61 / 113
9.なりふり構わない意地悪令嬢に、ニセ嫁タジタジざまぁーす。
1
しおりを挟む
あれから順調に月日は流れた。婚約披露――私の中では婚約疲労――パーティーが後一週間に迫った。鬼の指導のお陰で、マナー全般はとりあえず身に着ける事が出来た。歩く姿も美しくなった・・・・と思う!(自画自賛)鬼はあんまり褒めてくれない。多分まだ合格点を手放しで付けるには遠いのだろう。しくしく。これでも頑張っているのよ! ニセ嫁として!!
グリーンバンブーの焼き場の修業だって頑張っているわよぉっ!
そんな私が、今日は婚約披露パーティーの練習をする為に、三成家――特に一矢が懇意にしている取引先への挨拶に同行する事になった。
ううう・・・・上手にできるかしら。阻喪なんかしたら、鬼の嫌味が飛んでくるわ。嫌味だけならまだいいけど、もっと辛辣な酷い叱りの言葉を浴びせられるかもしれないし。とにかく、失敗は出来ない。
気分はまるでシンデレラだ。慣れない衣装で着飾り、かぼちゃの馬車に揺れられて、舞踏会へ行く姫のように。
いや、ちょっと思ったんだけど、シンデレラってさ、容姿はもともと綺麗だけど、ダンスなんかやった事ないじゃない? しかも普段から召使のような扱いだったのだから、ずっとお皿洗いとかしているだろうし、美しい令嬢みたいなつるつるの白魚のような手じゃなくて、いくら着飾ったとしても、カサカサしていると思うのよ。私みたいに。
結論。シンデレラも、舞踏会への憧れはあるけれど、馬車に揺られている間、不安しか無かったと思うの!
だってもともとお金持ち根性は備わっている訳じゃないから、怖気づいたり、上流階級の令嬢に意地悪されると思うのよ!
何時か私も、一矢を好いていた女子から恨まれるだろう。その時、あー、大丈夫、ニセなんでっ。(キラーン)って言えるような雰囲気じゃないだろうし、そもそもそういう人たちが一矢に持ち掛ける縁談をブッた切る為のニセ婚なんだしね。
さあ、どんなご挨拶になるのやら。
「いいですか、伊織様。くれぐれも阻喪がないように、お願いいたしますよ。三条様は昔から一矢様をご贔屓にして下さる、数少ない取引先様でございますからね」
リムジンを運転しながら、鬼が言った。
「解っているわ、中松(鬼)。出しゃばらないように、気を付けます」
ふうー。それ、耳にタコが出来るくらい何百回も聞いたし。
今までの私は、鬼松を睨みつけながら口いっぱいものを言っていたけれど、それは控える様にしている。そんな事をすると、般若みたいな顔になってしまって余計鬼に文句を言われるから。ちょっとでもそういう顔をすると、鬼から嫌味が飛んでくるのよ、すぐに。
ニセ嫁辞めたら、鬼に豆まきするかのように、文句の塊を投げつけてやるっ。
私はそう決めているのだ。そうする事によって、鬼に一々たてつかずに済んでいるから。
グリーンバンブーの焼き場の修業だって頑張っているわよぉっ!
そんな私が、今日は婚約披露パーティーの練習をする為に、三成家――特に一矢が懇意にしている取引先への挨拶に同行する事になった。
ううう・・・・上手にできるかしら。阻喪なんかしたら、鬼の嫌味が飛んでくるわ。嫌味だけならまだいいけど、もっと辛辣な酷い叱りの言葉を浴びせられるかもしれないし。とにかく、失敗は出来ない。
気分はまるでシンデレラだ。慣れない衣装で着飾り、かぼちゃの馬車に揺れられて、舞踏会へ行く姫のように。
いや、ちょっと思ったんだけど、シンデレラってさ、容姿はもともと綺麗だけど、ダンスなんかやった事ないじゃない? しかも普段から召使のような扱いだったのだから、ずっとお皿洗いとかしているだろうし、美しい令嬢みたいなつるつるの白魚のような手じゃなくて、いくら着飾ったとしても、カサカサしていると思うのよ。私みたいに。
結論。シンデレラも、舞踏会への憧れはあるけれど、馬車に揺られている間、不安しか無かったと思うの!
だってもともとお金持ち根性は備わっている訳じゃないから、怖気づいたり、上流階級の令嬢に意地悪されると思うのよ!
