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新たな嵐が来る前に
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紫鳳は、疲れ切っていた。気が付くと、全身のあちこちが爆風で切れており、おびただしい出血で染まっていた。爆風の中、何故か、瑠璃光の結界は、紫鳳まで、及ばず、青龍の剣のみが、彼らの命を守っていた。紫鳳は、式神といっても、瑠璃光の庇護の元、造られたに過ぎず、生身の血の通う人間と変わらなかった。捨てられた赤子を、十二神将の魄で、繋いだに変わらず、血を流す事もあれば、万が一、消えて亡くなる事もある。そして、条件さえ揃えば、元の人間に戻る事さえできる。あくまでも、瑠璃光の契約の元の、生きる式神。永遠の命を約束は、されていない。立ち上がる紫鳳の力ない様子に、阿は、素早く気づいた。
「紫鳳。雨が止むまで、もう少し、休みたい」
決して、休もうなんて提案は、聞かないだろうと思い、自分の気持ちとして言った。
「瑠璃光だって、居ないことに気付けば、探してくれる」
「そうだよ。まさか、自分の写鏡として、育てた紫鳳を忘れる事なんて、ないと思う」
阿に唆されて吽も同調した。紫鳳の姿は、痛々しく、もう、青龍の剣は、使えないだろう。休ませたいにも、雨は、激しく紫鳳の体を打ちつけた。この激しさでは、器の人間の体も、壊れてしまう。阿は、辺りを見回した。激しい雨の中を、傘をさした1人の少年が、通りかかろうとしていた。同じように雨に濡れながら、1頭の馬の手綱を引いていた。
「あ。。あの」
阿は、慌てて姿を1人の童に姿を変えて、声をかけた。
「すみません。。。道中、怪我をして困っているのです。どこか、近くまで、休める所は、ないでしょうか?」
吽も、同調するように、男童に姿を変えていた。
「途中、野犬の群れに襲われ、怪我をしています。雨で、休む所もなく、困っています」
馬の手綱を引く少年は、困った様に、紫鳳達を見下ろした。
「私も、雨に降られて困ってる所です。馬も、怪我をしていて、急げない。近くに、人も住んでいない屋敷があると聞いて、そこにいく途中です。よければ、一緒に行きますか?」
少年は、名前を青嵐と言った。物の怪などの祓いをして生活をしており、これから、依頼主の所にいく途中だが、馬が怪我をしてしまい、途中で、馬を休めようとしていた所だと話した。
「この子も、足を怪我していて」
青嵐は、馬を桜と呼んだ。怪我を気遣いながら、紫鳳の怪我の酷さに驚き、馬の背に、紫鳳を乗せることにした。阿と吽も童の姿のまま、青嵐の言う、近くの民家まで、同行する事にした。雨は、酷くそれぞれの体力を奪うが、何とか、青嵐の言う民家まで辿り着く事が出来た。昔は、権力のあった民が、住んでいたと見える大きな屋敷ではあったが、今では、その時の権力も感じられないほど、落ちぶれた屋敷ではあった。
「ここで、休もう」
青嵐は、馬も一緒に朽ち果てた屋敷の中に、入れると、力を失いぐったりとし紫鳳を、床の間に下ろした。
「紫鳳?」
阿が、紫鳳の顔を覗き込むと、少し、寝入っている様だった。
「雨が通り過ぎるまで、休もう」
青嵐は、屋敷のあちこちを探し回り、燃えるものを幾つか集めてきた。慣れた手つきで、火を起こした。
「これから、何処にいくの?」
吽は、青嵐に聞かれて、答えに詰まった。
「はぐれた仲間を探しに」
「はぐれたって、あの大陸の魔道士、瑠璃光?って人かな」
興味深げに、除く顔に、阿は、言葉が詰まっていた。
「紫鳳。雨が止むまで、もう少し、休みたい」
決して、休もうなんて提案は、聞かないだろうと思い、自分の気持ちとして言った。
「瑠璃光だって、居ないことに気付けば、探してくれる」
「そうだよ。まさか、自分の写鏡として、育てた紫鳳を忘れる事なんて、ないと思う」
阿に唆されて吽も同調した。紫鳳の姿は、痛々しく、もう、青龍の剣は、使えないだろう。休ませたいにも、雨は、激しく紫鳳の体を打ちつけた。この激しさでは、器の人間の体も、壊れてしまう。阿は、辺りを見回した。激しい雨の中を、傘をさした1人の少年が、通りかかろうとしていた。同じように雨に濡れながら、1頭の馬の手綱を引いていた。
「あ。。あの」
阿は、慌てて姿を1人の童に姿を変えて、声をかけた。
「すみません。。。道中、怪我をして困っているのです。どこか、近くまで、休める所は、ないでしょうか?」
吽も、同調するように、男童に姿を変えていた。
「途中、野犬の群れに襲われ、怪我をしています。雨で、休む所もなく、困っています」
馬の手綱を引く少年は、困った様に、紫鳳達を見下ろした。
「私も、雨に降られて困ってる所です。馬も、怪我をしていて、急げない。近くに、人も住んでいない屋敷があると聞いて、そこにいく途中です。よければ、一緒に行きますか?」
少年は、名前を青嵐と言った。物の怪などの祓いをして生活をしており、これから、依頼主の所にいく途中だが、馬が怪我をしてしまい、途中で、馬を休めようとしていた所だと話した。
「この子も、足を怪我していて」
青嵐は、馬を桜と呼んだ。怪我を気遣いながら、紫鳳の怪我の酷さに驚き、馬の背に、紫鳳を乗せることにした。阿と吽も童の姿のまま、青嵐の言う、近くの民家まで、同行する事にした。雨は、酷くそれぞれの体力を奪うが、何とか、青嵐の言う民家まで辿り着く事が出来た。昔は、権力のあった民が、住んでいたと見える大きな屋敷ではあったが、今では、その時の権力も感じられないほど、落ちぶれた屋敷ではあった。
「ここで、休もう」
青嵐は、馬も一緒に朽ち果てた屋敷の中に、入れると、力を失いぐったりとし紫鳳を、床の間に下ろした。
「紫鳳?」
阿が、紫鳳の顔を覗き込むと、少し、寝入っている様だった。
「雨が通り過ぎるまで、休もう」
青嵐は、屋敷のあちこちを探し回り、燃えるものを幾つか集めてきた。慣れた手つきで、火を起こした。
「これから、何処にいくの?」
吽は、青嵐に聞かれて、答えに詰まった。
「はぐれた仲間を探しに」
「はぐれたって、あの大陸の魔道士、瑠璃光?って人かな」
興味深げに、除く顔に、阿は、言葉が詰まっていた。
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