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7. これは世間一般で言う、ヤキモチというやつでしょうか?
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言いたいことを言えてスッキリしたので、ご飯を食べるべく、二人揃ってグリーンバンブー店内に戻った。
「美緒、中松。何処へ行っていたの?」
「あ、裏でちょっと話し合いを」
「そう。早くお屋敷に帰らなきゃいけないから、今日の夕飯は全員店のカレーね。それより美緒、ちょっと」
「なに?」
ちょいちょいと手招きされて、お姉ちゃんに捕獲された。「美緒っ。首筋のソレ、なにっ」
うひゃあっ。もうバレてーら。
この印、そんなに目立つのかしら!?
「やだー。いつの間にぃー。中松ったら手が早いのね」
お姉ちゃんからこんな発言が聞ける日が来るとは。
初恋拗らせの新品だったのに・・・・。イチ君にすっかり女にされちゃったのね。
「や、そ、そんなんじゃないし。まだしてないよぉ。これは男(むし)よけだって、今さっき中松さんに付けられただけで・・・・」
「男よけ!」
お姉ちゃんにニヤニヤ笑われた。うう・・・・結構恥ずかしいなぁ。
明日、首元隠せるシャツ着るしかないよね。
「中松ったら、しれーっとした顔しているけど、保昭君の出現で、相当焦ったのね」
「焦っている風には見えなかったけど?」
「そうかなぁー。だってさ、保昭君の席に料理運ぼうとしたら、俺が行くってホールに出てったのよ。大したオーダーも無いのに。中松、何を言いに行ったの? 何か言ってたでしょ」
「あ、うん。美緒の彼氏の中松ですって言いに来てくれたんだ」
「他には?」
「どうぞごゆっくり、って。それだけ」
「ええーっ。そんな事言いにわざわざ席まで料理運んで行ったのぉー?」
お姉ちゃんは興奮して大きな声になっている。
「何を二人でコソコソ喋っているんだ?」
そこへ、中松さんが登場した。お約束だね。会話の内容を聞かれていないかヒヤヒヤした。
「カレー、よそっておいたから、早く飯にしよう。伊織は屋敷に戻って、一矢様の相手をしなくちゃいけないだろう。今の一矢様を放っておくと、大変な事になるぞ」
「ホントだ! 一矢が拗ねたら大変!」
お姉ちゃんが青ざめた。うん、組長は拗らせたら面倒だ。
「俺が居なくて今日は大変だったと思うから、せめて伊織が労ってやって欲しい。あの人を癒せるのは、お前しかいないから。言いにくいのだが、実はさっき、一矢様と少しトラブったんだ。落ち込んでいるかもしれないから、フォローを頼む」
「どうせ一矢が中松に無理難題言って、それを断っただけでしょ。大丈夫よ。任せておいて。一矢の扱いは得意なの」
「そうだな。伊織が付いていれば、一矢様は大丈夫だ」
とても、とても優しい顔で中松さんが笑った。
きゅーんってしちゃう! いいなあ、イチ君。中松さんにそんなに思われて。
でも、仕方ないか。
中松さんは、イチ君を本当に大事にしている。
ボロ雑巾で死にかかっていた所を拾ってもらい、仕事をくれたイチ君に忠誠を誓い、恩を返す為にって。まあ、実質声を掛けて助けを求めたのはお姉ちゃんだから、お姉ちゃんにも忠誠を誓っているとか、いないとか。
少し前まで、きっとお姉ちゃんの事、少なからず好きだったとは思うけれど、今は違うかな? なんとなくだけど、そう思う。
イチ君やお姉ちゃんには、もう十分恩を返していると思うけど、任侠世界の恩情は厚いから、一度決めた忠誠心はよほどの事が無い限り覆らない。
恐らく中松さんは一生、イチ君に仕えていくつもりなのだろう。
だからこそ、甘えるイチ君に強く出られないのかも?
ま、イチ君を叱ろうと思ったら、私やお姉ちゃんがいるからね。大丈夫っていうのも解っていると思う。ホント、先を読んでいるから中松さんはすごいよね。
はあ。この男に勝てる日は来るのだろうか?
