【完結】九里くんは天狗さま!~星降る夜の狐と秘密~

古都まとい

文字の大きさ
上 下
6 / 24

第6話:まさかの転校生!?

しおりを挟む
 どういうこと!?

 わたしのらないあいだに、つくえとイスはそらぶようになっちゃったの?

 わたしはそっと先生せんせいかおた。
 先生せんせいまどをついて、くちをあんぐりとけている。
 おどろきすぎて、くちじなくなっちゃったみたい。
 自分じぶんせきすわっていたはずのみんなも、ってまどのところにならんでいる。

「ねぇ! あのつくえ花向はなむけさんのじゃない?」

 そのこえいて、わたしもまどのほうへはしった。
 おでこをぴったりまどガラスにつけて、ぷかぷかといているつくえる。

 ほんとだ! わたしのつくえ
 つくえまえにかけられたお花柄はながらのぞうきんは、わたしのおばあちゃんがつくってくれたものだ。

 まちがいない、あのつくえはわたしのもの!

 でも、どうして?
 どうしてわたしのつくえ教室きょうしつして、そらぶことになったんだろう?

 わたしは自分じぶんいきでくもったまどガラスを、ふくのそでを使つかってふいた。

 というか……。

先生せんせい! つくえがこっちにかってきてる!」

 メイメイがおおきなこえで、先生せんせいう。

 やっぱりそうだ! わたしのみまちがいじゃない。
 わたしのつくえは、どんどん教室きょうしつまどちかづいてきてる!

「どうしよう、このままじゃぶつかっちゃうよぉ!」
「みんな、まどからはなれるんだ! ガラスがわれるかもしれないから、廊下ろうかて!」

 先生せんせい指示しじで、みんながわっとはしって教室きょうしつしていく。
 何人なんにんかとかたがぶつかったけど、わたしはじっとそのうごけなかった。

花向はなむけ! おまえも廊下ろうかていろ!」

 先生せんせいおおきなこえあたまなかでぐわんぐわんひびく。

 でも、一歩いっぽうごけない。
 先生せんせいはわたしをしのけると、まどをめいいっぱいけた。

 イスはとおりそうだけど……つくえはむりかもしれない。

「あぶないからはなれていなさい! まどはずすから!」

 先生せんせい大声おおごえで、わたしはやっとあしうごかせた。
 じゃまにならないように、元々もともとわたしのつくえがあった場所ばしょまでがる。

 先生せんせいは「よっ」とかけごえをかけて、まどげた。
 ガコッとおとてて、まどがレールからはずれ、先生せんせいがゆっくりとゆかろす。
 二枚にまいはずしたところで、そのしゅんかんはやってきた。

先生せんせい、あぶない!」

 廊下ろうかからおんなたちの悲鳴ひめいこえる。
 そらいていたつくえとイスは、ぴったりくっついて先生せんせいまえまでんできていた。

「うおっ!」

 先生せんせいはぶつかる寸前すんぜんで、あたまげた。
 先生せんせいまどはずしてつくった空間くうかんを、つくえとおっていく。
 先生せんせいあたまうえすれすれのところをゆっくりととおりすぎた。

 そして、つくえにつづくようにイスも。
 ふたつとも、まどにぶつかることはなかった。

 まって、こっちにかってきてる?

 つくえとイスはまっすぐわたしにかってきていた。

 わたしは一歩いっぽ二歩にほがる。

 さいしょに、イスがゆかりた。
 それからつくえがゆっくりと四本足よんほんあしゆかにつける。
 わたしのつくえとイスは、さいしょからそこにあったように元通もとどおりになった。

 わたしはそっとつくえにさわる。
 そとかぜのせいで、すこしつめたい。
 けれど、たしかにわたしのつくえだった。
 ぞうきんも、昨日きのうつくえなかにわすれたノートも、そのままはいっている。
 ……かまちゃんに油性ゆせいマジックでかれた「バカ」っていうらくがきも、そのまま。

 キーンコーンカーンコーン。

 みんながぞろぞろと教室きょうしつにもどってきて、先生せんせいまどなおしているところにチャイムがる。
 あさかいがおわる時間じかんだ。
 みんながすわったのをて、先生せんせいはふうっとためいきをついてからしゃべりした。

「まあ、色々いろいろあったけど……これからあさかいをはじめるぞー」

 となりのひととおしゃべりをしていたも、先生せんせいこえいてしずかになる。

「えーっと、いそいでるからだいじなことだけうか。今日きょうからこのクラスに、あたらしいひとがくることになった」
「えっー!」
転校生てんこうせい!?」
おとこ? おんな?」

