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インタビューウィズルイーゼ
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俺は下着を取り替え、着替えを済ませてリビングに戻った。ルイーゼは、さっきみた状態のままカーテンの隙間から外を見つめている。
「外、なにか見えるか?」
『はい、夜だというのにとてもキラキラとしてとても綺麗です……』
俺はなんとなくルイーゼの横に立ち、カーテンの外にある風景を眺める。
『私は、父の城から出たことがありませんでした。城をでたのは一度きり、あの迷宮に閉ざされた時だけです……』
俺にとっては見慣れた光景、それを楽しそうにながめている少女。
『本の中でしか知らなかった世界……』
「まあ、これから色々見ていけるさ」
と、ルイーゼの頭にぽんと手を乗っけてから、悠希とは違った髪の感触にちょっとドキっとしてしまった。昔のアイツが太陽の子だとするなら、彼女は月って感じだなあ……とそこまで考えてふと恐ろしいことを思い出した。
ベットの脇に投げ捨ててあった背広のポケットから、剣の柄……は今はいいとサイドテーブルの上に投げ捨てて、スマホを持ってリビングに戻る。リビングのソファの上に置いてあったノートパソコンに繋いであるケーブルを繋ぎ充電を開始する。
『トウヤさん、この光る物は?』
いつの間にか、ルイーゼが俺の後ろからパソコンを覗き込んでいる。移動した気配を感じなかったんだけど……。
「あー、これは世界の情報を知る道具ってとこかな?」
と適当な返事をしながら、スマホを起動する。起動したスマホ画面の日付を見て俺は首を傾げる。
「あれ? 時間が経ってない、というか戻った?」
ルイーゼに聞いた話では、迷宮のあの部屋でかなり長く意識を失っていたと思うんだけど……。それにしても日付が狂うことはないだろう。狂ってるのは俺の感覚なんだろうか?
そんな事を考えていると、俺のおなかがぐぅと空腹を訴えてきた。そういや、喰わずに寝るつもりがあんな大冒険になったんだっけか。と、ふとルイーゼの方を見る。
「ルイーゼは……血、吸うか? お腹減ってないのか?」
『血は頂かなくても大丈夫です、昨日いただいたものが……』
と、彼女はお腹に手をあてて微笑む。いや、そのポーズ違うから!! 君みたいな容姿の子が半裸でそんな笑み見せたら俺の世界だとアウトだから!!
『私は、ずっと血を吸わずに生きてきましたし、普通の食物と水で生きていけます』
生きてきた……、ってアンデットじゃないのかな?
『この国ではどうか判りませんが、私たちは吸血族という闇属性の亜人種です』
ゾンビやスケルトンと一緒扱いは酷いです、とちょっと珍しく拗ねた風を見せた。あの世界、やっぱりゾンビとか居るのか。バールの様なものを手に入れておくべきか。
「コウモリになったりとかは?」
『バットですか? 容姿変更の魔法を使えばできるかもしれませんが、飛べませんよ?』
とたとたあるくルイーゼコウモリをちょっと想像したら面白かったが、ダメなのか。
「鏡に写らなかったり、流水が怖いとかは?」
『水浴びも、そのあと髪を梳かすのもできなくなってしまいます……』
「弱点とかは? 日の光とか、胸に杭を打たれたら死ぬとか」
『光の属性が強い昼間はちょっと苦手です。肌が弱いのと、目が良いので日の光を直にみるのは大変です。あと胸に杭を打たれたら死ぬと思います』
いや、俺も直接みるのはキツいし、杭も食らったら死ぬわ。
「じゃあ、この部屋の明かりくらいなら大丈夫?」
『はい、明るいのに自然な光で良いですね』
LED電灯の光はお気に召したらしい。
俺は空腹に耐え切れず、昨日かってきた惣菜の袋からコロッケを取り出して齧りつく。ちょっと冷えちゃったけど、あの角の肉屋のお惣菜は美味いなあ……。するとルイーゼがじーっとこっちを見つめている、彼女もお腹すいてるんだろうか? さっきお腹押えてたけど。
「……食べる?」
と聞いてみたら、ルイーゼは小さく頷いた。そして、小さな口でコロッケに齧りついて微笑んだ。
『美味しいです……』
小さい口で、ちょっとづつコロッケを食べる銀髪の少女。なんか小動物みたいだ……。
『……あそこから抜け出せて……、こんな美味しいものを頂いて……ありがとうございます……』
ルイーゼの食が止まったと思ったら、また瞳から涙が零れそうになっていた。そんな大したものじゃない、っていったら角のおばちゃんに怒られるか。閉じ込められていたというルイーゼ。初めての食べ物を食べて、なんか実感が沸いてきてしまったんだろう。
「こんなもんじゃないさ、少しづつ外の世界を楽しんでいこう」
『はい』
と、泣き笑いの笑顔を見せるルイーゼ。美少女なのに口元のコロッケのカスがちょっと不似合いだけど。守ってやらなきゃなあ……、と考えていた、彼女と同じく血を与えているタイプの違う従妹を思い出しながら。
「外、なにか見えるか?」
『はい、夜だというのにとてもキラキラとしてとても綺麗です……』
俺はなんとなくルイーゼの横に立ち、カーテンの外にある風景を眺める。
『私は、父の城から出たことがありませんでした。城をでたのは一度きり、あの迷宮に閉ざされた時だけです……』
俺にとっては見慣れた光景、それを楽しそうにながめている少女。
『本の中でしか知らなかった世界……』
「まあ、これから色々見ていけるさ」
と、ルイーゼの頭にぽんと手を乗っけてから、悠希とは違った髪の感触にちょっとドキっとしてしまった。昔のアイツが太陽の子だとするなら、彼女は月って感じだなあ……とそこまで考えてふと恐ろしいことを思い出した。
ベットの脇に投げ捨ててあった背広のポケットから、剣の柄……は今はいいとサイドテーブルの上に投げ捨てて、スマホを持ってリビングに戻る。リビングのソファの上に置いてあったノートパソコンに繋いであるケーブルを繋ぎ充電を開始する。
『トウヤさん、この光る物は?』
いつの間にか、ルイーゼが俺の後ろからパソコンを覗き込んでいる。移動した気配を感じなかったんだけど……。
「あー、これは世界の情報を知る道具ってとこかな?」
と適当な返事をしながら、スマホを起動する。起動したスマホ画面の日付を見て俺は首を傾げる。
「あれ? 時間が経ってない、というか戻った?」
ルイーゼに聞いた話では、迷宮のあの部屋でかなり長く意識を失っていたと思うんだけど……。それにしても日付が狂うことはないだろう。狂ってるのは俺の感覚なんだろうか?
そんな事を考えていると、俺のおなかがぐぅと空腹を訴えてきた。そういや、喰わずに寝るつもりがあんな大冒険になったんだっけか。と、ふとルイーゼの方を見る。
「ルイーゼは……血、吸うか? お腹減ってないのか?」
『血は頂かなくても大丈夫です、昨日いただいたものが……』
と、彼女はお腹に手をあてて微笑む。いや、そのポーズ違うから!! 君みたいな容姿の子が半裸でそんな笑み見せたら俺の世界だとアウトだから!!
『私は、ずっと血を吸わずに生きてきましたし、普通の食物と水で生きていけます』
生きてきた……、ってアンデットじゃないのかな?
『この国ではどうか判りませんが、私たちは吸血族という闇属性の亜人種です』
ゾンビやスケルトンと一緒扱いは酷いです、とちょっと珍しく拗ねた風を見せた。あの世界、やっぱりゾンビとか居るのか。バールの様なものを手に入れておくべきか。
「コウモリになったりとかは?」
『バットですか? 容姿変更の魔法を使えばできるかもしれませんが、飛べませんよ?』
とたとたあるくルイーゼコウモリをちょっと想像したら面白かったが、ダメなのか。
「鏡に写らなかったり、流水が怖いとかは?」
『水浴びも、そのあと髪を梳かすのもできなくなってしまいます……』
「弱点とかは? 日の光とか、胸に杭を打たれたら死ぬとか」
『光の属性が強い昼間はちょっと苦手です。肌が弱いのと、目が良いので日の光を直にみるのは大変です。あと胸に杭を打たれたら死ぬと思います』
いや、俺も直接みるのはキツいし、杭も食らったら死ぬわ。
「じゃあ、この部屋の明かりくらいなら大丈夫?」
『はい、明るいのに自然な光で良いですね』
LED電灯の光はお気に召したらしい。
俺は空腹に耐え切れず、昨日かってきた惣菜の袋からコロッケを取り出して齧りつく。ちょっと冷えちゃったけど、あの角の肉屋のお惣菜は美味いなあ……。するとルイーゼがじーっとこっちを見つめている、彼女もお腹すいてるんだろうか? さっきお腹押えてたけど。
「……食べる?」
と聞いてみたら、ルイーゼは小さく頷いた。そして、小さな口でコロッケに齧りついて微笑んだ。
『美味しいです……』
小さい口で、ちょっとづつコロッケを食べる銀髪の少女。なんか小動物みたいだ……。
『……あそこから抜け出せて……、こんな美味しいものを頂いて……ありがとうございます……』
ルイーゼの食が止まったと思ったら、また瞳から涙が零れそうになっていた。そんな大したものじゃない、っていったら角のおばちゃんに怒られるか。閉じ込められていたというルイーゼ。初めての食べ物を食べて、なんか実感が沸いてきてしまったんだろう。
「こんなもんじゃないさ、少しづつ外の世界を楽しんでいこう」
『はい』
と、泣き笑いの笑顔を見せるルイーゼ。美少女なのに口元のコロッケのカスがちょっと不似合いだけど。守ってやらなきゃなあ……、と考えていた、彼女と同じく血を与えているタイプの違う従妹を思い出しながら。
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