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京子・ルルカ編
第21怪
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花火の時だった。京子は真野に自分が赤坂の人間であることを告白した。並々ならぬ事情があるのだと納得した真野は今まで通り接してくれた。しかし、それが正に命を狙われている美玲なら。過去に赤坂の人間に襲われていた美玲なら。
(学校、行きたくないな……)
美玲は放課後京子を待っていたがその日、京子は来なかった。
(私は京子さんを信じたい。でももし京子さんが本当に赤坂の人なら)
そんな悩みが顔に出ていたのか、真野が美玲に話しかける。
「あの、京子さんの家に行ってみませんか?」
驚きの言葉に美玲はたじろぐ。真野の目は本気だった。
「京子さんから真実を聞きましょう。僕も一緒に行きます」
本気の真野に美玲も覚悟を決め、立ち上がる。
「分かった、行こう。京子さんの家に」
京子の家の前につく。表札は桜田だった。美玲はそれに安堵し、真野に向き合う。真野は逆に真剣だった。呼び鈴を鳴らすと年老いた女性が出た。
「あらぁ、真野くんじゃないかい。ささ、上がって上がって」
(真野くん、家に来るの初めてじゃないんだ。当たり前か、じゃなきゃ家知らないもんな)
その女性は京子の祖母だと言う。祖父は仕事に出ていて居なかった。すると仏壇が美玲の目に留まる。
「あぁ、あれかい? 娘夫婦だよ。京子の両親でね、若い時に死んだから」
美玲は知らなかった。学校で京子は家族について話すことは少ない。両親は亡くなり、祖父母に育てられていたなんて。すると京子が居間に降りてきて言った。
「どうぞ私の部屋に」
京子の部屋で三人で座る。何だかギクシャクした雰囲気になった。祖母がお菓子と茶を持って来てくれ、三人は一旦一息付いた。
「分かってます。お二人が来た理由。私も全て話す覚悟です」
京子は静かに語りだした。家庭が壊れたあの日から。
桜田花は全く霊感の持たない心霊雑誌の記者だった。彼女が心霊に興味を持ち出したのは昔、家の蔵で一台のカメラを見つけた時からだった。そのカメラは何と写真を撮ると幽霊が百パーセント映る魔法のカメラだったのだ。未知との遭遇を果たした彼女は心霊の沼にどっぷりハマり、気づけば心霊を追い求める雑誌の記者になっていた。ある時彼女は霊能者の記事を書く事になり、一人の霊能者に会う。
ーー彼の名は赤坂京也ーー
この出会いが二人の運命を変えることになる。
喫茶店で待ち合わせをし、取材をする。
「本日はありがとうございます。私、ザ・心霊ゴーストの記者、桜田花と申します」
取材は滞りなく進み、いい雰囲気のまま終わった。
(霊能者でも有名な一族って言ってたわね、赤坂さん)
一般家庭出身の彼女は、霊能業界について全く知らなかった。その有名がどういった意味での有名なのかも。
「あぁ、そうだ。最後に……」
赤坂京也が桜田花の髪を優しく撫でる。
「害はないけれど、憑いていたので」
そう言って去っていく京也。花の心には大きく印象に残った。それから数回会っていくうちに二人の間に愛が芽生え、ついに花は会社を寿退社した。
赤坂家に嫁いだ花は徐々にこの一族の異様な関係に気づいていく。
「あぁ、全く使い物にならない嫁だわ」
「霊能力もない女なんて。どうして京也さんはこんな女を選んだのかしら?」
大きな屋敷で共同生活をする一族の人間たち。赤坂家の中では霊能力の強さが序列だった。霊能力を持たない外部の人間の花に、優しくする人間は居なかった。あの日まで。
「花さん。今日は赤坂家の御当主様に会って頂きますよ。失礼のないようにしなさい」