多分ムリだと思うが、ムリと思って諦めたら試合終了。私は絶対に、負けないんだから!
「美緒、中松。何処へ行っていたの?」
「あ、裏でちょっと話し合いを」
「そう。早くお屋敷に帰らなきゃいけないから、今日の夕飯は全員店のカレーね。それより美緒、ちょっと」
「なに?」
ちょいちょいと手招きされて、お姉ちゃんに捕獲された。「美緒っ。首筋のソレ、なにっ」
うひゃあっ。もうバレてーら。
この印、そんなに目立つのかしら!?
「やだー。いつの間にぃー。中松ったら手が早いのね」
お姉ちゃんからこんな発言が聞ける日が来るとは。
初恋拗らせの新品だったのに・・・・。イチ君にすっかり女にされちゃったのね。
「や、そ、そんなんじゃないし。まだしてないよぉ。これは男(むし)よけだって、今さっき中松さんに付けられただけで・・・・」
「男よけ!」
お姉ちゃんにニヤニヤ笑われた。うう・・・・結構恥ずかしいなぁ。
明日、首元隠せるシャツ着るしかないよね。
「中松ったら、しれーっとした顔しているけど、保昭君の出現で、相当焦ったのね」
「焦っている風には見えなかったけど?」
「そうかなぁー。だってさ、保昭君の席に料理運ぼうとしたら、俺が行くってホールに出てったのよ。大したオーダーも無いのに。中松、何を言いに行ったの? 何か言ってたでしょ」
「あ、うん。美緒の彼氏の中松ですって言いに来てくれたんだ」
「他には?」
「どうぞごゆっくり、って。それだけ」
「ええーっ。そんな事言いにわざわざ席まで料理運んで行ったのぉー?」
お姉ちゃんは興奮して大きな声になっている。
「何を二人でコソコソ喋っているんだ?」
そこへ、中松さんが登場した。お約束だね。会話の内容を聞かれていないかヒヤヒヤした。
「カレー、よそっておいたから、早く飯にしよう。伊織は屋敷に戻って、一矢様の相手をしなくちゃいけないだろう。今の一矢様を放っておくと、大変な事になるぞ」
「ホントだ! 一矢が拗ねたら大変!」
お姉ちゃんが青ざめた。うん、組長は拗らせたら面倒だ。
「俺が居なくて今日は大変だったと思うから、せめて伊織が労ってやって欲しい。あの人を癒せるのは、お前しかいないから。言いにくいのだが、実はさっき、一矢様と少しトラブったんだ。落ち込んでいるかもしれないから、フォローを頼む」
「どうせ一矢が中松に無理難題言って、それを断っただけでしょ。大丈夫よ。任せておいて。一矢の扱いは得意なの」
「そうだな。伊織が付いていれば、一矢様は大丈夫だ」
とても、とても優しい顔で中松さんが笑った。
きゅーんってしちゃう! いいなあ、イチ君。中松さんにそんなに思われて。
でも、仕方ないか。
中松さんは、イチ君を本当に大事にしている。
ボロ雑巾で死にかかっていた所を拾ってもらい、仕事をくれたイチ君に忠誠を誓い、恩を返す為にって。まあ、実質声を掛けて助けを求めたのはお姉ちゃんだから、お姉ちゃんにも忠誠を誓っているとか、いないとか。
少し前まで、きっとお姉ちゃんの事、少なからず好きだったとは思うけれど、今は違うかな? なんとなくだけど、そう思う。
イチ君やお姉ちゃんには、もう十分恩を返していると思うけど、任侠世界の恩情は厚いから、一度決めた忠誠心はよほどの事が無い限り覆らない。
恐らく中松さんは一生、イチ君に仕えていくつもりなのだろう。
だからこそ、甘えるイチ君に強く出られないのかも?
ま、イチ君を叱ろうと思ったら、私やお姉ちゃんがいるからね。大丈夫っていうのも解っていると思う。ホント、先を読んでいるから中松さんはすごいよね。
はあ。この男に勝てる日は来るのだろうか?
多分ムリだと思うが、ムリと思って諦めたら試合終了。私は絶対に、負けないんだから!
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