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第一章 カラス色の聖女
リュカの背中3
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――コンコンコン
ベッドの上に横たわりぼーっと天井を見上げていた小鳥は、ドアから聞こえてきたノックの音にピクリと身体を竦ませる。
「小鳥様、お目覚めでいらっしゃいますか?」
「……はい」
夢にしては随分とリアルな夢に翻弄され疲れ果てた小鳥は、ドア越しに掛けられた声に力なく応える。さすがに寝転がったままでは失礼だと考え、上半身だけ起こすと手櫛で簡単に髪を整えた。
「失礼致します。お部屋から小鳥様の声が少し聞こえましたが、何かお困り事などございましたか?」
心配そうな顔をした年嵩の侍女が小鳥の側までやって来た。どうやら、小鳥が目覚めた時の悲痛な叫び声が彼女の耳まで届いていたようだ。
「早朝からお騒がせしてしまってすみません。少し夢見が悪かっただけです」
「左様でございますか。差し出口であるかも知れませんが、小鳥様の顔色はあまりよろしいようには見えません。もう少しお休みになられる事をおすすめ致しますが……」
確かに今の小鳥はあまり良い状態とは言えない。きちんと眠ったはずなのに、まるで徹夜明けの朝のように妙に疲れているのだ。
しかし、一度身体を起こしてしまったからか目はしっかりと覚めている。もう一度布団の中へ戻ってもきっと寝付けないだろう。
「ご心配いただきありがとうございます。ちょっとだけ寝不足ですが、大丈夫です。ただ、少し喉が渇いたので何か飲み物を頂くことは出来ますか?」
「すぐにご用意致します。今朝は少し冷え込んでおりますので、スパイス入りのミルクティーなどはいかがでしょうか?」
(スパイス入り、と言う事はチャイみたいな飲み物かな?)
元よりお茶好きの小鳥は、こちらの世界のチャイがどのような物であるのか興味が湧いた。多少記憶の中の味と違っていても、ナターリエの家の物ならばきっと美味しいだろう。
「ありがとうございます。では、それをお願いします」
「かしこまりました。こちらまでお待ち致します。お召し替えはすぐになさいますか?それとももう少し後に致しましょうか?」
「出来れば今着替えてしまいたいです」
「かしこまりました」
そう侍女が言うなり一歩下がると、エプロンから取り出した小さなベルを鳴らした。
するとすぐにドアからノックが聞こえ、若い侍女が小鳥のいる客間までやって来た。その若い侍女にお茶の指示を手早く済ませると、年嵩の侍女は再び小鳥の側へと戻ってくる。
「では、こちらに。お召し替えのお手伝いをさせていただきます」
侍女に手伝ってもらいながら昨日と同じドレスに着替えを済ませると、鏡台へと座らされ髪の毛の手入れが始まった。小鳥はブラシで簡単に梳かせば良いと思っていたのだが、どうやらそれだけではケア不足らしい。
柔らかいブラシで丁寧に髪を梳かした後は、ふんわりと花の香りのするオイルを付け、目の詰まったコームで馴染ませてゆく。何度もコームを通し完全に髪に馴染ませれば、いつもよりも艶やかになった黒髪が小鳥の背中に広がった。
「今日も髪を上げましょうか?」
「お願いします。あ、解きやすいようにまとめてもらう事は出来ますか?」
沢山のピンや髪紐で固定されてしまうと一人で解くのに苦労するのだ。貴族の人であれば使用人に全てをやらせるのだろうが、極々普通の庶民である小鳥は出来れば自分でやりたいと考える。
「解きやすく、ですね。ピン三つ、いえ。小鳥様の髪質でしたらピン二つでまとめましょう。髪飾りはこちらの生花ですね」
小鳥からの注文に目を輝かせながら、柔らかな黒髪を手早く結い上げてゆく。侍女の手の動きに迷いはない。
完成した編み込みの三つ編みを利用したスタイルは、宣言通りピン二つで綺麗にまとめあげられた。
「差し込んでいる生花を抜くと、そのまま髪が崩れてしまいやすくなるのでご注意ください。では、わたくしは一度下がりますが、何かございましたらベルでお呼びくださいませ」
朝食まではまだ時間があると言う事で、小鳥は部屋でゆっくりとお茶を頂く事にした。
生姜がしっかりと効いたチャイに良く似た飲み物はとても美味しい物であった。本来であればもう少し生姜は少なめで作るのだが、小鳥の体調を考慮し生姜多めで作られたそうだ。
