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第43話 第三の悪魔

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 自然災害というものは時と場所を選ばない。

どのような時に起こるかなど誰も予想できない。

いつ大地が揺れ、いつ火山が噴火し、いつ大雨になるか、いつ竜巻が襲うか?

そこまで予測すら出来ない人間は地球に生かされている存在。

弄ばれているのかもしれない。

地球その物が実は生命体で気まぐれで遊んでいるだけなのかもしれない。

総理大臣が対病原菌遺伝子改造治療薬ゲキメツダーを投与し、ショックから目を覚ますと官邸は慌ただしくなっていた。

新型強毒性インフルエンザに対応に加えて、総理大臣が気を失っていた深夜、内陸部で発生した震度6弱の地震対応が重なった。

感染症の恐れがあるなか、住民達は家を失い学校の体育館や公民館などに避難しなければならない状況下と言う地獄となっていた。

感染症は人が集まれば、防ぎきれる物ではない。

マスクや防護服、ゴーグルや消毒液にだって限界はある。

避難してきた人達がそれらを必ず装着しているとは限らない。

取る者も取れず、着の身着のまま避難してくる。

自然災害の被災者のほとんどは、そう言うもの。

しかし、『避難所に来るな』とは言えない。

雨風がしのげなければ低体温症になってしまったり、他の病気の発症リスクも高まる。

飢え死にだって起こりえる。

それらを防ぐには避難所は絶対に必要。

国は、いかにして避難者を受け入れ、且つ、いかにして感染症対策をするか、パニックとなっていた。

それは日本だけでなく海外でも、とある都市で同じく大地震で家を失い様々なところに人々は避難せざるおえない状況だった。

爆発的感染は確実な物と目に映る光景となっていた。

「最早、待ったなし。神を敵に回そうとも使う。厚生労働大臣、すぐに那珂湊教授に頼んで、例の薬の手配を頼んでくれ」

「しかし、あの薬は・・・・・・」

「君が出来ないなら君の大臣職を解く」

「・・・・・・わかりました。私は『神の領域』には踏み込む覚悟が出来ません。それを国民に勧めることなど私には出来ません」

そう言って厚生労働大臣は官邸をあとにした。

総理大臣は厚生労働省感染症研究所の所長の小山英俊を新たな厚生労働大臣として任命した。

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