・・してください」
「美羽――・・・・」
頬に手を当て、美羽に深く口づけた。
お前に伝わるかな。俺のこのキモチ。
お前への愛が、溢れて仕方ない。
美羽が、愛しくて、愛しくて、しょうがないんだ。
こんなにも、お前への気持ちが溢れてるって、俺自身でも驚く程なんだ。
だから、これからはお前を一生かけて、愛してやるから。
絶対、何が何でも、幸せにしてやるから。
ようやくお前を手に入れたんだ。
離してくれっつっても、もう、絶対に離してやんねーからな――・・・・
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