何時か私も、一矢を好いていた女子から恨まれるだろう。その時、あー、大丈夫、ニセなんでっ。(キラーン)って言えるような雰囲気じゃないだろうし、そもそもそういう人たちが一矢に持ち掛ける縁談をブッた切る為のニセ婚なんだしね。
さあ、どんなご挨拶になるのやら。
「いいですか、伊織様。くれぐれも阻喪がないように、お願いいたしますよ。三条様は昔から一矢様をご贔屓にして下さる、数少ない取引先様でございますからね」
リムジンを運転しながら、鬼が言った。
「解っているわ、中松(鬼)。出しゃばらないように、気を付けます」
ふうー。それ、耳にタコが出来るくらい何百回も聞いたし。
今までの私は、鬼松を睨みつけながら口いっぱいものを言っていたけれど、それは控える様にしている。そんな事をすると、般若みたいな顔になってしまって余計鬼に文句を言われるから。ちょっとでもそういう顔をすると、鬼から嫌味が飛んでくるのよ、すぐに。
ニセ嫁辞めたら、鬼に豆まきするかのように、文句の塊を投げつけてやるっ。
私はそう決めているのだ。そうする事によって、鬼に一々たてつかずに済んでいるから。
0
お気に入りに追加
1,411
あなたにおすすめの小説
冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました
せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。
舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。
専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。
そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。
さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。
その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。
海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。
会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。
一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。
再会の日は……。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【R18】男嫌いと噂の美人秘書はエリート副社長に一夜から始まる恋に落とされる。
夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
真田(さなだ)ホールディングスで専務秘書を務めている香坂 杏珠(こうさか あんじゅ)は凛とした美人で26歳。社内外問わずモテるものの、男に冷たく当たることから『男性嫌いではないか』と噂されている。
しかし、実際は違う。杏珠は自分の理想を妥協することが出来ず、結果的に彼氏いない歴=年齢を貫いている、いわば拗らせ女なのだ。
そんな杏珠はある日社長から副社長として本社に来てもらう甥っ子の専属秘書になってほしいと打診された。
渋々といった風に了承した杏珠。
そして、出逢った男性――丞(たすく)は、まさかまさかで杏珠の好みぴったりの『筋肉男子』だった。
挙句、気が付いたら二人でベッドにいて……。
しかも、過去についてしまった『とある嘘』が原因で、杏珠は危機に陥る。
後継者と名高いエリート副社長×凛とした美人秘書(拗らせ女)の身体から始まる現代ラブ。
▼掲載先→エブリスタ、ベリーズカフェ、アルファポリス(性描写多め版)
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
黒王子の溺愛
如月 そら
恋愛
──経済界の華 そんなふうに呼ばれている藤堂美桜は、ある日パーティで紹介された黒澤柾樹に一目惚れをする。
大きなホテルグループを経営していて、ファンドとも密接な関係にあるというその人が、美桜との結婚を望んでいると父に聞かされた美桜は、一も二もなく了承した。
それが完全な政略結婚であるとも知らずに。
※少し、強引なシーンがあります。
苦手な方は避けて下さいね。o(_ _)o
※表紙は https://picrew.me/share?cd=xrWoJzWtvu #Picrew こちらで作成させて頂きました!
セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】
remo
恋愛
橘 あおい、30歳目前。
干からびた生活が長すぎて、化石になりそう。このまま一生1人で生きていくのかな。
と思っていたら、
初めての相手に再会した。
柚木 紘弥。
忘れられない、初めての1度だけの彼。
【完結】ありがとうございました‼
【R-18】記憶喪失な新妻は国王陛下の寵愛を乞う【挿絵付】
臣桜
恋愛
ウィドリントン王国の姫モニカは、隣国ヴィンセントの王子であり幼馴染みのクライヴに輿入れする途中、謎の刺客により襲われてしまった。一命は取り留めたものの、モニカはクライヴを愛した記憶のみ忘れてしまった。モニカと侍女はヴィンセントに無事受け入れられたが、クライヴの父の余命が心配なため急いで結婚式を挙げる事となる。記憶がないままモニカの新婚生活が始まり、彼女の不安を取り除こうとクライヴも優しく接する。だがある事がきっかけでモニカは頭痛を訴えるようになり、封じられていた記憶は襲撃者の正体を握っていた。
※全体的にふんわりしたお話です。
※ムーンライトノベルズさまにも投稿しています。
※表紙はニジジャーニーで生成しました
※挿絵は自作ですが、後日削除します
【完結】生贄として育てられた少女は、魔術師団長に溺愛される
未知香
恋愛
【完結まで毎日1話~数話投稿します・最初はおおめ】
ミシェラは生贄として育てられている。
彼女が生まれた時から白い髪をしているという理由だけで。
生贄であるミシェラは、同じ人間として扱われず虐げ続けられてきた。
繰り返される苦痛の生活の中でミシェラは、次第に生贄になる時を心待ちにするようになった。
そんな時ミシェラが出会ったのは、村では竜神様と呼ばれるドラゴンの調査に来た魔術師団長だった。
生贄として育てられたミシェラが、魔術師団長に愛され、自分の生い立ちと決別するお話。
ハッピーエンドです!
※※※
他サイト様にものせてます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる