余命50年のエルフさん

転定妙用

文字の大きさ
上 下
15 / 43
いわくつきのチームに加入しちゃった

出発進行ー!(カスミ)

しおりを挟む
 私達が出発する時、何人かの新人冒険者達が見送りに来て、
「ありがとうございました。」
と頭を下げたわ。
「?仕方がないな。何もしなくても、尊敬を受けちまうな、俺は。」
と勘違いリーダーが若干1名。
 新人冒険者は市内の地下道とか水路に潜り込む弱小魔獣狩りから始めることが多い。弱小でも魔獣は魔獣、新人だと犠牲が結構でるし、死なないまでも、初めての仕事が最後の仕事になることはざらなのよね。
 で、彼らの仕事に加わってやったわけ。チームの中身の揃わない連中が、仕事を受けようか躊躇しているのを見て、アサが声をかけて加わらせてもらうのである。
 もちろん報酬は私達も同様な配分でというわけで、高くふっかりなんかしなかったわ。成長を見るのって、楽しいものじゃない?いろいろ教えてあげたわ、冒険者としてのイロハをね。え、無料じゃないのって?そんなことしたら、彼らのプライドを傷つけるじゃない。それに、お金のシビアさも教えてやらないとね。

 そして、私達のチーム。勘違い野郎でもあるリーダーをはじめ一応上位の冒険者である、私達夫婦以外は。私達二人は、正真正銘の上位の冒険者よ、念のため。

「私の家は、父が死んで・・・結局没落して・・・そうなると、元領主の娘って惨めよね。だから、村を飛び出して・・・、幼馴染と一緒に・・・、みんなでチームを作ったの。」
 目的地までの旅の間に、女同士は少し親密になって、私は女達から身の上話を聞かされることになった。私も、余命50年の事情を話したけど、
「そ、それは大変・・・ね。」
「たった50年・・・か。」
「エルフだから。」
って全然わかってくれなかったわ。まあ、しかたがないか。
 聖槍使いのスカラブルー、の話は、ちょっと・・・貴族という感じがしない、全くの農民とか庶民じゃないけど、まあ田舎の郷士か地主の家柄なんじゃないかしら。アサも、そんなことを言っていたわ。一緒についてきた幼馴染と恋人になって、そしてリーダーのビュースに乗り換えて、彼を追放したのよね。ビュースというと、同じ村の出身の腕自慢の、村内でも一目を置かれて、自他ともに冒険者として有望視されていたらしい。それで、2人としばらく後に出会って、チームを組んだということなのよね。彼の素性は、彼女知っているはずだけど、その点になると言葉を濁すのよね。

 魔導士のトーブ。こちらは、村で魔導士だから冷たい目で見られたと言うけど、そうかしら?話では、なんとなく冒険者としての装備やらをちゃんと整えて村を出ているようだし、教育も受けているようだから、底辺にいたようではないわね。どうも、母親が有力者の愛人で、本妻の子供たちとは格さがあったものの、そこそこ豊かな生活だったような感触さえある。まあ、当人からしてみれば悔しい思いがあったのだとは感じるけど。
 猫耳獣人のシユウジョ。彼女になると、ビュース以上にとりとめがなくてわからない。彼女も、ちゃんと教育も受けているようだから、庶民以上のレベルで、底辺の出身ではないようね。ただ、父親がかなり暴力的だったから、なんかリーダーに似てるけど、それが原因で冒険者として飛び出したのではないかしら。
 その傷心をいやしたのが、追放された男、つまりスカラの元カレというわけ。彼、彼女一筋で、チームのためにも、彼女達も認めるように、雑事も含めて一生懸命やっていたし、彼女達を癒すために努力をしていたらしい、彼女らが認めているのよね。それをどうして、追放に賛成したのかな?彼女達ねざまあしたいのよね、そろいもそろって。追放した彼は、そういうことに同調しなかった。彼には、恨む相手はいないのよね。彼女らとて、特定に復讐したい相手がいるわけではない。だから、
「俺達はビックになるんだ。」
「俺達のチームは一流になるんだ、超一流になるんだ。」
というチームリーダーのビュースに惹かれちゃったのよね。ビックになって、不特定多数の冷たくした連中を見下したいと言うわけね。
 人間て、分からないわね。
 でも、こういうのも面白いわね。この4人がこれからどうするか、なんか見ていたいなと思っちゃったのよね。このチームで苦労させられるのも面白いと思ったわ、私。こうしたドロドロ模様も大歓迎。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

婚約破棄はいいですが、あなた学院に届け出てる仕事と違いませんか?

来住野つかさ
恋愛
侯爵令嬢オリヴィア・マルティネスの現在の状況を端的に表すならば、絶体絶命と言える。何故なら今は王立学院卒業式の記念パーティの真っ最中。華々しいこの催しの中で、婚約者のシェルドン第三王子殿下に婚約破棄と断罪を言い渡されているからだ。 パン屋で働く苦学生・平民のミナを隣において、シェルドン殿下と側近候補達に断罪される段になって、オリヴィアは先手を打つ。「ミナさん、あなた学院に提出している『就業許可申請書』に書いた勤務内容に偽りがありますわよね?」―― よくある婚約破棄ものです。R15は保険です。あからさまな表現はないはずです。 ※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』にも掲載しています。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

家族で冒険者になろう

ゆぃ♫
ファンタジー
ある日何も無い日常から、ファンタジーに少しずつ変わっていくお話 平凡日常系ファンタジーです。 虫の魔物などが出る予定なので苦手な方はタイトルで読み飛ばしてください。 拙い文章ですが読んでいただけると幸いです。月曜日に不定期に配信します。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

夫に惚れた友人がよく遊びに来るんだが、夫に「不倫するつもりはない」と言われて来なくなった。

ほったげな
恋愛
夫のカジミールはイケメンでモテる。友人のドーリスがカジミールに惚れてしまったようで、よくうちに遊びに来て「食事に行きませんか?」と夫を誘う。しかし、夫に「迷惑だ」「不倫するつもりはない」と言われてから来なくなった。

暁の荒野

Lesewolf
ファンタジー
少女は、実姉のように慕うレイスに戦闘を習い、普通ではない集団で普通ではない生活を送っていた。 いつしか周囲は朱から白銀染まった。 西暦1950年、大戦後の混乱が続く世界。 スイスの旧都市シュタイン・アム・ラインで、フローリストの見習いとして忙しい日々を送っている赤毛の女性マリア。 謎が多くも頼りになる女性、ティニアに感謝しつつ、懸命に生きようとする人々と関わっていく。その様を穏やかだと感じれば感じるほど、かつての少女マリアは普通ではない自問自答を始めてしまうのだ。 Nolaノベル様、アルファポリス様にて投稿しております。執筆はNola(エディタツール)です。 Nolaノベル様、カクヨム様、アルファポリス様の順番で投稿しております。 キャラクターイラスト:はちれお様

処理中です...