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僕らの始まり

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僕らは、道に溢れる百鬼に向かって、進んで行った。
僕は、除霊師で、依頼を受けて除霊をしていた。それは、その場所に向かい、身時通り、除霊をする。だけど、いつしか、それは、除霊だけではなく、退魔になっていった。
そして、音羽は、僕に憑く霊である。
自縛霊とも違う。
音羽の正体は、不確かな物だった。
そもそもの出会いは、僕が追いやられた山寺だった。
僕が、小さい頃、母親は、あの部屋で、消えていた。
もしかすると、殺されていたのかもしれない。
大量の出血と共に、姿を消した。
鑑定の結果、その血液は、母親の物で、致命傷を負う量だった。
「生きてはいないだろう」
誰もが、そう思っていた。
父親も。
妻を失い失意の中で、僕を見る目が変わっていった。
父親は、僕を知り合いの僧侶に任せた。
突然、連れてこられた山奥の寺で、幼い僕は、当惑した。
夕暮れの中、飛び交うカラスや、虫や、闇の中に潜む声達に震え上がった。
ある日。
僕は、僧侶の大事にしている、数珠を壊してしまった。
悪気はなかったが、山奥にやられ、荒れていた僕に、弁解はできなかった。
珍しい数珠だった。
僕は、何時間も、外に出されていた。
山奥の日暮。
僕には、空恐ろしかった。
「誰かいるか?」
森の中から、声が聞こえた。
「誰か・・・」
何度も、ぶつぶつと声が聞こえる。
遠くを見ると鬼火が聞こえる。
「誰か・・」
僕は、声に誘われるまま、寺を抜け出し、歩いていった。
裸足だった。
どこかで、僕を止める声が聞こえた。
それでも、僕は、歩いていった。
声に導かれるまま。
「助けて・・」
声が聞こえたのは、森の奥にある大きな石だった。
周りをしめ飾りで、封印され、見るからに、禁じられた場所だった。
「日暮に、森に行ってはイケナイ」
寺に来た時に、言われた言葉は、忘れていた。
「どうしたの?」
僕は、その岩に話しかけていた。
「助けて」
石の中から、か細い声が聞こえていた。
「どうしたら、助けられるの」
「ここから、出して」
「どうやって?」
しめ飾りが揺れる。
「これを、切って」
「これ?」
そう簡単に、切れないと言われていたしめ飾り。僕が、触れると、それは、バラバラに、宙へと散り去り、その岩の中から、真っ白な体を持つ女性が現れた。
「何だ、小童か」
女性は、恥ずかしげもなく、素っ裸で、僕を見下ろしていた。
「子供の癖にやるなぁ」
「どうして、石の中にいたの?」
僕が、聞くと女は、恐ろしい程、口を大きく開けると、笑っていた。
「そんな答え、知るか」
そう言うと、僕に飛び掛かってきた。
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