最弱な奴が実は最強?

レン

文字の大きさ
上 下
41 / 53
二章 最強の叛逆

解放

しおりを挟む
「おっと。女なのに男みたいな口調だな。そんなんじゃモテねぇぞ~。」
 馬鹿にしているかのような口調で話す男。
「おっと。すまねぇ。先に自己紹介をしよう。俺が倒したやつの名前は知っておきたいからな。」
「俺の名前は・・・。」
 俺は男が言い終わる前に割り込んで俺も喋り出した。
「いや・・・。名前はいい。お前に興味はない。」
 ピクッとその言葉を聞いた男の眉が僅かに動いた。
「この俺にそんな舐めた態度を取るとはどうやら本当に勝てると勘違いしているらしいな。」
 どうやら話を遮られたのがよほど屈辱的であったらしい。相当お怒りのようだ。
 男はようやく座っていた椅子から立ち上がり俺を睨みつける。
「雑魚が!瞬殺してやるよ!」
 目の前の男がすごいスピードで向かってくる。
 確かに先ほどまでの警備兵とは格が違う。
 ただ今回ばかりは相手が悪かったな。
 そして俺は迫りくる男の拳を避けながら顔面にパンチを喰らわせた。轟音が鳴り響く。
 時間にして2秒といったところか。文字通り瞬殺だな。
 思いっきり殴ったせいか男は吹っ飛んで壁にめり込んでいた。
 結果として俺は立っていて男は倒れていた。
 警備兵も男も倒して無力化させたので残る仕事は囚われた無能力者を解放することだけだ。
 仕事を終わらすために俺はその場から去ろうとすると声が聞こえた。
 男が何かを俺に向かって呟いていた。
「何・・・何だ?お前のその力は?こんな奴がこの国にいたのか?」
 俺が強いと言うのはまだ誰にも知られていない。煌がクレアを倒したと言うことにしたからな。
「だがお前では勝てない。何せこの国のトップには『あの方』がいる!お前ではあの人に敵わない!」
 その言葉を最後に男は気絶した。
 この国のトップか・・・。
 性別から名前まで何もかもが明かされていないとされるこの国のトップ。
 多分そいつがクレアに能力を埋め込み『スラム』に兵を送り込んだ張本人なのだろう。
 テロリストと思い込み殺した奴らが実は国から命令された軍の奴らだったとはな。
 だがトップの正体が何であろうとこの俺が潰す。
 例え世界中の人たちから悪だと非難されようが命を狙われようが。
 俺の行動の意味なんて理解されなくてもいい。俺がこの国を変えたいと思ったからやるのだ。
 そうして俺はさらに先へと進み牢獄のような場所までやってきた。
 見渡してみると牢屋に入った無能力者が俺のことを
凝視していた。
 俺を見つめる目からは恐怖が滲み出ている。余程ここで能力者どもに酷いことをされたのであろう。
 少し進むと鍵がかけられてあった。セキュリティ緩すぎないか?
 鍵を取りひとつひとつ牢屋の鍵を開ける。
 出てきた者の中には困惑している者もいれば喜びのあまり目に涙を浮かべている人もいた。
 解放した無能力者を見つからないようどこに逃すのかはもう決まっている。
 それはかつてネメシスもといクレアが率いていた『ブレエド』の本拠地だった館である。
 俺たちとの戦いで少し壊れてしまったが雨風を凌げるぐらいには機能している。
 しかも暖炉もあるため凍えると言う心配がない。
 急に用意したものであるため少し狭いかも知れないが後々考えることにしよう。
 そして俺は館に向かうため無能力者の人たちを連れその場を後にするのだった。


 
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...