 おどろいたみんながいっせいにしゃべりす。

しずかにー!」

 空気くうきがビリビリするくらいの大声おおごえで、おしゃべりがぴたっとんだ。

「じゃあはいってきてもらうぞ。おーい、おそくなってわるいな!」

 先生せんせい廊下ろうかこえをかける。
 教室きょうしつまえにあるドアが、ガラッといた。

 パイナップルのかれたしろティーシャツに、よこしろせんはいったくろいジャージのズボン。

 さらさらとしたみじかかみ、オオカミみたいな、するどくてほそい、あか

 まちがいない、あのは――。

自己紹介じこしょうかいをしてもらってもいいか?」

 先生せんせいわれて、そのはにんまりとわらう。

 わたしを、ながら。

花向九里はなむけきゅうりだ! よろしく!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

コボンとニャンコ

魔界の風リーテ
児童書・童話
吸血コウモリのコボンは、リンゴの森で暮らしていた。 その日常は、木枯らしの秋に倒壊し、冬が厳粛に咲き誇る。 放浪の最中、箱入りニャンコと出会ったのだ。 「お前は、バン。オレが…気まぐれに決めた」 三日月の霞が晴れるとき、黒き羽衣に火が灯る。 そばにはいつも、夜空と暦十二神。 『コボンの愛称以外のなにかを探して……』 眠りの先には、イルカのエクアルが待っていた。 残酷で美しい自然を描いた、物悲しくも心温まる物語。 ※縦書き推奨  アルファポリス、ノベルデイズにて掲載 【文章が長く、読みにくいので、修正します】(2/23) 【話を分割。文字数、表現などを整えました】(2/24) 【規定数を超えたので、長編に変更。20話前後で完結予定】(2/25) 【描写を追加、変更。整えました】(2/26) 筆者の体調を破壊()3/

【完】ノラ・ジョイ シリーズ

丹斗大巴
児童書・童話
✴* ✴* 母の教えを励みに健気に頑張る女の子の成長と恋の物語 ✴* ✴* ▶【シリーズ1】ノラ・ジョイのむげんのいずみ ~みなしごノラの母の教えと盗賊のおかしらイサイアスの知られざる正体~ 母を亡くしてみなしごになったノラ。職探しの果てに、なんと盗賊団に入ることに! 非道な盗賊のお頭イサイアスの元、母の教えを励みに働くノラ。あるとき、イサイアスの正体が発覚! 「え~っ、イサイアスって、王子だったの!?」いつからか互いに惹かれあっていた二人の運命は……? 母の教えを信じ続けた少女が最後に幸せをつかむシンデレラ&サクセスストーリー ▶【シリーズ2】ノラ・ジョイの白獣の末裔 お互いの正体が明らかになり、再会したノラとイサイアス。ノラは令嬢として相応しい教育を受けるために学校へ通うことに。その道中でトラブルに巻き込まれて失踪してしまう。慌てて後を追うイサイアスの前に現れたのは、なんと、ノラにうりふたつの辺境の民の少女。はてさて、この少女はノラなのかそれとも別人なのか……!? ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴*

イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~

友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。 全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。

氷鬼司のあやかし退治

桜桃-サクランボ-
児童書・童話
 日々、あやかしに追いかけられてしまう女子中学生、神崎詩織(かんざきしおり)。  氷鬼家の跡取りであり、天才と周りが認めているほどの実力がある男子中学生の氷鬼司(ひょうきつかさ)は、まだ、詩織が小さかった頃、あやかしに追いかけられていた時、顔に狐の面をつけ助けた。  これからは僕が君を守るよと、その時に約束する。  二人は一年くらいで別れることになってしまったが、二人が中学生になり再開。だが、詩織は自身を助けてくれた男の子が司とは知らない。  それでも、司はあやかしに追いかけられ続けている詩織を守る。  そんな時、カラス天狗が現れ、二人は命の危険にさらされてしまった。  狐面を付けた司を見た詩織は、過去の男の子の面影と重なる。  過去の約束は、二人をつなぎ止める素敵な約束。この約束が果たされた時、二人の想いはきっとつながる。  一人ぼっちだった詩織と、他人に興味なく冷たいと言われている司が繰り広げる、和風現代ファンタジーここに開幕!!

はんぶんこ天使

いずみ
児童書・童話
少し内気でドジなところのある小学五年生の美優は、不思議な事件をきっかけに同級生の萌が天使だということを知ってしまう。でも彼女は、美優が想像していた天使とはちょっと違って・・・ 萌の仕事を手伝ううちに、いつの間にか美優にも人の持つ心の闇が見えるようになってしまった。さて美優は、大事な友達の闇を消すことができるのか? ※児童文学になります。小学校高学年から中学生向け。もちろん、過去にその年代だったあなたもOK!・・・えっと、低学年は・・・?

夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~

世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。 友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。 ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。 だが、彼らはまだ知らなかった。 ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。 敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。 果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか? 8月中、ほぼ毎日更新予定です。 (※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)

スペクターズ・ガーデンにようこそ

一花カナウ
児童書・童話
結衣には【スペクター】と呼ばれる奇妙な隣人たちの姿が見えている。 そんな秘密をきっかけに友だちになった葉子は結衣にとって一番の親友で、とっても大好きで憧れの存在だ。 しかし、中学二年に上がりクラスが分かれてしまったのをきっかけに、二人の関係が変わり始める……。 なお、当作品はhttps://ncode.syosetu.com/n2504t/ を大幅に改稿したものになります。 改稿版はアルファポリスでの公開後にカクヨム、ノベルアップ+でも公開します。

お弁当ミュージカル

燦一郎
児童書・童話
学校の行事で六年生の「ぼく」は一年生のユウトとペアで遠足にでかける。 ぼくはお弁当を作ってくれる人がいないのでコンビニ弁当。 ユウトはおかずの種類が豊富な豪華な弁当。 ユウトの前でコンビニ弁当を開きたくなくて、お腹が痛いといって寝てしまう。 夢の中で見たのはお弁当ミュージカル。 弁当の惣菜が歌をうたったり、踊ったりする。 ぼくはそのミュージカルを見て、お弁当への感謝の気持ちを持つ。 ♪ぼくの母さん生きている  ぼくが優しい気持ちを持ったとき  そこに母さんいるんだよ  お店の弁当に優しさを   ユウトの弁当に優しさを   ぼくは心に 誓います♪  

処理中です...