11 / 12
お兄さまとなかよし
しおりを挟む
アグリは俺の提案を聞いて、少し考え込むでから頷いた。
「分かった、父上に頼んでみよう」
「やったー!」
ぴょこんっと飛び跳ねて喜ぶとアグリはとろけるような笑みを浮かべて俺の頭を撫でた。
「本当に可愛いね、シーアは。少し不安になるくらいだ」
「お兄さまはすっごくカッコいいよ」
するとアグリは抑えきれなくなったようにオレを抱きしめた。
「うぅー…ほんと可愛い。いつか僕自身の手で閉じ込めてやりたい…」
低い声でぼそりと呟かれた声は早口だったのもあって聞き取れなかった。
こうやってアグリは前世で見たオタクみたいな喋り方を時々する。出会ったころに感じた陰キャっぽさが残っていて少しほっとする。
「ねぇ、お兄さま。学校ってどんなとこなの?」
そう尋ねるとアグリは俺を解放して、いつも座っているソファーに俺を座らせて一日中学校の話を教えてくれた。
「あぁ、もうすっかり夜になってしまったね」
「ほんとだ!僕、こっちでご飯食べてもいい?」
「いいよ」
俺がアグリの部屋で一緒に食事をするのは珍しくないことだったので、すぐにメイドさんたちが二人ぶんの食事を用意してくれた。
「食べ終わったら自分の部屋に帰る?」
「えぇー…久しぶりだし、お兄さまと一緒に寝たいなぁ」
「うっ…」
アグリはいきなり心臓の辺りに手を当てて苦しみ出した。
「お兄さま大丈夫!?」
「大丈夫…ちょっと動悸が」
アグリは身体が弱いのか、時々こうしてうめき声をあげて苦しむことがある。前世でも今世でも健康優良児の俺には理解出来ない痛みだった。
「一緒に寝るのは流石にハードルが高すぎるんじゃないかな?」
「どうして?小さい頃は一緒に寝たじゃん?」
「ほら、僕たちもう大人になったでしょう?子供の頃みたいには出来ないよ」
いいじゃん、別に。アグリのとこに泊まればいつもみたくリナに、寝る前に髪に油を塗るのとか、髪が絡まないようにまとめるのとか、あと肌に塗るよくわかんないあれとか、やれって言われないし。
リナは俺の容姿に謎にこだわりを持っているかやたら気を使う。
よっぽど俺の容姿が気に入らないらしい。ひどいよな、ほんとに。
正直面倒くさい。
「僕はお兄さまと一緒に寝たいもん!…ダメ?」
俺は使い慣れたうるうる上目遣いをまた使った。
「ぐ、ぅ…」
またお兄さまは胸が痛むらしく、蹲ってしまう。
こんなに頻繁に動悸がするなんて…心配だ。
「分かった、いいよ…うん。僕は、なにもしないから…神に誓って」
自分に言い聞かせるようにアグリはつぶやいた。
(やったー、外泊最高だぜ)
俺はハイテンションで夕ご飯を食べた。
「分かった、父上に頼んでみよう」
「やったー!」
ぴょこんっと飛び跳ねて喜ぶとアグリはとろけるような笑みを浮かべて俺の頭を撫でた。
「本当に可愛いね、シーアは。少し不安になるくらいだ」
「お兄さまはすっごくカッコいいよ」
するとアグリは抑えきれなくなったようにオレを抱きしめた。
「うぅー…ほんと可愛い。いつか僕自身の手で閉じ込めてやりたい…」
低い声でぼそりと呟かれた声は早口だったのもあって聞き取れなかった。
こうやってアグリは前世で見たオタクみたいな喋り方を時々する。出会ったころに感じた陰キャっぽさが残っていて少しほっとする。
「ねぇ、お兄さま。学校ってどんなとこなの?」
そう尋ねるとアグリは俺を解放して、いつも座っているソファーに俺を座らせて一日中学校の話を教えてくれた。
「あぁ、もうすっかり夜になってしまったね」
「ほんとだ!僕、こっちでご飯食べてもいい?」
「いいよ」
俺がアグリの部屋で一緒に食事をするのは珍しくないことだったので、すぐにメイドさんたちが二人ぶんの食事を用意してくれた。
「食べ終わったら自分の部屋に帰る?」
「えぇー…久しぶりだし、お兄さまと一緒に寝たいなぁ」
「うっ…」
アグリはいきなり心臓の辺りに手を当てて苦しみ出した。
「お兄さま大丈夫!?」
「大丈夫…ちょっと動悸が」
アグリは身体が弱いのか、時々こうしてうめき声をあげて苦しむことがある。前世でも今世でも健康優良児の俺には理解出来ない痛みだった。
「一緒に寝るのは流石にハードルが高すぎるんじゃないかな?」
「どうして?小さい頃は一緒に寝たじゃん?」
「ほら、僕たちもう大人になったでしょう?子供の頃みたいには出来ないよ」
いいじゃん、別に。アグリのとこに泊まればいつもみたくリナに、寝る前に髪に油を塗るのとか、髪が絡まないようにまとめるのとか、あと肌に塗るよくわかんないあれとか、やれって言われないし。
リナは俺の容姿に謎にこだわりを持っているかやたら気を使う。
よっぽど俺の容姿が気に入らないらしい。ひどいよな、ほんとに。
正直面倒くさい。
「僕はお兄さまと一緒に寝たいもん!…ダメ?」
俺は使い慣れたうるうる上目遣いをまた使った。
「ぐ、ぅ…」
またお兄さまは胸が痛むらしく、蹲ってしまう。
こんなに頻繁に動悸がするなんて…心配だ。
「分かった、いいよ…うん。僕は、なにもしないから…神に誓って」
自分に言い聞かせるようにアグリはつぶやいた。
(やったー、外泊最高だぜ)
俺はハイテンションで夕ご飯を食べた。
10
お気に入りに追加
169
あなたにおすすめの小説
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
病んでる愛はゲームの世界で充分です!
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。
幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。
席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。
田山の明日はどっちだ!!
ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。
BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
美形×平凡のBLゲームに転生した平凡騎士の俺?!
元森
BL
「嘘…俺、平凡受け…?!」
ある日、ソーシード王国の騎士であるアレク・シールド 28歳は、前世の記憶を思い出す。それはここがBLゲーム『ナイトオブナイト』で美形×平凡しか存在しない世界であること―――。そして自分は主人公の友人であるモブであるということを。そしてゲームのマスコットキャラクター:セーブたんが出てきて『キミを最強の受けにする』と言い出して―――?!
隠し攻略キャラ(俺様ヤンデレ美形攻め)×気高い平凡騎士受けのハチャメチャ転生騎士ライフ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる