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第2話 逮捕
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「警視庁所属特務部隊だ、全員その場に伏せろ!那珂湊教授、裁判所からの医師法違反の逮捕礼状をが出ました。記者会見はこれまで、御同行願います」
顔を隠した部隊長らしき人物が裁判所が発行した逮捕礼状を那珂湊教授に突き付けていた。
「逮捕の罪状は?」
「医師法違反になります。任意の同行ではなく逮捕です」
「国民の皆様、全世界の皆様、これが万病を治す技術を手にした私への国の答えです。皆様、あなた本人、家族や恋人、友人、大切な人を助けて欲しいなら声をあげてください。私が作り上げた正常遺伝子細胞移植術による治療は本物、全ての病気から救えます。諦めないで下さい。難病は遺伝子を組み換えれば必ず治ります。今までの医療の概念を捨てて下さい。映画や物語の世界ではない、これは現実なのです。皆様が声をあげてくれれば・・・・・・」
と、那珂湊教授はテーブルを掴んで身を乗り出し、カメラに向かって叫んだ。
全ての者に届けと必死だった。
新しい技術を世間に知らせるために命を賭けていた。
「やめさせろ!取り押さえろ!カメラを全部止めろ」
特務部隊に、那珂湊比呂志教授が拘束される一部始終を放送したのちに、ライブ配信は真っ暗な画面に変わった。
那珂湊比呂志教授と助手の久慈川政信助教授は逮捕され、大学の講堂から連れ出され、用意されていた護送車に乗せられた。
逮捕令状が出ているため、力尽くだった。
那珂湊教授が車に乗せられると、
「那珂湊教授、困った事をしてくれましたね。まさか、我々より先に行動に移して記者会見までやり遂げてしまうとは。遺伝子改造を行ったと言う噂は耳に入っていて調べている最中だったのに」
そう言ったのは、最初っから護送車の助手席に座っていた厚生労働省キャリア官僚、宇都宮秀男であった。
「君達がいつまでも科学の進歩を受け入れないからだよ。私は全ての人を助けたい。いつまでも科学の進歩を受け入れない『倫理』など、天動説を唱えていた太古の宗教と一緒だ」
と、那珂湊教授は先ほどの騒ぎが嘘のように冷静に言った。
「教授、正常遺伝子細胞移植術による治療の成果のカルテは拝見いたしました。まさに成功としか言い様のない成果だ。しかし、それでは困るんですよ」
「だろうな、製薬会社とズブズブ君達にとっては困る技術。そして、なあなあで事なかれ主義を通してきた日本としては様々な既得権益や宗教を敵に回す技術など到底受け入れがたいものだろうな」
「わかってるじゃないですか、ただ、それだけではないんですよ。今までの『道徳』と言う価値観を壊すという事の重大さをわかっておられますか?教授のお子さんの治療に使うくらいなら目をつぶっていられたのに、まさかこのように世間に発表するとは・・・・・・困った事をしてくれましたね」
「君達に捕まっても、あれを見た世論はどう出るかな?」
「ははははははははは、明日の新聞には精神疾患の教授が世迷い言を言ったと言う記事が出るだけですよ」
「宇都宮君、君は何もわかっていないね」
「強がりですか?教授。教授は保護措置入院として一生隔離されて過ごすんですよ」
「君達が勝つか、世論の声が勝つか勝負だね、宇都宮君」
走り出す護送車。
しかし、その護送車を撮している一台の黒い影があった。
「宇都宮さん、大変です。護送車を追跡して動画配信されてます。ドローンと思われます」
と、護送車に乗っていた警視庁所属特務部隊の隊員がタブレット端末で有名動画投稿サイトを撮していた。
「ちっ、面倒だな。撃ち落とせないのか?」
「町中での射撃は出来ません。万一それも配信されますと問題になります」
「くそっ、このまま精神に異常をきたしたとして厚生労働省の隔離施設に運ぶつもりだったが仕方がない、近くの警察署に車を着けて降ろしてくれ、正当な逮捕だとアピールしないとならないのか、面倒だな」
「はい、わかりました」
そう言って、護送車は警察署の玄関に横付けされ那珂湊比呂志教授は両腕を抱えられ警察署に入っていく迄を中継され続けた。
顔を隠した部隊長らしき人物が裁判所が発行した逮捕礼状を那珂湊教授に突き付けていた。
「逮捕の罪状は?」
「医師法違反になります。任意の同行ではなく逮捕です」
「国民の皆様、全世界の皆様、これが万病を治す技術を手にした私への国の答えです。皆様、あなた本人、家族や恋人、友人、大切な人を助けて欲しいなら声をあげてください。私が作り上げた正常遺伝子細胞移植術による治療は本物、全ての病気から救えます。諦めないで下さい。難病は遺伝子を組み換えれば必ず治ります。今までの医療の概念を捨てて下さい。映画や物語の世界ではない、これは現実なのです。皆様が声をあげてくれれば・・・・・・」
と、那珂湊教授はテーブルを掴んで身を乗り出し、カメラに向かって叫んだ。
全ての者に届けと必死だった。
新しい技術を世間に知らせるために命を賭けていた。
「やめさせろ!取り押さえろ!カメラを全部止めろ」
特務部隊に、那珂湊比呂志教授が拘束される一部始終を放送したのちに、ライブ配信は真っ暗な画面に変わった。
那珂湊比呂志教授と助手の久慈川政信助教授は逮捕され、大学の講堂から連れ出され、用意されていた護送車に乗せられた。
逮捕令状が出ているため、力尽くだった。
那珂湊教授が車に乗せられると、
「那珂湊教授、困った事をしてくれましたね。まさか、我々より先に行動に移して記者会見までやり遂げてしまうとは。遺伝子改造を行ったと言う噂は耳に入っていて調べている最中だったのに」
そう言ったのは、最初っから護送車の助手席に座っていた厚生労働省キャリア官僚、宇都宮秀男であった。
「君達がいつまでも科学の進歩を受け入れないからだよ。私は全ての人を助けたい。いつまでも科学の進歩を受け入れない『倫理』など、天動説を唱えていた太古の宗教と一緒だ」
と、那珂湊教授は先ほどの騒ぎが嘘のように冷静に言った。
「教授、正常遺伝子細胞移植術による治療の成果のカルテは拝見いたしました。まさに成功としか言い様のない成果だ。しかし、それでは困るんですよ」
「だろうな、製薬会社とズブズブ君達にとっては困る技術。そして、なあなあで事なかれ主義を通してきた日本としては様々な既得権益や宗教を敵に回す技術など到底受け入れがたいものだろうな」
「わかってるじゃないですか、ただ、それだけではないんですよ。今までの『道徳』と言う価値観を壊すという事の重大さをわかっておられますか?教授のお子さんの治療に使うくらいなら目をつぶっていられたのに、まさかこのように世間に発表するとは・・・・・・困った事をしてくれましたね」
「君達に捕まっても、あれを見た世論はどう出るかな?」
「ははははははははは、明日の新聞には精神疾患の教授が世迷い言を言ったと言う記事が出るだけですよ」
「宇都宮君、君は何もわかっていないね」
「強がりですか?教授。教授は保護措置入院として一生隔離されて過ごすんですよ」
「君達が勝つか、世論の声が勝つか勝負だね、宇都宮君」
走り出す護送車。
しかし、その護送車を撮している一台の黒い影があった。
「宇都宮さん、大変です。護送車を追跡して動画配信されてます。ドローンと思われます」
と、護送車に乗っていた警視庁所属特務部隊の隊員がタブレット端末で有名動画投稿サイトを撮していた。
「ちっ、面倒だな。撃ち落とせないのか?」
「町中での射撃は出来ません。万一それも配信されますと問題になります」
「くそっ、このまま精神に異常をきたしたとして厚生労働省の隔離施設に運ぶつもりだったが仕方がない、近くの警察署に車を着けて降ろしてくれ、正当な逮捕だとアピールしないとならないのか、面倒だな」
「はい、わかりました」
そう言って、護送車は警察署の玄関に横付けされ那珂湊比呂志教授は両腕を抱えられ警察署に入っていく迄を中継され続けた。
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