「…美味しい。これはもうチャイって事でいいね。うん」
ミルクも蜂蜜もたっぷりと入ったそのチャイは、不穏な終わり方をした夢のせいでガチガチになった心を解きほぐしてゆく。
(あれはただの夢。夢だと分かっているのだけれど……)
小鳥にはどうしてもただの夢だと思う事が出来なかった。
リュカの姿がはっきりと見えた訳ではないが、あの夢の中では大きな木の幹の裏にいるのがリュカだと分かった。そして、何かとても嫌な事が起こっている事も。
「リュカは森へ入るなって言ったけど……。とりあえずお昼までは待ってみよう。予定通りであればお昼には戻って来るのだし、それまでは待とう」
ティーカップに入った残りのチャイを飲み干すと、空になったそれを手に廊下へと足を踏み出した。
朝の時間であればきっと皆忙しいだろう。それならば暇な小鳥が自分で片付けてしまえば良いと思ったのだ。
そんな気持ちの勢いのみで飛び出しては来たものの、広い屋敷のどこに厨房があるのか分からない。使用人達も今の時間はそれぞれ支度をしているのか、廊下ですれ違う事がない。
「あれ?この道さっきも通ったような……?」
広い屋敷の中には似たような廊下がいくつも続いている。初めて通る廊下であっても何となく見覚えがあるような気がしてくるのだ。
これは迷子になってしまったぞと思ったその時、どこからか焼き立てのパンの良い香りが漂って来た。その香りに誘われるように足を進めて行けば、目的地の厨房へと辿り着いたのだった。
扉を開けずとも中からは忙しなく動く人の気配と、ガチャガチャと何か作業をしている音が聞こえてくる。
仕事の邪魔にならないよう控えめにノックをしたのだが、中から反応はない。もう一度ノックをしようと小鳥は再び扉へと手を伸ばす。
「あんたどうしたんだい?」
小鳥の手が扉に触れる前に、ふくよかな女性に声を掛けられた。その身なりから厨房担当の使用人である事が分かる。
「朝の忙しい時間にすみません。飲み終わったティーカップをお返ししようと思いまして」
「おやまあ!わざわざここまで返しに来てくれたのかい!奥様のお客さんにそんな事をさせちまって悪いね。今度からはこの屋敷の者を遠慮なく使うといいよ」
「いえ、私も暇を持て余していたので。厨房の中を見ても良いですか?」
「構わないが特段面白い物はないと思うよ?あぁ、でも今なら焼き立てのパンならあるね」
その女性は小鳥よりも一回り以上たくましい腕で豪快に扉を開けると、小鳥を厨房の中へと招き入れた。
中では小鳥や住み込みの使用人達への食事の支度が進められていた。後一時間もしないうちに全ての朝食が出来上がるだろう。
「ほら!お姫様がいらっしゃったよ!!」
よく通る声でふくよかな女性がそう言えば、厨房内の全員がくるりと向きを変え小鳥を見た。このような所に来る客は相当珍しいのだろう。皆一様に驚いたような顔をしている。
「メリル!何やってんだ!お客さんをこんな所に連れて来て!!お嬢ちゃん、すまないね。メリルが迷惑を……」
「いえ!私がこちらに来たいといったのです。その、こちらのカップを返しに」
空のティーカップをずいっと差し出すと、ひょろりとしたその男性は目を瞬かせながら小鳥からティーカップを受け取った。
「こりゃまた珍しいな。お客さん自ら食器を返しに来たのは初めてだ…」
「すみません……」
「いや!違うんだ!お嬢ちゃんは悪くないんだよ。あぁ、くそっ」
――スパーン
キレの良い音が厨房に響いた。メリルと呼ばれたふくよかな女性が、目の前のひょろりとした男性の後頭部を思いっきり叩いたのだ。
「女性の前で"くそ"だなんて下品な言葉を使うんじゃないよ!あたしの耳まで腐っちまう」
「お前の耳はとうの昔に腐ってるだろうがよ……」
「あぁ?」
「いや、何でもないです……」
「まったくこれだから男ってヤツは……。あぁすまないね。せっかくここまで来たんだ。焼き立てのパンでも食べて行くかい?お腹が空いているなら卵とベーコンも焼こうか」
「メリル!!お客さんにこんな所で食べてもらう訳にはいかな――」
「いいんですか!是非いただきたいです!」
目を輝かせながら小鳥は即答した。
何せ夢の中でも森を歩き、起きてからも屋敷の中を徘徊していたのだ。強い疲労感を覚えたところに、焼き立てのパンの良い香りを嗅がされてはお腹も空くというものだ。
小鳥は厨房の端にある質素な椅子に腰を掛け、期待の眼差しを良い香りを漂わせているオーブンへと向ける。
メリルは木製のお玉を振り上げると大きな声を張り上げた。
「さぁ!あんた達!お姫様が腹ペコで待ってるよ!!」
ベッドの上に横たわりぼーっと天井を見上げていた小鳥は、ドアから聞こえてきたノックの音にピクリと身体を竦ませる。
「小鳥様、お目覚めでいらっしゃいますか?」
「……はい」
夢にしては随分とリアルな夢に翻弄され疲れ果てた小鳥は、ドア越しに掛けられた声に力なく応える。さすがに寝転がったままでは失礼だと考え、上半身だけ起こすと手櫛で簡単に髪を整えた。
「失礼致します。お部屋から小鳥様の声が少し聞こえましたが、何かお困り事などございましたか?」
心配そうな顔をした年嵩の侍女が小鳥の側までやって来た。どうやら、小鳥が目覚めた時の悲痛な叫び声が彼女の耳まで届いていたようだ。
「早朝からお騒がせしてしまってすみません。少し夢見が悪かっただけです」
「左様でございますか。差し出口であるかも知れませんが、小鳥様の顔色はあまりよろしいようには見えません。もう少しお休みになられる事をおすすめ致しますが……」
確かに今の小鳥はあまり良い状態とは言えない。きちんと眠ったはずなのに、まるで徹夜明けの朝のように妙に疲れているのだ。
しかし、一度身体を起こしてしまったからか目はしっかりと覚めている。もう一度布団の中へ戻ってもきっと寝付けないだろう。
「ご心配いただきありがとうございます。ちょっとだけ寝不足ですが、大丈夫です。ただ、少し喉が渇いたので何か飲み物を頂くことは出来ますか?」
「すぐにご用意致します。今朝は少し冷え込んでおりますので、スパイス入りのミルクティーなどはいかがでしょうか?」
(スパイス入り、と言う事はチャイみたいな飲み物かな?)
元よりお茶好きの小鳥は、こちらの世界のチャイがどのような物であるのか興味が湧いた。多少記憶の中の味と違っていても、ナターリエの家の物ならばきっと美味しいだろう。
「ありがとうございます。では、それをお願いします」
「かしこまりました。こちらまでお待ち致します。お召し替えはすぐになさいますか?それとももう少し後に致しましょうか?」
「出来れば今着替えてしまいたいです」
「かしこまりました」
そう侍女が言うなり一歩下がると、エプロンから取り出した小さなベルを鳴らした。
するとすぐにドアからノックが聞こえ、若い侍女が小鳥のいる客間までやって来た。その若い侍女にお茶の指示を手早く済ませると、年嵩の侍女は再び小鳥の側へと戻ってくる。
「では、こちらに。お召し替えのお手伝いをさせていただきます」
侍女に手伝ってもらいながら昨日と同じドレスに着替えを済ませると、鏡台へと座らされ髪の毛の手入れが始まった。小鳥はブラシで簡単に梳かせば良いと思っていたのだが、どうやらそれだけではケア不足らしい。
柔らかいブラシで丁寧に髪を梳かした後は、ふんわりと花の香りのするオイルを付け、目の詰まったコームで馴染ませてゆく。何度もコームを通し完全に髪に馴染ませれば、いつもよりも艶やかになった黒髪が小鳥の背中に広がった。
「今日も髪を上げましょうか?」
「お願いします。あ、解きやすいようにまとめてもらう事は出来ますか?」
沢山のピンや髪紐で固定されてしまうと一人で解くのに苦労するのだ。貴族の人であれば使用人に全てをやらせるのだろうが、極々普通の庶民である小鳥は出来れば自分でやりたいと考える。
「解きやすく、ですね。ピン三つ、いえ。小鳥様の髪質でしたらピン二つでまとめましょう。髪飾りはこちらの生花ですね」
小鳥からの注文に目を輝かせながら、柔らかな黒髪を手早く結い上げてゆく。侍女の手の動きに迷いはない。
完成した編み込みの三つ編みを利用したスタイルは、宣言通りピン二つで綺麗にまとめあげられた。
「差し込んでいる生花を抜くと、そのまま髪が崩れてしまいやすくなるのでご注意ください。では、わたくしは一度下がりますが、何かございましたらベルでお呼びくださいませ」
朝食まではまだ時間があると言う事で、小鳥は部屋でゆっくりとお茶を頂く事にした。
生姜がしっかりと効いたチャイに良く似た飲み物はとても美味しい物であった。本来であればもう少し生姜は少なめで作るのだが、小鳥の体調を考慮し生姜多めで作られたそうだ。
「…美味しい。これはもうチャイって事でいいね。うん」
ミルクも蜂蜜もたっぷりと入ったそのチャイは、不穏な終わり方をした夢のせいでガチガチになった心を解きほぐしてゆく。
(あれはただの夢。夢だと分かっているのだけれど……)
