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お兄さまとなかよし

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 アグリは俺の提案を聞いて、少し考え込むでから頷いた。

「分かった、父上に頼んでみよう」
「やったー!」

 ぴょこんっと飛び跳ねて喜ぶとアグリはとろけるような笑みを浮かべて俺の頭を撫でた。

「本当に可愛いね、シーアは。少し不安になるくらいだ」
「お兄さまはすっごくカッコいいよ」

 するとアグリは抑えきれなくなったようにオレを抱きしめた。

「うぅー…ほんと可愛い。いつか僕自身の手で閉じ込めてやりたい…」

 低い声でぼそりと呟かれた声は早口だったのもあって聞き取れなかった。
 こうやってアグリは前世で見たオタクみたいな喋り方を時々する。出会ったころに感じた陰キャっぽさが残っていて少しほっとする。

「ねぇ、お兄さま。学校ってどんなとこなの?」

 そう尋ねるとアグリは俺を解放して、いつも座っているソファーに俺を座らせて一日中学校の話を教えてくれた。







「あぁ、もうすっかり夜になってしまったね」
「ほんとだ!僕、こっちでご飯食べてもいい?」
「いいよ」

 俺がアグリの部屋で一緒に食事をするのは珍しくないことだったので、すぐにメイドさんたちが二人ぶんの食事を用意してくれた。

「食べ終わったら自分の部屋に帰る?」
「えぇー…久しぶりだし、お兄さまと一緒に寝たいなぁ」
「うっ…」

 アグリはいきなり心臓の辺りに手を当てて苦しみ出した。

「お兄さま大丈夫!?」
「大丈夫…ちょっと動悸が」

 アグリは身体が弱いのか、時々こうしてうめき声をあげて苦しむことがある。前世でも今世でも健康優良児の俺には理解出来ない痛みだった。

「一緒に寝るのは流石にハードルが高すぎるんじゃないかな?」
「どうして?小さい頃は一緒に寝たじゃん?」
「ほら、僕たちもう大人になったでしょう?子供の頃みたいには出来ないよ」

 いいじゃん、別に。アグリのとこに泊まればいつもみたくリナに、寝る前に髪に油を塗るのとか、髪が絡まないようにまとめるのとか、あと肌に塗るよくわかんないあれとか、やれって言われないし。

 リナは俺の容姿に謎にこだわりを持っているかやたら気を使う。
 よっぽど俺の容姿が気に入らないらしい。ひどいよな、ほんとに。
 正直面倒くさい。

「僕はお兄さまと一緒に寝たいもん!…ダメ?」

 俺は使い慣れたうるうる上目遣いをまた使った。

「ぐ、ぅ…」

 またお兄さまは胸が痛むらしく、蹲ってしまう。
 こんなに頻繁に動悸がするなんて…心配だ。

「分かった、いいよ…うん。僕は、なにもしないから…神に誓って」

 自分に言い聞かせるようにアグリはつぶやいた。

(やったー、外泊最高だぜ)

 俺はハイテンションで夕ご飯を食べた。
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