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夢
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そして転校生の席は俺の隣になってしまった。
ちょうど俺の隣が空いていたことと転校生自身がここが良いと先生に言ったことも相まってこんな状況になっていた。
なんとも迷惑な話である。一人がよかったのにこれでは気軽に居眠りすることができなくなってしまった。
周りの男子の視線が痛い。今にも殺されてしまうのではないかと思うぐらいに殺気がこもっていた。
それにしても先程から隣がうるさい。転校生がクラスの連中から質問攻めにあっていた。
よくある事だ。転校生は初日、物珍しさからクラスの人達からいっぱい話しかけられる。
だが数日経つと物珍しさも消え失せあまり話しかけてくれる人もいなくなる。
そしてもう一つ気になることが今できた。
転校生がさっきまで丁寧に一つ一つの質問に答えていたのだが今ではすごい俺のことを凝視してくる。
なに?今日は睨まれる日なのか?
男子からも睨まれ転校生からも睨まれる。その状況に疲れた俺はクラスを出て屋上に向かった。
俺はこの学校の屋上によく足を運ぶ。理由はもちろん授業をサボり眠るのにここが最適だからだ。
予鈴の音が響く。授業が始まった。暫くここにいるとしよう。
次に目が覚めると眼前に誰かいた。寝ぼけ眼を擦り暫くすると視界がだんだん明瞭になりそいつの顔がはっきりと分かった。
「うお!どうしてここにいるんだ!」
目の前にいたのは転校生であった。間の抜けた表情で俺を見ていた。
余りの驚きで跳ね起きてしまった。
「なんでお前がここにいるんだ?授業中だろ?」
質問すると転校生は少し怒り気味に返答した。
「私はお前ではありません!瑠花と呼んでください。」
「しかももうお昼休みになりました!一体どれだけ寝るのですか!」
「こんなところでぐうたらしていて良いのですか??将来の夢が叶わなくなりますよ!」
夢か・・・。確かに昔の俺には夢があった。
愛する瑠璃と共に幸せな家庭を築きこの何気ない日常を満喫して過ごしたいという夢が。
けどその夢もあの日、叶うことは無くなった。
あの日、瑠璃を失ったと同時に俺は生きる希望も夢も何もかも失った。
だからこそ俺は将来のことなど一切考えていない。考える必要もない。
そうして俺はここにいてもやることがなくなったため屋上を去ろうとドアに向かって歩き出した。
するといきなり後ろから声を掛けられた。
「貴方、過去に何があったの?」
「は?・・・。」
その質問の意味が分からず俺は後ろを振り向いて再び転校生を見る。
「何が言いたい?俺の過去に興味があるのか?」
すると転校生は顔色を変えず返答した。
「なんだか貴方の目からは絶望の感情しか伺えない。そしてなんだか全てを諦めている感じがするの。」
「悩みがあったら聞かせてくれる?私なら力になれるかもしれないし・・・。」
「思い違いが激しいんだな・・・。俺に悩みなんてねぇよ。じゃあな・・・。」
無理矢理、会話を終わらせた俺は今度こそ屋上を後にした・・・。
ちょうど俺の隣が空いていたことと転校生自身がここが良いと先生に言ったことも相まってこんな状況になっていた。
なんとも迷惑な話である。一人がよかったのにこれでは気軽に居眠りすることができなくなってしまった。
周りの男子の視線が痛い。今にも殺されてしまうのではないかと思うぐらいに殺気がこもっていた。
それにしても先程から隣がうるさい。転校生がクラスの連中から質問攻めにあっていた。
よくある事だ。転校生は初日、物珍しさからクラスの人達からいっぱい話しかけられる。
だが数日経つと物珍しさも消え失せあまり話しかけてくれる人もいなくなる。
そしてもう一つ気になることが今できた。
転校生がさっきまで丁寧に一つ一つの質問に答えていたのだが今ではすごい俺のことを凝視してくる。
なに?今日は睨まれる日なのか?
男子からも睨まれ転校生からも睨まれる。その状況に疲れた俺はクラスを出て屋上に向かった。
俺はこの学校の屋上によく足を運ぶ。理由はもちろん授業をサボり眠るのにここが最適だからだ。
予鈴の音が響く。授業が始まった。暫くここにいるとしよう。
次に目が覚めると眼前に誰かいた。寝ぼけ眼を擦り暫くすると視界がだんだん明瞭になりそいつの顔がはっきりと分かった。
「うお!どうしてここにいるんだ!」
目の前にいたのは転校生であった。間の抜けた表情で俺を見ていた。
余りの驚きで跳ね起きてしまった。
「なんでお前がここにいるんだ?授業中だろ?」
質問すると転校生は少し怒り気味に返答した。
「私はお前ではありません!瑠花と呼んでください。」
「しかももうお昼休みになりました!一体どれだけ寝るのですか!」
「こんなところでぐうたらしていて良いのですか??将来の夢が叶わなくなりますよ!」
夢か・・・。確かに昔の俺には夢があった。
愛する瑠璃と共に幸せな家庭を築きこの何気ない日常を満喫して過ごしたいという夢が。
けどその夢もあの日、叶うことは無くなった。
あの日、瑠璃を失ったと同時に俺は生きる希望も夢も何もかも失った。
だからこそ俺は将来のことなど一切考えていない。考える必要もない。
そうして俺はここにいてもやることがなくなったため屋上を去ろうとドアに向かって歩き出した。
するといきなり後ろから声を掛けられた。
「貴方、過去に何があったの?」
「は?・・・。」
その質問の意味が分からず俺は後ろを振り向いて再び転校生を見る。
「何が言いたい?俺の過去に興味があるのか?」
すると転校生は顔色を変えず返答した。
「なんだか貴方の目からは絶望の感情しか伺えない。そしてなんだか全てを諦めている感じがするの。」
「悩みがあったら聞かせてくれる?私なら力になれるかもしれないし・・・。」
「思い違いが激しいんだな・・・。俺に悩みなんてねぇよ。じゃあな・・・。」
無理矢理、会話を終わらせた俺は今度こそ屋上を後にした・・・。
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