小鳥にはどうしてもただの夢だと思う事が出来なかった。
リュカの姿がはっきりと見えた訳ではないが、あの夢の中では大きな木の幹の裏にいるのがリュカだと分かった。そして、何かとても嫌な事が起こっている事も。
「リュカは森へ入るなって言ったけど……。とりあえずお昼までは待ってみよう。予定通りであればお昼には戻って来るのだし、それまでは待とう」
ティーカップに入った残りのチャイを飲み干すと、空になったそれを手に廊下へと足を踏み出した。
朝の時間であればきっと皆忙しいだろう。それならば暇な小鳥が自分で片付けてしまえば良いと思ったのだ。
そんな気持ちの勢いのみで飛び出しては来たものの、広い屋敷のどこに厨房があるのか分からない。使用人達も今の時間はそれぞれ支度をしているのか、廊下ですれ違う事がない。
「あれ?この道さっきも通ったような……?」
広い屋敷の中には似たような廊下がいくつも続いている。初めて通る廊下であっても何となく見覚えがあるような気がしてくるのだ。
これは迷子になってしまったぞと思ったその時、どこからか焼き立てのパンの良い香りが漂って来た。その香りに誘われるように足を進めて行けば、目的地の厨房へと辿り着いたのだった。
扉を開けずとも中からは忙しなく動く人の気配と、ガチャガチャと何か作業をしている音が聞こえてくる。
仕事の邪魔にならないよう控えめにノックをしたのだが、中から反応はない。もう一度ノックをしようと小鳥は再び扉へと手を伸ばす。
「あんたどうしたんだい?」
小鳥の手が扉に触れる前に、ふくよかな女性に声を掛けられた。その身なりから厨房担当の使用人である事が分かる。
「朝の忙しい時間にすみません。飲み終わったティーカップをお返ししようと思いまして」
「おやまあ!わざわざここまで返しに来てくれたのかい!奥様のお客さんにそんな事をさせちまって悪いね。今度からはこの屋敷の者を遠慮なく使うといいよ」
「いえ、私も暇を持て余していたので。厨房の中を見ても良いですか?」
「構わないが特段面白い物はないと思うよ?あぁ、でも今なら焼き立てのパンならあるね」
その女性は小鳥よりも一回り以上たくましい腕で豪快に扉を開けると、小鳥を厨房の中へと招き入れた。
中では小鳥や住み込みの使用人達への食事の支度が進められていた。後一時間もしないうちに全ての朝食が出来上がるだろう。
「ほら!お姫様がいらっしゃったよ!!」
よく通る声でふくよかな女性がそう言えば、厨房内の全員がくるりと向きを変え小鳥を見た。このような所に来る客は相当珍しいのだろう。皆一様に驚いたような顔をしている。
「メリル!何やってんだ!お客さんをこんな所に連れて来て!!お嬢ちゃん、すまないね。メリルが迷惑を……」
「いえ!私がこちらに来たいといったのです。その、こちらのカップを返しに」
空のティーカップをずいっと差し出すと、ひょろりとしたその男性は目を瞬かせながら小鳥からティーカップを受け取った。
「こりゃまた珍しいな。お客さん自ら食器を返しに来たのは初めてだ…」
「すみません……」
「いや!違うんだ!お嬢ちゃんは悪くないんだよ。あぁ、くそっ」
――スパーン
キレの良い音が厨房に響いた。メリルと呼ばれたふくよかな女性が、目の前のひょろりとした男性の後頭部を思いっきり叩いたのだ。
「女性の前で"くそ"だなんて下品な言葉を使うんじゃないよ!あたしの耳まで腐っちまう」
「お前の耳はとうの昔に腐ってるだろうがよ……」
「あぁ?」
「いや、何でもないです……」
「まったくこれだから男ってヤツは……。あぁすまないね。せっかくここまで来たんだ。焼き立てのパンでも食べて行くかい?お腹が空いているなら卵とベーコンも焼こうか」
「メリル!!お客さんにこんな所で食べてもらう訳にはいかな――」
「いいんですか!是非いただきたいです!」
目を輝かせながら小鳥は即答した。
何せ夢の中でも森を歩き、起きてからも屋敷の中を徘徊していたのだ。強い疲労感を覚えたところに、焼き立てのパンの良い香りを嗅がされてはお腹も空くというものだ。
小鳥は厨房の端にある質素な椅子に腰を掛け、期待の眼差しを良い香りを漂わせているオーブンへと向ける。
メリルは木製のお玉を振り上げると大きな声を張り上げた。
「さぁ!あんた達!お姫様が腹ペコで待ってるよ!!」
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