51 / 64
家に巣食う邪神
しおりを挟む
天井を見上げると真っ暗な穴が覗いている。
いつも、こんな感じだ。
晴は、ポカンと天井を見上げていた。
小さい時から、記憶が曖昧になっている時があった。
気がつくと、婆さんがそばに居た。
「目が覚めたかね」
そう言うと、あったかいココアを用意してくれていた。
「蔵には、寄りつくな」
そう言うのに、言う事を聴かないと、蔵に閉じ込められていた。
「お守りさんと仲良くしな」
婆さんの言うお守りさんは、この家を守る守護神の事らしい。
代々、続く古い家だから、いろんな話がある。
この家には、中々、男子が生まれず、晴が生まれたのは、何代ぶりか、遠く、久しかったらしい。
蔵には、お守りさんの祠があり、悪い事をすると、良く、閉じ込められた。
「家を栄えさせるために、自分の子供を生贄にした時代がある」
そおいう悪い噂が流れていた。
何代か前に、生まれた男の子を、家を栄えさせる為に、捧げた先祖がいたらしい。
「それ以来、男の子は、生まれなくなった」
婆さんがぼやいていた。
だけど、婆さんも、僕を売った事は、ないのか?
時折、記憶が飛んだ後は、ニコニコした婆さんが、あったかいココアを持って、隣にいる事が多かった。
今回も、婆さんが隣にいた。
相変わらず、認知症らしく、チンプンカンプンなな事を呟きながら、僕の隣にいた。
「あのさ・・・僕。どこに居た?」
学校に行っていた?
「仕事に行っていた」
「だ・・よな」
全身の節々が痛む。
「確か・・・天井から、人が」
そう、宙から人が現れて、裂けた口が大きくて。
「婆さん・・・天井から人が現れて・・」
「そうよな・・・お勤めじゃ」
「そうじゃなくて、婆さん。宙に人がいて。確か、女の子で」
「こうか?こうか?」
婆さんは、自分の口を引っ張りながら、おどけて見せる。
「晴。お前は、選ばれたんじゃ・・・。その体、貸してやれ」
「体って?」
「ナーンまいだ。ナンマイダ」
「婆さん?」
話をそらしてしまい、僕は、イマイチ、すっきりしないまま、婆さんの淹れてくれたココアを啜った。
「今まで・・・誰と、一緒に居たのか・・」
生徒と居た気もする。すっきりしないまま、晴は、布団を頭から被った。
「頭を整理しよう」
そうだ。何かが、起きている。
天井に広がる黒いシミが、何が起きていたのかを告げている気がした。
「ドクン」
胸が高鳴る。
「思い出せ」
そう、この体には、誰かが、住んでいる。
家の為に、子供の体を差し出す先祖が居た。
もしかしたら、僕自身も・・・。
いつも、こんな感じだ。
晴は、ポカンと天井を見上げていた。
小さい時から、記憶が曖昧になっている時があった。
気がつくと、婆さんがそばに居た。
「目が覚めたかね」
そう言うと、あったかいココアを用意してくれていた。
「蔵には、寄りつくな」
そう言うのに、言う事を聴かないと、蔵に閉じ込められていた。
「お守りさんと仲良くしな」
婆さんの言うお守りさんは、この家を守る守護神の事らしい。
代々、続く古い家だから、いろんな話がある。
この家には、中々、男子が生まれず、晴が生まれたのは、何代ぶりか、遠く、久しかったらしい。
蔵には、お守りさんの祠があり、悪い事をすると、良く、閉じ込められた。
「家を栄えさせるために、自分の子供を生贄にした時代がある」
そおいう悪い噂が流れていた。
何代か前に、生まれた男の子を、家を栄えさせる為に、捧げた先祖がいたらしい。
「それ以来、男の子は、生まれなくなった」
婆さんがぼやいていた。
だけど、婆さんも、僕を売った事は、ないのか?
時折、記憶が飛んだ後は、ニコニコした婆さんが、あったかいココアを持って、隣にいる事が多かった。
今回も、婆さんが隣にいた。
相変わらず、認知症らしく、チンプンカンプンなな事を呟きながら、僕の隣にいた。
「あのさ・・・僕。どこに居た?」
学校に行っていた?
「仕事に行っていた」
「だ・・よな」
全身の節々が痛む。
「確か・・・天井から、人が」
そう、宙から人が現れて、裂けた口が大きくて。
「婆さん・・・天井から人が現れて・・」
「そうよな・・・お勤めじゃ」
「そうじゃなくて、婆さん。宙に人がいて。確か、女の子で」
「こうか?こうか?」
婆さんは、自分の口を引っ張りながら、おどけて見せる。
「晴。お前は、選ばれたんじゃ・・・。その体、貸してやれ」
「体って?」
「ナーンまいだ。ナンマイダ」
「婆さん?」
話をそらしてしまい、僕は、イマイチ、すっきりしないまま、婆さんの淹れてくれたココアを啜った。
「今まで・・・誰と、一緒に居たのか・・」
生徒と居た気もする。すっきりしないまま、晴は、布団を頭から被った。
「頭を整理しよう」
そうだ。何かが、起きている。
天井に広がる黒いシミが、何が起きていたのかを告げている気がした。
「ドクン」
胸が高鳴る。
「思い出せ」
そう、この体には、誰かが、住んでいる。
家の為に、子供の体を差し出す先祖が居た。
もしかしたら、僕自身も・・・。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
私を裏切った相手とは関わるつもりはありません
みちこ
ファンタジー
幼なじみに嵌められて処刑された主人公、気が付いたら8年前に戻っていた。
未来を変えるために行動をする
1度裏切った相手とは関わらないように過ごす
心を失った彼女は、もう婚約者を見ない
基本二度寝
恋愛
女癖の悪い王太子は呪われた。
寝台から起き上がれず、食事も身体が拒否し、原因不明な状態の心労もあり、やせ細っていった。
「こりゃあすごい」
解呪に呼ばれた魔女は、しゃがれ声で場違いにも感嘆した。
「王族に呪いなんて効かないはずなのにと思ったけれど、これほど大きい呪いは見たことがないよ。どれだけの女の恨みを買ったんだい」
王太子には思い当たる節はない。
相手が勝手に勘違いして想いを寄せられているだけなのに。
「こりゃあ対価は大きいよ?」
金ならいくらでも出すと豪語する国王と、「早く息子を助けて」と喚く王妃。
「なら、その娘の心を対価にどうだい」
魔女はぐるりと部屋を見渡し、壁際に使用人らと共に立たされている王太子の婚約者の令嬢を指差した。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる