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スマイル22
お菓子の家・2
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あのな、美羽。そんなことされたら、期待しちまうだろ。
そんな行為で誘って、俺のモンになってもいいってサインかなって、勘違いすんだろが!
クソッ。
なんでこんなに、お前にばっかり俺様がドキドキさせられなきゃいけねーんだ!
ああもう、腹立ってきたっ!!
俺様をこんなに我慢させやがって!
決めたぞ。
お前を手に入れた時、絶対に焦らして苛めまくって、嫌だっつっても絶対やめてやんねーからな!
お前の事メチャメチャに愛した時、泣いて赦してくれって言っても、絶対ぜーったいに赦さねーからな!! 覚悟してろよっ!
サンドウィッチを食べ終わったから美羽に礼を言い、再度支度をして施設を出ようとすると、美羽とガキ共が、玄関で待っていてくれた。
「お兄さん、行ってらっしゃーい!」
「早く帰って来てねー!!」
「おーたん、ちゃーい」
「王雅、行ってらっしゃい。気を付けてね」
もう、お前等、最高だ。
俺は全員を抱きしめた。
「ああ、行って来る。すぐ帰ってくるからな! 今日はスゲーもんが施設に来るから、楽しみにしてろよ!」
満面の笑みで行ってきますを伝え、施設を出た。
いいな。行ってらっしゃいって。
例のごとく俺は機械的に、行ってらっしゃいませ、お坊ちゃま、としか言われたことがねーから、スゲー嬉しいんだ。
やっぱ、思った通りだな。
お前等が、いってらっしゃいとか、お帰りとか言ってくれるだけで、俺はどんな仕事でも頑張れる。
さあ、キングフェザー初契約だ。
気合入れてやるぜ!!
※
横山の工場に行くと、彼は俺の到着を工場の入り口に立って待っていた。
何もそんな、入口で待たなくてもいいのに。
工場敷地内の駐車スペースに自分の車を停めて中から降りたら、すぐさま横山が駆け寄ってきた。
「櫻井さん、朝早くから、私の為にご足労をかけて申し訳ありません」
「気にしないでください。それより、暑いから中で待っていて下さればいいのに」
「こちらの都合で来ていただくのです。中で待つなんて、とんでもない」
とんでもなくないって。一体何時から待ってたんだ、このオヤジは。
まだ朝とはいえ、八時も超えると日差しだって暑くなってくだろ。こんな暑い中外で待ったりして、熱中症で倒れたらどーすんだよ。全く。
早めに来て良かったぜ。
「こちらです。どうぞ、行きましょう」
俺は横山に案内される形で、工場の事務室に向かった。
簡易的な小さな机や椅子が置いてあった。向かい合って座ると、早速契約書に判を押すための印鑑を用意してきたから、作成した契約書に判を押した。
俺の方の印鑑が無い旨の説明と、振込の件は伝えた。既に手配したと言ったら、横山のオヤジ、また泣きやがった。
まあ、気持ちはわかる。大切な城がもう少しで売却され、人手に渡り、自分のものでなくなってしまう苦しみは、計り知れないものがあるからな。
こう言っては何だけど、俺も経験あるんだぜ。
ビジネスを始めたころ、俺が初めて立ち上げた会社が、最初はトントン拍子で上手く行っていたけど、突然の連鎖倒産の影響で、立ち行かなくなったことがあったからな。
あの時は、まあ、こんな言い方しちゃあ顰蹙(ひんしゅく)モンだけど、櫻井グループに入社して、初めての練習台の会社だったわけだ。マイナスが出たけど、俺は他で、それ以上の利益を上げて損失自体は防いだけど、いくら練習台とはいえ、ショックだったからな。初めて自分が作った会社が潰れるっつーのは。
ただ、この悔しさは経験しておいて良かったと思ってる。
じゃなきゃ、城を手放そうとしている奴等の気持ちがわからなくて、寄り添う事ができなくなっちまうからな。
一通り契約書を確認してもらい、横山の方には印鑑を押してもらった。
不完全だが、仮契約書として俺と横山で一通ずつ契約書を持った。
明日には、きちんと契約書が完成する。何事も無ければ良いけどな。
俺も結構心配性な所があるから、特に書面関係はきっちり完璧にやっておきたいけど、この先、色々と仕方のない時も出てくんだろーな。
早く地盤を固めよう。さっさと行動して、自分の城は自分で守るんだ。
今までは櫻井グループが後ろ盾であったけど、これからはそんなモンは無いと思わなきゃいけねえ。
自分の力だけで、何でもやり遂げ、成功させていかなきゃならないんだ。
俺も、気合入れよう。
まずは第一歩だ。明日、ケリがつく。
それまでは、やれることはやったんだから、静観するしかない。
今日はここで仕事終わりだ。さあ、帰ってガキ共といっぱい遊ぶぞ。
手配しておいたお菓子の家が、今日施設に届くんだ。
午前十時に業者が来る。時間はまだ九時過ぎだから、今から帰っても十分間に合うな。
ガキ共、どんなに喜ぶだろう。
スッゲー嬉しいって、笑ってくれるかな。
早く帰ろう。
あったかい、俺の好きな場所へ。
そんな行為で誘って、俺のモンになってもいいってサインかなって、勘違いすんだろが!
クソッ。
なんでこんなに、お前にばっかり俺様がドキドキさせられなきゃいけねーんだ!
ああもう、腹立ってきたっ!!
俺様をこんなに我慢させやがって!
決めたぞ。
お前を手に入れた時、絶対に焦らして苛めまくって、嫌だっつっても絶対やめてやんねーからな!
お前の事メチャメチャに愛した時、泣いて赦してくれって言っても、絶対ぜーったいに赦さねーからな!! 覚悟してろよっ!
サンドウィッチを食べ終わったから美羽に礼を言い、再度支度をして施設を出ようとすると、美羽とガキ共が、玄関で待っていてくれた。
「お兄さん、行ってらっしゃーい!」
「早く帰って来てねー!!」
「おーたん、ちゃーい」
「王雅、行ってらっしゃい。気を付けてね」
もう、お前等、最高だ。
俺は全員を抱きしめた。
「ああ、行って来る。すぐ帰ってくるからな! 今日はスゲーもんが施設に来るから、楽しみにしてろよ!」
満面の笑みで行ってきますを伝え、施設を出た。
いいな。行ってらっしゃいって。
例のごとく俺は機械的に、行ってらっしゃいませ、お坊ちゃま、としか言われたことがねーから、スゲー嬉しいんだ。
やっぱ、思った通りだな。
お前等が、いってらっしゃいとか、お帰りとか言ってくれるだけで、俺はどんな仕事でも頑張れる。
さあ、キングフェザー初契約だ。
気合入れてやるぜ!!
※
横山の工場に行くと、彼は俺の到着を工場の入り口に立って待っていた。
何もそんな、入口で待たなくてもいいのに。
工場敷地内の駐車スペースに自分の車を停めて中から降りたら、すぐさま横山が駆け寄ってきた。
「櫻井さん、朝早くから、私の為にご足労をかけて申し訳ありません」
「気にしないでください。それより、暑いから中で待っていて下さればいいのに」
「こちらの都合で来ていただくのです。中で待つなんて、とんでもない」
とんでもなくないって。一体何時から待ってたんだ、このオヤジは。
まだ朝とはいえ、八時も超えると日差しだって暑くなってくだろ。こんな暑い中外で待ったりして、熱中症で倒れたらどーすんだよ。全く。
早めに来て良かったぜ。
「こちらです。どうぞ、行きましょう」
俺は横山に案内される形で、工場の事務室に向かった。
簡易的な小さな机や椅子が置いてあった。向かい合って座ると、早速契約書に判を押すための印鑑を用意してきたから、作成した契約書に判を押した。
俺の方の印鑑が無い旨の説明と、振込の件は伝えた。既に手配したと言ったら、横山のオヤジ、また泣きやがった。
まあ、気持ちはわかる。大切な城がもう少しで売却され、人手に渡り、自分のものでなくなってしまう苦しみは、計り知れないものがあるからな。
こう言っては何だけど、俺も経験あるんだぜ。
ビジネスを始めたころ、俺が初めて立ち上げた会社が、最初はトントン拍子で上手く行っていたけど、突然の連鎖倒産の影響で、立ち行かなくなったことがあったからな。
あの時は、まあ、こんな言い方しちゃあ顰蹙(ひんしゅく)モンだけど、櫻井グループに入社して、初めての練習台の会社だったわけだ。マイナスが出たけど、俺は他で、それ以上の利益を上げて損失自体は防いだけど、いくら練習台とはいえ、ショックだったからな。初めて自分が作った会社が潰れるっつーのは。
ただ、この悔しさは経験しておいて良かったと思ってる。
じゃなきゃ、城を手放そうとしている奴等の気持ちがわからなくて、寄り添う事ができなくなっちまうからな。
一通り契約書を確認してもらい、横山の方には印鑑を押してもらった。
不完全だが、仮契約書として俺と横山で一通ずつ契約書を持った。
明日には、きちんと契約書が完成する。何事も無ければ良いけどな。
俺も結構心配性な所があるから、特に書面関係はきっちり完璧にやっておきたいけど、この先、色々と仕方のない時も出てくんだろーな。
早く地盤を固めよう。さっさと行動して、自分の城は自分で守るんだ。
今までは櫻井グループが後ろ盾であったけど、これからはそんなモンは無いと思わなきゃいけねえ。
自分の力だけで、何でもやり遂げ、成功させていかなきゃならないんだ。
俺も、気合入れよう。
まずは第一歩だ。明日、ケリがつく。
それまでは、やれることはやったんだから、静観するしかない。
今日はここで仕事終わりだ。さあ、帰ってガキ共といっぱい遊ぶぞ。
手配しておいたお菓子の家が、今日施設に届くんだ。
午前十時に業者が来る。時間はまだ九時過ぎだから、今から帰っても十分間に合うな。
ガキ共、どんなに喜ぶだろう。
スッゲー嬉しいって、笑ってくれるかな。
早く帰ろう。
あったかい、俺の好きな場所へ。
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