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心の奥に巣食う者よ。あれは、友人ではない。

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「お前が、憎んでいるのは、目の前のあいつだ」
先に、逃げようとする颯太を引き止めたのは、その言葉だった。
「あいつを引き裂け」
「ちょっと!」
驚く颯太に、封雲は、冷ややかな笑いを浮かべる。
「ごめんな。颯太。俺としては、どっちでもいいんだけど。基本、自分が生き残る事。それが、俺のポリシーなんだ」
「封雲。何だよ」
「自分が、どう生き残るか。それって、大事だろう」
「そうだけど」
封雲と揉めている間に、砂の姫は、地面に降り立った。
「未練を断ち切れば、音羽も、戻ってこれるだろう」
颯太の首先に剣を突きつける。
「少しも、懲りていないな」
「何の事だが・・分かりませんけど」
「おや?忘れたのか?」
「忘れたとか・・そんな」
首元に突きつけられた剣は、少しでも、動くと、颯太に紅い模様を刻み込もそうだ。
「悪いな」
動けない颯太の右手首に、手を伸ばす封雲。
「お前・・」
取られまいと身を翻すと、突き出された剣先が、颯太の首を傷つけた。
「ちっ!」
これは、本当に傷つけられてしまう。ってか、殺される。
抵抗できない颯太を尻目に、封雲は、数珠を外してしまった。
「ごめんな。颯太。こいつは、どうしても、手に入れたかったんだ」
その時、初めて颯太は、気が付いた。
「これって・・・封雲?」
封雲は、満足そうに、颯太から奪った数珠を右手にはめると、軽く振ってみせた。
「偶然、ここを通りかかったと思う?」
封雲は、砂の姫に視線を送る。
「好きにしていいよ」
「え・・・。封雲」
「こいつのない、颯太は、ただの人間と変わらないしな」
封雲は、数珠を振ってみせる。
「お前には、勿体無い物何だよ・・・。なんで、師匠は、お前に渡したのか」
封雲は、颯太を砂の姫に、差し出したまま、そこを離れようとした。
「待て・・・お前もだ」
砂の姫は、封雲を引き留める。
「お前も、逃す訳には、いかない」
「俺の事?」
封雲は笑う。
「お前に、俺を倒せると思う?」
そう言い、数珠に唇を寄せ、何かを呟こうとした。その瞬間。光と物凄い音がして、地面に叩きつけられる封雲。
「うわ・・・」
頭から、叩きつけられ、顔面は、血まみれになる。
「何だ・・・これは」
右手の数珠は、次第に重くなり、地面に沈み込む。
「そいつは・・・」
颯太は言った。
「百八の妖が閉じ込められているって・・・師匠は言っていた。そいつらが、僕を守るって。ただ・・・そいつらを、納得させ、押さえつける力が必要なんだ」
「押さえつける力・・・」
颯太が、封雲から、数珠を奪い返そうとした瞬間、砂の姫が飛びかかってきた。
「ごちゃごちゃ、うるさい!」
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