38 / 93
6.鬼執事は何をやらせても完璧です!
6
しおりを挟む
中松さんは焦るどころか顔色ひとつ変えず、大盛ご飯をさっと美しく盛り付け、ネギ抜きと言っていたみそ汁も間違えずに作り、(というかもうネギ抜きのみそ汁がひとつ用意されていた)出来上がった料理と共にトレイに乗せた。お母さん一人じゃ運べないから、手が空いた私が一緒に運ぶことに。
「美緒、このランチは五番テーブルと六番テーブル。みそ汁ネギ抜きは五番テーブルだ。ご飯は全部大盛だから、どれを出してもいい」
トレイに乗せながら的確に指示をくれて、伝票を渡してもらった。
受け取って料理を運び、戻ってくると次のビフカツとステーキ、ご飯とみそ汁がトレイに同時搭載されていた。「それ、三番テーブルな」
何この人!
鬼完璧なんですけど!!
グリーンバンブーで働くのが今日が初めてとは思えない!
そんな中松さんの見事な鬼配膳術のお陰で、今日のランチは何の問題もなく乗り切れた。
こりゃ・・・・イチ君が貸し渋るわけだ。
納得した。何でもできちゃうのねっ!
ていうか、永久に貸し出して欲しいっ!
もぉおっ。またこの完璧鬼執事じゃなくて鬼配膳係に惚れちゃったよ――!
早く中松さんを私のものにしたーいっっ!!
パーフェクト鬼配膳のお陰で、無事にランチを乗り切った午後三時。
準備中の札を表のドアに掛けた所で、終わったー、と思わず声を上げた。
「ミチ君――っ。ミチ君のお陰で無事に終わったよぉ。ありがとう――!」
お母さんが中松さんの手を取って、嬉しい気持ちを表す為にぶんぶんと振り回した。
「ちょっと! 止めてよっ。私の中松さんに触らないでっ!」
慌てて二人の間に割って入り、お母さんと中松さんを引き離した。ミチ君とか馴れ馴れしく呼ぶのも嫌なのに!
「勝手に触ったら、たとえお母さんでも赦さないから」
怒った顔を見せたが、令嬢口調を心掛け、丁寧に言った。コラ、って言うと多分お母さんが『美緒ちゃん、こわーいっっ、えーん』って泣き出して、私が中松さんに叱られるから、必死に耐えた。
好きな人に幻滅されないために、頑張れ、私!
「ごめぇん。そんなつもりじゃないの。えーん」
結局泣くんか――っ!
「無事にランチを乗り切れたのが嬉しくて、つい。お父さんやギンさんまでいないから不安で。ごめんねぇ、美緒ちゃん」
反省したお母さんは、泣きながら私の手をにぎにぎしてきた。
「まあまあ、美緒。この程度で母親に目くじら立てなくてもいいだろ。減るもんじゃあるまいし」
減るのよ! 何かが!
鬼完璧な筈なのに、肝心の乙女心を解っていない!!
「美緒、このランチは五番テーブルと六番テーブル。みそ汁ネギ抜きは五番テーブルだ。ご飯は全部大盛だから、どれを出してもいい」
トレイに乗せながら的確に指示をくれて、伝票を渡してもらった。
受け取って料理を運び、戻ってくると次のビフカツとステーキ、ご飯とみそ汁がトレイに同時搭載されていた。「それ、三番テーブルな」
何この人!
鬼完璧なんですけど!!
グリーンバンブーで働くのが今日が初めてとは思えない!
そんな中松さんの見事な鬼配膳術のお陰で、今日のランチは何の問題もなく乗り切れた。
こりゃ・・・・イチ君が貸し渋るわけだ。
納得した。何でもできちゃうのねっ!
ていうか、永久に貸し出して欲しいっ!
もぉおっ。またこの完璧鬼執事じゃなくて鬼配膳係に惚れちゃったよ――!
早く中松さんを私のものにしたーいっっ!!
パーフェクト鬼配膳のお陰で、無事にランチを乗り切った午後三時。
準備中の札を表のドアに掛けた所で、終わったー、と思わず声を上げた。
「ミチ君――っ。ミチ君のお陰で無事に終わったよぉ。ありがとう――!」
お母さんが中松さんの手を取って、嬉しい気持ちを表す為にぶんぶんと振り回した。
「ちょっと! 止めてよっ。私の中松さんに触らないでっ!」
慌てて二人の間に割って入り、お母さんと中松さんを引き離した。ミチ君とか馴れ馴れしく呼ぶのも嫌なのに!
「勝手に触ったら、たとえお母さんでも赦さないから」
怒った顔を見せたが、令嬢口調を心掛け、丁寧に言った。コラ、って言うと多分お母さんが『美緒ちゃん、こわーいっっ、えーん』って泣き出して、私が中松さんに叱られるから、必死に耐えた。
好きな人に幻滅されないために、頑張れ、私!
「ごめぇん。そんなつもりじゃないの。えーん」
結局泣くんか――っ!
「無事にランチを乗り切れたのが嬉しくて、つい。お父さんやギンさんまでいないから不安で。ごめんねぇ、美緒ちゃん」
反省したお母さんは、泣きながら私の手をにぎにぎしてきた。
「まあまあ、美緒。この程度で母親に目くじら立てなくてもいいだろ。減るもんじゃあるまいし」
減るのよ! 何かが!
鬼完璧な筈なのに、肝心の乙女心を解っていない!!
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
【R18】カッコウは夜、羽ばたく 〜従姉と従弟の托卵秘事〜
船橋ひろみ
恋愛
【エロシーンには※印がついています】
お急ぎの方や濃厚なエロシーンが見たい方はタイトルに「※」がついている話をどうぞ。読者の皆様のお気に入りのお楽しみシーンを見つけてくださいね。
表紙、挿絵はAIイラストをベースに私が加工しています。著作権は私に帰属します。
【ストーリー】
見覚えのあるレインコート。鎌ヶ谷翔太の胸が高鳴る。
会社を半休で抜け出した平日午後。雨がそぼ降る駅で待ち合わせたのは、従姉の人妻、藤沢あかねだった。
手をつないで歩きだす二人には、翔太は恋人と、あかねは夫との、それぞれ愛の暮らしと違う『もう一つの愛の暮らし』がある。
親族同士の結ばれないが離れがたい、二人だけのひそやかな関係。そして、会うたびにさらけだす『むき出しの欲望』は、お互いをますます離れがたくする。
いつまで二人だけの関係を続けられるか、という不安と、従姉への抑えきれない愛情を抱えながら、翔太はあかねを抱き寄せる……
托卵人妻と従弟の青年の、抜け出すことができない愛の関係を描いた物語。
◆登場人物
・ 鎌ヶ谷翔太(26) パルサーソリューションズ勤務の営業マン
・ 藤沢あかね(29) 三和ケミカル勤務の経営企画員
・ 八幡栞 (28) パルサーソリューションズ勤務の業務管理部員。翔太の彼女
・ 藤沢茂 (34) シャインメディカル医療機器勤務の経理マン。あかねの夫。
【女性向けR18】性なる教師と溺れる
タチバナ
恋愛
教師が性に溺れる物語。
恋愛要素やエロに至るまでの話多めの女性向け官能小説です。
教師がやらしいことをしても罪に問われづらい世界線の話です。
オムニバス形式になると思います。
全て未発表作品です。
エロのお供になりますと幸いです。
しばらく学校に出入りしていないので学校の設定はでたらめです。
完全架空の学校と先生をどうぞ温かく見守りくださいませ。
完全に趣味&自己満小説です。←重要です。
それは、あくまで不埒な蜜戯にて
奏多
恋愛
設楽一楓は、高校生の頃、同級生で生徒会長だった瀬名伊吹に弱みを握られて一度だけ体の関係を持った。
その場限りの約束のはずが、なぜか彼が作った会社に働くことになって!?
一度だけのあやまちをなかったことにして、カリスマ的パワハラ悪魔に仕えていた一楓に、突然悪魔が囁いた――。
「なかったことに出来ると思う? 思い出させてあげるよ、あの日のこと」
ブラック企業での叩き上げプログラマー兼社長秘書
設楽一楓
(しだら いちか)
×
元同級生兼カリスマIT社長
瀬名伊吹
(せな いぶき)
☆現在番外編執筆中☆
みられたいふたり〜変態美少女痴女大生2人の破滅への危険な全裸露出〜
冷夏レイ
恋愛
美少女2人。哀香は黒髪ロング、清楚系、巨乳。悠莉は金髪ショート、勝気、スレンダー。2人は正反対だけど仲のいい普通の女子大生のはずだった。きっかけは無理やり参加させられたヌードモデル。大勢の男達に全裸を晒すという羞恥と恥辱にまみれた時間を耐え、手を繋いで歩く無言の帰り道。恥ずかしくてたまらなかった2人は誓い合う。
──もっと見られたい。
壊れてはいけないものがぐにゃりと歪んだ。
いろんなシチュエーションで見られたり、見せたりする女の子2人の危険な活動記録。たとえどこまで堕ちようとも1人じゃないから怖くない。
***
R18。エロ注意です。挿絵がほぼ全編にあります。
すこしでもえっちだと思っていただけましたら、お気に入りや感想などよろしくお願いいたします!
「ノクターンノベルズ」にも掲載しています。
エッチな下着屋さんで、〇〇を苛められちゃう女の子のお話
まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)
『色気がない』と浮気された女の子が、見返したくて大人っぽい下着を買いに来たら、売っているのはエッチな下着で。店員さんにいっぱい気持ち良くされちゃうお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる