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5.俺好みの女に教育してやろうか、ってどういう意味ですか?

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「俺も、美緒の事を知ってみたいと思ったんだ」

――っ! またそんなリップサービスみたいな事を言うぅっ!

「俺にベタ惚れのお前が、どんなものに興味があって、どんな風に育ったのか、知ってみたくなった」

「はわわわ・・・・それって・・・・抱いてもいいって事?」

「何故そうなる? 話が飛躍しすぎだろ」

 中松さんは苦笑している。でも嫌そうにはされていないから、見込みアリって思っていいのかな?

「だって、知ってみたいって事はイコール男女関係もオーケーって事じゃん」

「・・・・俺もひとつ聞いていいか?」

「どうぞ、何なりと」

「美緒は本当に伊織の妹なのか? タイプが全然違うぞ」

「そこ攻める!?」

 ・・・・もしかして、まだお姉ちゃんの事好きなのかな。だったらショック。お姉ちゃん大好きだから、ヤキモチ焼きたくない。
 疑問に思っている事は、何でも遠慮なく聞く主義だから、お姉ちゃんの事もちゃんと聞こう。

「お姉ちゃんと考え方は超似てるよ。家族大好きだし、一途だし。ただ、趣味が違うだけ。お姉ちゃんはずっとイチ君大好きだったし、拗らせまくってどうしようもなかったけど、何とか落ち着く所に収まったって感じかな。私も一途だよ」

「やっと元の口調に戻って来たな。それでいいぞ。美緒の事は、一途だって見てりゃ解る。俺の事大好きだもんな?」

「そうよ、悪い?」

 面と向かって言ってやった。
 すると中松さんは、とーっても優しそうな顔で、私を見つめ返してくれたの!

「こんな男、やめときゃいいのに」

「勝手に決めないで。いいか悪いかは、私が決める事だから」

「そうだな。美緒の言う事も一理ある」

「じゃあ私も聞くけど、中松さんはお姉ちゃんの事どう思っているの? 好きなの?」


「・・・・そうだな。好きだった――が正しいかな」


「だった、って事は過去形なの?」

「過去形も何も、伊織は俺の命の恩人だから、俺の中で特別だったって話だ。伊織はずっと、ただひたむきに一矢様を想っていたのは知っていたし、別に、どうこうなろうとか思っていた訳じゃない。自分のものにしようと思った事も無い。アイツが、幸せになってくれたらいいと、そう思っていた」

「・・・・それってさ、お姉ちゃんの事、めちゃくちゃ好きじゃん。だったら、イチ君とイチャイチャしているお姉ちゃんを見ても、何とも思わないの?」

「美緒はそれを聞いてどうしたいんだ?」

「中松さんがどう思っているのか、全部知りたいの。お姉ちゃんが好きなら、私がお姉ちゃんを超えてみせる。ヤキモチ焼きたくないの。お姉ちゃんが大好きだから」

「真っすぐなお前らしい回答だな」

 中松さんは満足そうに笑ってくれた。最近彼は、よく笑う。
 ずっと無機質な表情で完璧に業務をこなす人だと思っていた。でも、本当は違ったんだ。
 誰も中松さんに、こんな顔をさせなかっただけなんだね。
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