赤坂家の人間は一度、当主の梓馬に面会する決まりがある。屋敷の中でも一層存在感のある立派な障子に広い部屋。そこで梓馬様は暮らしている。いよいよ部屋の中に入ると壁代に遮られ、シルエットだけが見えた。着物を着て髪は結ってあり、声で男性なのだと分かる。
「お前が京也の嫁か」
声をかけられると不思議な感覚がした。ここが心地良い。この場こそが帰る家なのだと認識した。
「お初にお目にかかります。梓馬様」
(あぁ、この方こそ私の仕えるべき方なんだわ)
「京也は優秀な呪殺師だ。お前は優秀な京也の子を産め」
ーーそれこそが私の存在する理由ーー
京子の部屋で静かに二人は話を聞く。
「母は赤坂に洗脳されたんです。それからおかしくなったと祖父母に聞いています」
何らかの呪いを使って人を支配する梓馬。誰も何も疑問に思わない家族。
「そんな家で私は産まれました」
花が赤坂家で過ごしてから早三年、一人の女の子が産まれた。花はこの時から狂っていた。
「うふふ……可愛い子ね。京也さんの子。赤坂家の子供」
女の子は京子と名付けられた。花は屋敷で嫁として立場を獲得した。子を産めば立場が上がる。その子が強い霊能者なら尚更上がる。しかし、現実はそう上手くはいかなかった。
「五歳になるのに今まで霊が視えてないのかしら」
「これじゃ、能力があるかも分からんな」
京子は霊能力を一度も使わなかった。あるのかすら怪しいと花は一族から邪険に扱われた。
「大丈夫よ京子、あなたにも霊能力はあるわ。何てったって、京也さんの子だもの」
花はそう言って京子を抱きしめる。愛情を持って育てて来た。しかし、唐突に終わりを告げる。
「あらぁ、可愛いわね」
一人の女と小さな女の子が赤坂家にやってきた。女は髪を染め、派手なシャツにジャラジャラと金属の沢山付いたバッグを持って。彼女たちの登場で花と京子の立場は一気に地に落ちる。
「あの人は……」
女の子が京子に話しかけに近づいた。京子は花の後ろに隠れる。
「はじめまして、あたしはルルカ。あなたのおなまえは?」
女に手招きされたルルカは挨拶だけして去っていく。そこへ赤坂家の人間が花に近づき言う。
「無能な嫁だから京也さんが愛想をつかしたんだわ」
その時花は理解した。
(あの女は京也さんの愛人で、この女の子は京也さんの隠し子……?)
(学校、行きたくないな……)
美玲は放課後京子を待っていたがその日、京子は来なかった。
(私は京子さんを信じたい。でももし京子さんが本当に赤坂の人なら)
そんな悩みが顔に出ていたのか、真野が美玲に話しかける。
「あの、京子さんの家に行ってみませんか?」
驚きの言葉に美玲はたじろぐ。真野の目は本気だった。
「京子さんから真実を聞きましょう。僕も一緒に行きます」
本気の真野に美玲も覚悟を決め、立ち上がる。
「分かった、行こう。京子さんの家に」
京子の家の前につく。表札は桜田だった。美玲はそれに安堵し、真野に向き合う。真野は逆に真剣だった。呼び鈴を鳴らすと年老いた女性が出た。
「あらぁ、真野くんじゃないかい。ささ、上がって上がって」
(真野くん、家に来るの初めてじゃないんだ。当たり前か、じゃなきゃ家知らないもんな)
その女性は京子の祖母だと言う。祖父は仕事に出ていて居なかった。すると仏壇が美玲の目に留まる。
「あぁ、あれかい? 娘夫婦だよ。京子の両親でね、若い時に死んだから」
美玲は知らなかった。学校で京子は家族について話すことは少ない。両親は亡くなり、祖父母に育てられていたなんて。すると京子が居間に降りてきて言った。
「どうぞ私の部屋に」
京子の部屋で三人で座る。何だかギクシャクした雰囲気になった。祖母がお菓子と茶を持って来てくれ、三人は一旦一息付いた。
「分かってます。お二人が来た理由。私も全て話す覚悟です」
京子は静かに語りだした。家庭が壊れたあの日から。
桜田花は全く霊感の持たない心霊雑誌の記者だった。彼女が心霊に興味を持ち出したのは昔、家の蔵で一台のカメラを見つけた時からだった。そのカメラは何と写真を撮ると幽霊が百パーセント映る魔法のカメラだったのだ。未知との遭遇を果たした彼女は心霊の沼にどっぷりハマり、気づけば心霊を追い求める雑誌の記者になっていた。ある時彼女は霊能者の記事を書く事になり、一人の霊能者に会う。
ーー彼の名は赤坂京也ーー
この出会いが二人の運命を変えることになる。
喫茶店で待ち合わせをし、取材をする。
「本日はありがとうございます。私、ザ・心霊ゴーストの記者、桜田花と申します」
取材は滞りなく進み、いい雰囲気のまま終わった。
(霊能者でも有名な一族って言ってたわね、赤坂さん)
一般家庭出身の彼女は、霊能業界について全く知らなかった。その有名がどういった意味での有名なのかも。
「あぁ、そうだ。最後に……」
赤坂京也が桜田花の髪を優しく撫でる。
「害はないけれど、憑いていたので」
そう言って去っていく京也。花の心には大きく印象に残った。それから数回会っていくうちに二人の間に愛が芽生え、ついに花は会社を寿退社した。
赤坂家に嫁いだ花は徐々にこの一族の異様な関係に気づいていく。
「あぁ、全く使い物にならない嫁だわ」
「霊能力もない女なんて。どうして京也さんはこんな女を選んだのかしら?」
大きな屋敷で共同生活をする一族の人間たち。赤坂家の中では霊能力の強さが序列だった。霊能力を持たない外部の人間の花に、優しくする人間は居なかった。あの日まで。
「花さん。今日は赤坂家の御当主様に会って頂きますよ。失礼のないようにしなさい」
赤坂家の人間は一度、当主の梓馬に面会する決まりがある。屋敷の中でも一層存在感のある立派な障子に広い部屋。そこで梓馬様は暮らしている。いよいよ部屋の中に入ると壁代に遮られ、シルエットだけが見えた。着物を着て髪は結ってあり、声で男性なのだと分かる。
「お前が京也の嫁か」
声をかけられると不思議な感覚がした。ここが心地良い。この場こそが帰る家なのだと認識した。
「お初にお目にかかります。梓馬様」
(あぁ、この方こそ私の仕えるべき方なんだわ)
「京也は優秀な呪殺師だ。お前は優秀な京也の子を産め」
ーーそれこそが私の存在する理由ーー
京子の部屋で静かに二人は話を聞く。
「母は赤坂に洗脳されたんです。それからおかしくなったと祖父母に聞いています」
何らかの呪いを使って人を支配する梓馬。誰も何も疑問に思わない家族。
「そんな家で私は産まれました」
花が赤坂家で過ごしてから早三年、一人の女の子が産まれた。花はこの時から狂っていた。
「うふふ……可愛い子ね。京也さんの子。赤坂家の子供」
女の子は京子と名付けられた。花は屋敷で嫁として立場を獲得した。子を産めば立場が上がる。その子が強い霊能者なら尚更上がる。しかし、現実はそう上手くはいかなかった。
「五歳になるのに今まで霊が視えてないのかしら」
「これじゃ、能力があるかも分からんな」
京子は霊能力を一度も使わなかった。あるのかすら怪しいと花は一族から邪険に扱われた。
「大丈夫よ京子、あなたにも霊能力はあるわ。何てったって、京也さんの子だもの」
花はそう言って京子を抱きしめる。愛情を持って育てて来た。しかし、唐突に終わりを告げる。
「あらぁ、可愛いわね」
一人の女と小さな女の子が赤坂家にやってきた。女は髪を染め、派手なシャツにジャラジャラと金属の沢山付いたバッグを持って。彼女たちの登場で花と京子の立場は一気に地に落ちる。
「あの人は……」
女の子が京子に話しかけに近づいた。京子は花の後ろに隠れる。
「はじめまして、あたしはルルカ。あなたのおなまえは?」
女に手招きされたルルカは挨拶だけして去っていく。そこへ赤坂家の人間が花に近づき言う。
「無能な嫁だから京也さんが愛想をつかしたんだわ」
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