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恋する妖の姫は、魔導士に落ちる

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瑠璃香は、美しい。大陸から渡ってきた魔導士は、島国の世間知らずな姫君には、魅力的すぎた。妖に魂を売った紗々姫も、変わらず、瑠璃光に眼前で迫られ、少し、たじろいてしまった。瑠璃光の骸と術を手に入れれば、陽の元の国は、自分の物になると、あの者には、教えられていた。百鬼達を従え、三華の塔には、神器が、多くある。使いこなす事は、できる。だが、
「どうです?私の物になりませんか?」
あろう事か、瑠璃光h、紗々姫の手を取って、耳元で、囁いた。甘い瑠璃光の吐息に、沙耶姫の両目からは、光が飛び出しそうだった。
「紗々姫様!」
玉枝御前は、叫んだ。
「しっかりしてください!」
「おい」
紫鳳も、固まっていた。戦闘モードから、抜け出せないでいるのに、何やら、瑠璃香は、自分とは、別のモードにいる事に戸惑っていた。
「私とくるんです」
瑠璃光は、紗々姫の髪に手を回した。変化していた紗々姫の体からは、力が抜けていき、淡い光が、紗々姫の前身を覆っていた。瑠璃光は、ふわりと、紗々姫の体を抱え上げ、三華の塔の上に降り立った。紗々姫は、何が起きたのか、わからず、混乱していたが、姿は、すっかり、人間の愛らしい姫の姿に戻っていた。
「あの。。」
紗々姫が、見上げると、そこには、瑠璃光の優しく見つめる瞳があった。
「私の骸が欲しいならあげますよ。だけど、こうして話を楽しんだり、抱きしめ合ったりする事はできないのでは?」
瑠璃香に見つめられ、そう囁かれると、確かにそう思えてくる。術師ての腕は、欲しいし、こうしてそばにいてくれるなら、それに越した事はない。
「沙耶姫様!」
沙耶姫の異様な雰囲気に、玉枝御前は、ただならぬ展開を察知し叫んだ。
「三華の塔を守るのです。この国を変えるのでは、なかったのですか?あやつらの意のままにはせず、変えようと、かく。。。」
言いかけて、玉枝御前は、ハッとして口をつぐんだ。
「まぁ。。よい。玉枝」
紗々姫は、瑠璃香の肩越しに言った。
「何も、骸が良いと言う訳ではない」
瑠璃香の顔から、目が離せない
「中身があった方がいいとは、思わぬか」
それを聞いて、瑠璃香の口元は、緩んだ。
「そうですよ。。さあ、ここは、冷える故、中に入りませんか」
「ちょ!」
慌てて紫鳳は、声を上げた。
「そのままにしておくのかよ!」
瑠璃香は、冷めた一瞥を送ると
「あやつは、うるさい故。。」
術を唱えると、ヒュッと音がして、瑠璃香の袖に、封印されてしまった。
「さぁ。。中で、茶でも」
そう言うと瑠璃香は、紗々姫を抱え上げ、三華の塔へと入っていった。
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