一応王女です

まゆら

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「お前は親に捨てられた可哀想な奴なんだよ」


  ユーレリアがひとりで気ままに白百合の宮の美しい庭園を散歩していると、王太后様のお抱え薬師の息子であるライボルトが、ユーレリアに向かって暴言を吐いた。


「あらぁ、ライじゃないの?

あなたは、私がこの宮の主と知っていてそれを言ったのかしら?

不敬罪ってご存知?

知らないならあなたのママか、パパに聞いてみたらどうかしらね?

ちょっといいかしら?

私を守ってくれている優しいお方にお願いがあるの。

これに礼儀を教えて差し上げて?

礼儀作法がシッカリ出来るまでは、私の目の前に出て来ないようにしつけておいて!」


   白百合の宮の主である事を自覚したユーレリアは、白百合の宮にある薬草園で働く      薬師の息子であるライボルトを厳しくしつける事にしたのだ。


    自分の管轄内にいる者が無知である事は、主である自分の責任だと理解したからである。


    一方、暗部の精鋭からみっちりしごかれる事になったライボルトは…


「もう姫様に嫌がらせは二度と言いませんから…

母さんには、この事は言わないで下さい。

母さんが聞いたら…俺…

家から追い出されちゃうんだよぉ」


「おい坊主!

お前なんで姫様にヒドイ事を言ったんだ?

姫様がお前の事を皇太后様に訴えたら…

お前の家は取り潰しになるかもしれないんだぞ?

それを優しいユーレリア様は、しつけといてで許してくれたんだぞ。

有難いと思え?

お前の心無い言葉でユーレリア様がどれだけ傷ついたのか、お前には理解出来ないだろうな。

お前には、ヴィーナー伯爵家の長男としての自覚が無さすぎるぞ?」


「俺の名前は坊主じゃない!

ライボルトって名前があるんだ。

俺は…

姫様をいじめたかったわけじゃないんだ。

最近の姫様は、毎日家庭教師と勉強ばっかで…

前みたいに一緒に遊べなくなったからつまんなくって、ついつい心にも無い事を言っちまったんだよぉ。

おじさん…

俺どうしたらいい?

俺がちゃんとしたら、また姫様は一緒に遊んでくれるかな?」


「坊主改め、ライボルトよ。

お前…

姫様に惚れているのだな?

姫様とこれからも一緒にいたいなら、お前は剣の腕を磨いて姫様の専属騎士に名乗りをあげるか、魔法の腕を磨いて姫様付きの魔導師としてお仕えするか…

頭脳を使って…

んー。頭脳はちょっと期待出来ない匂いがプンプンするから…

学園に入る時は騎士科か、魔法科のどちらかを選択出来るようにしておけよ。

明日から、ビシビシしごくからそのつもりでな?」


「わかった。

俺…頭はよくないから騎士になるよ!

だから、おじさんは俺をめちゃくちゃ強い騎士になれるようにしごいてくれよ。

ちなみに俺、魔力は結構あるんだけど魔力コントロールが苦手で…

領地の山を吹っ飛ばしてから、父さんから魔法禁止されちゃって…

だから、剣と魔法の腕の両方…

面倒見てもらえませんか?」


「はぁーっ。

マジかよ…

流石は、魔導師家系のヴィーナー家の長男だけあるなぁ…

しかし、ヴィーナー伯爵から禁じられているのであれば許可を取らなければなぁ…

皇太后様からお願いしてもらうしかないなぁ…

ライボルトよ。

魔法の特訓は明日からは無理だが、剣の稽古は明日の早朝から始めるぞ?

六時に白百合の宮の道場に来い。

少しでも遅れたら…

お前は、二度と姫様の前には出られないと思え!」


「はい!

ありがとうございました。

明日からよろしくお願いします師匠」


「おう!

ライ坊!

遅れんなよ!」


 短い間に距離が縮まる脳筋男たち。ちなみに、ユーレリア姫を守護している暗部の精鋭は…


 ジュビア王国のローゼンボルグ家出身の魔法騎士です。名前は…まだ決めておりません。登場回数が増えるようなら名前をつけようと思っております。


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