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琴瑟相和
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「殿下、殿下!!ああ、よかった、よかったぁ」
シェリアルが更に上擦った声で泣き崩れ、それから大粒の涙を零しながら上体を屈めてきた。
あ、と思う間もなくシェリアルの唇がダキアのそれに重ねられた。
ふんわりと、柔らかい。ダキアが場を弁えずにうっとりしていると、シェリアルが我に返ったようにぷいと顔を上げる。
今度はぽかぽかと肩口の辺りを拳で叩いてきた。
「生きた心地がしなかったんですからね」
ホントにもう、バカバカバカと罵言まで付いてきた。痛くないので本気で叩いているわけではないし、これは照れ隠しかも知れないが。
こんなに姫を動揺させてしまったんだな。なんか、ゴメン。
「お説教は後でゆっくり聞きます」
まだ前後の状況がぼんやりしてるが、何か重篤な事態が起きたことは想像に難くない。
何故なら、記憶が途切れる直前はアシル城に向かっていたはずなのに、今はウルススの出城で、湯の泉、岩風呂に漬けられている。
湯の泉は打ち身、擦り傷、捻挫、筋肉疲労など、マナを使うほどではないが、軽微な肉体の不具合が見られる時の療養施設だ。薬草の匂いもするから、多分全身に擦過傷かなにか、くまなく外傷を負っている状態なのかもしれない。
「今は俺の知らない間に、何が起きてたのか、話してくれますか」
宮司と対面した直後から、今まで、意識の無い間に起きたことをかいつまんで説明されたが、俄かには信じがたい話だった。
宮司が、俺を亡き者にしようとした。
「それで、殿下を追って砦に」
気味の悪い狼面鳥が、砦の方角に向かったのは不幸中の幸いだった。
「バルバリ山脈を越えられていたらもう手の打ちようが無かった、今はとにかく養生を優先するべきかと」
ダキアは少し顔をあげて改めてシェリアルを見遣り、申し訳なさそうに耳から首筋のあたりに視線をやる。
陽の光を溶かしたように艶やかに輝いていた豊かな金褐色の髪は、殆ど項の辺りでざっくりと切り落とされている。長さもまちまちで、事情を知らない者が見たら追い剥ぎにでもあったのかと心配される様相だ。
咄嗟の判断とはいえ、ダキアを最短最速で救うための手段、鏃に治癒のマナを括って射るために自らの髪で結び付けたのだ。
髪をこんなにしてしまった。とダキアが謝ると、「シャオチェが見たら卒倒しそう」シェリアルが肩をすくめ、クスリと微笑む。
なんとなくその言葉の選び方、仕草に違和感を覚えた。さっきの接吻もそうだ。もちろん悪い意味ではないのだ。
行幸中のシェリアルは変に委縮していたというか、常におどおどと遠慮がちだった。それは長年彼女に控えていた侍女に対しても同様で、この状況なら多分悄然として、「シャオチェに心配をかけてしまう」とうなだれていたはずだ。
不思議に思っていると、何か察したのか、シェリアルが軽く首を振った。
「私だって、殿下の思うような女性ではないのですよ。父様母様の目を盗んで城下の街にこっそり出かけたりするようなお転婆です」
ダキアは言葉の意味を察した。それから意識が戻ってからのシェリアルの、行幸の最中の彼女からは想像もつかない言動の変貌ぶりを理解した。
そうか。記憶がもどったんだ。
「もっと話を聞かせてください」
「よろこんで」
シェリアルの、花がほころぶような笑顔。それだけで心が満ち足りていく。
それから二人はいろんな話を交わした。とてもばかばかしい悪戯に対して笑いあい、答えの出ない問答を一緒に考察し、失敗に対して助言を提示しあった。
初めて顔を合わせた晩餐の席で感じたこと、池のほとりでの正直な本音を語り合い、ダキアはあの忌まわしい席での本音を告解し、シェリアルは「置いていくなんてあんまりです」と拗ねてみせ、「そんな状態なのに行幸を進めると仰った姫に横っ面を張り倒された心地だった」と更にダキアは打ち明けた。
「姫は俺には本当に過ぎた人です。俺も姫に相応しい男にならないと」
大きく息を吐いてダキアが言うと
「どうかそのままでいてください」
シェリアルがどうしてこの人は、といったやや呆れたような貌で窘める。
「私はそのままのダキア殿下が好きなのです」
ダキアはようやく理解した。
彼女が望んでいるのは、父に並び立つ英雄像、兄のような良き施政者、そういった場所に立つことではない。一生という長い時間を過ごす伴侶として、お互い肝胆相照らし、気脈を通わせ、時に狡猾な策謀を巡らす良き共犯者のような関係だ。
事後承諾になってしまいますが、とシェリアルが前置きをして「ウルスス部隊を私の直属に置きました」と謝ってきた。
ふむ、ダキアは少し思案する。
主力部隊にジウスドラがいる以上、ウルスス部隊との諍いは避けられない。それなら姫の直轄部隊とする方がいいかもしれない。
「では、ウルスス部隊は姫に預けます」
「分かりました、預かります」
それから、とシェリアルが、改まった表情でダキアを見つめた。
「殿下、正直同説明すればいいのかわかりかねるので、覚えているままをそのまま話します」
「私、あの宮司を知っています。会っています」
はっきりそう告げた。
宮司と会っている。それだけでも衝撃的な告白だというのに、続いて語られたシェリアルの話は背筋が凍るようなものだった。
「あの子と出会ったのは、アシル城郊外の湖群です。白竜がどこかで狩った獲物を落としたみたいでした、頭が潰れて手足もへんな方に折れ曲がって。全裸で、被毛の色も白に七つの黒い斑点模様で、あんな奇妙な模様は見たことがない。でもまだ息があって。だからアシル神殿の神主さんのところに連れて行ったんです」
七つの黒い斑。だからシチフサか。変なところで感心するダキア。
だけど、白竜が獲物を落とすなんて聞いたことが無い。獲物を掴んで移動するような習性は無かったはずだ。まさかカズゥの父のように単独で白竜に立ち向かったのか。爪を牙を立て、しがみついたところで空に飛翔され振り落とされたのか。なんて無茶をしたんだ。大馬鹿者が。
「神主さんは、シチフサを一目見て「この子のマナは薄い。マナが効きづらい」駄目かも知れない、そうおっしゃって。夜になって、ダメでした、そう連絡があって。シャオチェと抱き合って泣いた。朝になって、中庭に咲いてた秋牡丹を束にして、社務所で冷たくなって横たわるシチフサの隣に添えた。神主さんから「ありがとう、かえりたい」とそればかりをうわごとのように繰り返していた、そう聞きました」
「死んだ、のですか」
改めて、確認するように問う。
はい、シェリアルがはっきり頷く。
「だからあの子が宮司を名乗れるわけがないんです」
名乗れるはずはないし、なによりミアキスヒューマンもサピエンスも、魚も鳥も獣も竜も、生き物は死ぬと身体からマナが散る。肉体は消滅し魂は自然に還る。魂だけの状態で存在するなんてこと自体あり得ない。
「だけど、シチフサは私の目の前に現れ記憶を奪った」
シェリアルの話は俄かには信じがたい。だが、宮司の紫紺の頭巾を外した素顔、鼻先は白く、耳は黒く、中ほどで折れ曲がった異様な姿をダキアも目の当たりにしている。嘘偽りない真実として、これ以上ない雄弁な証拠だ。
「誰に礼を言いたかったのか、どこに帰りたかったのかは分かりません。僕がいるから大丈夫、なぜ私にそんな事を言ったのかも分からない。だけどあの子は、殿下に危害を加えた。どんな理由があれ、それは許さない。だから私はシチフサと対峙しなきゃならないんです」
純粋な真っすぐな、翡翠色の混じった淡黄色の瞳がダキアを見据えた。以前のように恐怖に怯える姿は微塵もない。
「一人で行くつもりですか?」
「だって、こればかりは殿下を巻き込めない。私の問題です」
「何を言っているんですか、俺はとっくに巻き込まれてますよ?」
今、自分で言ったじゃないですか、俺に危害を加えたって。そう指摘して、ダキアは続ける。
「いやだと言っても着いていきます」
シェリアルが更に上擦った声で泣き崩れ、それから大粒の涙を零しながら上体を屈めてきた。
あ、と思う間もなくシェリアルの唇がダキアのそれに重ねられた。
ふんわりと、柔らかい。ダキアが場を弁えずにうっとりしていると、シェリアルが我に返ったようにぷいと顔を上げる。
今度はぽかぽかと肩口の辺りを拳で叩いてきた。
「生きた心地がしなかったんですからね」
ホントにもう、バカバカバカと罵言まで付いてきた。痛くないので本気で叩いているわけではないし、これは照れ隠しかも知れないが。
こんなに姫を動揺させてしまったんだな。なんか、ゴメン。
「お説教は後でゆっくり聞きます」
まだ前後の状況がぼんやりしてるが、何か重篤な事態が起きたことは想像に難くない。
何故なら、記憶が途切れる直前はアシル城に向かっていたはずなのに、今はウルススの出城で、湯の泉、岩風呂に漬けられている。
湯の泉は打ち身、擦り傷、捻挫、筋肉疲労など、マナを使うほどではないが、軽微な肉体の不具合が見られる時の療養施設だ。薬草の匂いもするから、多分全身に擦過傷かなにか、くまなく外傷を負っている状態なのかもしれない。
「今は俺の知らない間に、何が起きてたのか、話してくれますか」
宮司と対面した直後から、今まで、意識の無い間に起きたことをかいつまんで説明されたが、俄かには信じがたい話だった。
宮司が、俺を亡き者にしようとした。
「それで、殿下を追って砦に」
気味の悪い狼面鳥が、砦の方角に向かったのは不幸中の幸いだった。
「バルバリ山脈を越えられていたらもう手の打ちようが無かった、今はとにかく養生を優先するべきかと」
ダキアは少し顔をあげて改めてシェリアルを見遣り、申し訳なさそうに耳から首筋のあたりに視線をやる。
陽の光を溶かしたように艶やかに輝いていた豊かな金褐色の髪は、殆ど項の辺りでざっくりと切り落とされている。長さもまちまちで、事情を知らない者が見たら追い剥ぎにでもあったのかと心配される様相だ。
咄嗟の判断とはいえ、ダキアを最短最速で救うための手段、鏃に治癒のマナを括って射るために自らの髪で結び付けたのだ。
髪をこんなにしてしまった。とダキアが謝ると、「シャオチェが見たら卒倒しそう」シェリアルが肩をすくめ、クスリと微笑む。
なんとなくその言葉の選び方、仕草に違和感を覚えた。さっきの接吻もそうだ。もちろん悪い意味ではないのだ。
行幸中のシェリアルは変に委縮していたというか、常におどおどと遠慮がちだった。それは長年彼女に控えていた侍女に対しても同様で、この状況なら多分悄然として、「シャオチェに心配をかけてしまう」とうなだれていたはずだ。
不思議に思っていると、何か察したのか、シェリアルが軽く首を振った。
「私だって、殿下の思うような女性ではないのですよ。父様母様の目を盗んで城下の街にこっそり出かけたりするようなお転婆です」
ダキアは言葉の意味を察した。それから意識が戻ってからのシェリアルの、行幸の最中の彼女からは想像もつかない言動の変貌ぶりを理解した。
そうか。記憶がもどったんだ。
「もっと話を聞かせてください」
「よろこんで」
シェリアルの、花がほころぶような笑顔。それだけで心が満ち足りていく。
それから二人はいろんな話を交わした。とてもばかばかしい悪戯に対して笑いあい、答えの出ない問答を一緒に考察し、失敗に対して助言を提示しあった。
初めて顔を合わせた晩餐の席で感じたこと、池のほとりでの正直な本音を語り合い、ダキアはあの忌まわしい席での本音を告解し、シェリアルは「置いていくなんてあんまりです」と拗ねてみせ、「そんな状態なのに行幸を進めると仰った姫に横っ面を張り倒された心地だった」と更にダキアは打ち明けた。
「姫は俺には本当に過ぎた人です。俺も姫に相応しい男にならないと」
大きく息を吐いてダキアが言うと
「どうかそのままでいてください」
シェリアルがどうしてこの人は、といったやや呆れたような貌で窘める。
「私はそのままのダキア殿下が好きなのです」
ダキアはようやく理解した。
彼女が望んでいるのは、父に並び立つ英雄像、兄のような良き施政者、そういった場所に立つことではない。一生という長い時間を過ごす伴侶として、お互い肝胆相照らし、気脈を通わせ、時に狡猾な策謀を巡らす良き共犯者のような関係だ。
事後承諾になってしまいますが、とシェリアルが前置きをして「ウルスス部隊を私の直属に置きました」と謝ってきた。
ふむ、ダキアは少し思案する。
主力部隊にジウスドラがいる以上、ウルスス部隊との諍いは避けられない。それなら姫の直轄部隊とする方がいいかもしれない。
「では、ウルスス部隊は姫に預けます」
「分かりました、預かります」
それから、とシェリアルが、改まった表情でダキアを見つめた。
「殿下、正直同説明すればいいのかわかりかねるので、覚えているままをそのまま話します」
「私、あの宮司を知っています。会っています」
はっきりそう告げた。
宮司と会っている。それだけでも衝撃的な告白だというのに、続いて語られたシェリアルの話は背筋が凍るようなものだった。
「あの子と出会ったのは、アシル城郊外の湖群です。白竜がどこかで狩った獲物を落としたみたいでした、頭が潰れて手足もへんな方に折れ曲がって。全裸で、被毛の色も白に七つの黒い斑点模様で、あんな奇妙な模様は見たことがない。でもまだ息があって。だからアシル神殿の神主さんのところに連れて行ったんです」
七つの黒い斑。だからシチフサか。変なところで感心するダキア。
だけど、白竜が獲物を落とすなんて聞いたことが無い。獲物を掴んで移動するような習性は無かったはずだ。まさかカズゥの父のように単独で白竜に立ち向かったのか。爪を牙を立て、しがみついたところで空に飛翔され振り落とされたのか。なんて無茶をしたんだ。大馬鹿者が。
「神主さんは、シチフサを一目見て「この子のマナは薄い。マナが効きづらい」駄目かも知れない、そうおっしゃって。夜になって、ダメでした、そう連絡があって。シャオチェと抱き合って泣いた。朝になって、中庭に咲いてた秋牡丹を束にして、社務所で冷たくなって横たわるシチフサの隣に添えた。神主さんから「ありがとう、かえりたい」とそればかりをうわごとのように繰り返していた、そう聞きました」
「死んだ、のですか」
改めて、確認するように問う。
はい、シェリアルがはっきり頷く。
「だからあの子が宮司を名乗れるわけがないんです」
名乗れるはずはないし、なによりミアキスヒューマンもサピエンスも、魚も鳥も獣も竜も、生き物は死ぬと身体からマナが散る。肉体は消滅し魂は自然に還る。魂だけの状態で存在するなんてこと自体あり得ない。
「だけど、シチフサは私の目の前に現れ記憶を奪った」
シェリアルの話は俄かには信じがたい。だが、宮司の紫紺の頭巾を外した素顔、鼻先は白く、耳は黒く、中ほどで折れ曲がった異様な姿をダキアも目の当たりにしている。嘘偽りない真実として、これ以上ない雄弁な証拠だ。
「誰に礼を言いたかったのか、どこに帰りたかったのかは分かりません。僕がいるから大丈夫、なぜ私にそんな事を言ったのかも分からない。だけどあの子は、殿下に危害を加えた。どんな理由があれ、それは許さない。だから私はシチフサと対峙しなきゃならないんです」
純粋な真っすぐな、翡翠色の混じった淡黄色の瞳がダキアを見据えた。以前のように恐怖に怯える姿は微塵もない。
「一人で行くつもりですか?」
「だって、こればかりは殿下を巻き込めない。私の問題です」
「何を言っているんですか、俺はとっくに巻き込まれてますよ?」
今、自分で言ったじゃないですか、俺に危害を加えたって。そう指摘して、ダキアは続ける。
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