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あの世とこの世の境にあるもの。
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八は、ずっと目を凝らしていた。自分が今、どこにいるのかわからなかった。そこは、川の上だったり、濃い霧の中だったり、深い谷の底だったり、上だったり下だったり、足元が変わっていた。わかっているのは、1人だって事と、瑠眞の鎌先が、自分の首筋に当たったって事。自分の人生が、強制的に終わらされたって事だった。
「ここは。。?」
八は、濃い霧に囲まれた。川の上に立っているようだった。川の対岸に着きそうになるが、誰かに声をかけられ、引き戻される。川岸に足が届きそうになると、
「戻って!」
沙羅に似た声が聞こえてくる様だった。
「ここから、反対の岸に行って。細い道がある。底に出たら振り返らず、進んで。決して、後ろを振り返らないで」
八は、声のする方を見ようとしたが、見る事は出来なかった。黒い霧が立ち込めている。
「沙羅?」
沙羅の声だと思い、叫んでみるが、返事はない。岸に渡りたい気持ちを抑え、反対向に、進んでみる事にした。霧が濃く、本当に反対側に行っているのか、わからないが、手で、霧を掻くように進むと、金色に輝く細い道が、対岸に見えた。
「ここか?」
八は、対岸に足を下ろした。
「八!」
蓮の声が聞こえたような気がした。今までの記憶が、蘇り、蓮に逢いたい気持ちが高まった。
「れーん!」
八は、叫んだ。が、霧の中に、吸い込まれていった。金色の細い道を進んでみた。細くて、どこかの田舎の畦道と変わらない道だった。よくみると、その道は、深い谷底にあった。何処からともなく吹いてくる風が、頬にあたり、その先に、抜け道がある事を教えていた。
「ここを、抜ければ、蓮に会えるのか?」
歩いても、歩いても、抜け出せそうな気がしない。何処からか、女性の鳴き声が聞こえてきた。
「誰?」
どこかで、聞いた事のある声だった。それは、後ろから聞こえてくる様だった。振り向きたいのを抑え、八は、進んでいった。
「八?忘れたの?私よ」
その声は、沙羅の様だった。
「知らないふりしないで、八。覚えてる?大学の頃の事」
八は無視した。
「戻りたいの。あの頃に。八。。よく帰り道に寄ったあの店に行きたわね」
構わず、先に進む。早く出口のたどり着こうと、八は、足を早めた。
「八。私よ。私は、最後の力を振り絞って、あなたを助けたのよ」
危うく、振り返りそうになった。あと、少しで、出口に出れそうだった。
「八!」
蓮の声が聞こえた。左肩に誰かが、触れた。蓮の手だ!
「蓮!」
左肩に置かれた手に触れ、八は、思わず、振り返ってしまった。
「!」
左肩に置かれた手は
長い爪を持つ地獄の犬に変わっていた。
「うわ!」
足元から、崩れ落ちそうになった。八は、必死で、手を伸ばし、何かに捕まった。地獄の犬は、裂けた口で、八に襲いかかってきた。無我夢中で、手をばたつかせると、何かに当たった。沙羅の細い腕だった。
「少しだけ、少しだけだよ。八。時間をもらえたのは。あとは、自分で、勝ち取るのよ」
沙羅の腕が、八を引き上げるのと、同時に、地獄の犬が、襲い掛かってきた。何匹かの、犬が、沙羅と八を追いかけ、黄泉路から、飛び出していった。
「ここは。。?」
八は、濃い霧に囲まれた。川の上に立っているようだった。川の対岸に着きそうになるが、誰かに声をかけられ、引き戻される。川岸に足が届きそうになると、
「戻って!」
沙羅に似た声が聞こえてくる様だった。
「ここから、反対の岸に行って。細い道がある。底に出たら振り返らず、進んで。決して、後ろを振り返らないで」
八は、声のする方を見ようとしたが、見る事は出来なかった。黒い霧が立ち込めている。
「沙羅?」
沙羅の声だと思い、叫んでみるが、返事はない。岸に渡りたい気持ちを抑え、反対向に、進んでみる事にした。霧が濃く、本当に反対側に行っているのか、わからないが、手で、霧を掻くように進むと、金色に輝く細い道が、対岸に見えた。
「ここか?」
八は、対岸に足を下ろした。
「八!」
蓮の声が聞こえたような気がした。今までの記憶が、蘇り、蓮に逢いたい気持ちが高まった。
「れーん!」
八は、叫んだ。が、霧の中に、吸い込まれていった。金色の細い道を進んでみた。細くて、どこかの田舎の畦道と変わらない道だった。よくみると、その道は、深い谷底にあった。何処からともなく吹いてくる風が、頬にあたり、その先に、抜け道がある事を教えていた。
「ここを、抜ければ、蓮に会えるのか?」
歩いても、歩いても、抜け出せそうな気がしない。何処からか、女性の鳴き声が聞こえてきた。
「誰?」
どこかで、聞いた事のある声だった。それは、後ろから聞こえてくる様だった。振り向きたいのを抑え、八は、進んでいった。
「八?忘れたの?私よ」
その声は、沙羅の様だった。
「知らないふりしないで、八。覚えてる?大学の頃の事」
八は無視した。
「戻りたいの。あの頃に。八。。よく帰り道に寄ったあの店に行きたわね」
構わず、先に進む。早く出口のたどり着こうと、八は、足を早めた。
「八。私よ。私は、最後の力を振り絞って、あなたを助けたのよ」
危うく、振り返りそうになった。あと、少しで、出口に出れそうだった。
「八!」
蓮の声が聞こえた。左肩に誰かが、触れた。蓮の手だ!
「蓮!」
左肩に置かれた手に触れ、八は、思わず、振り返ってしまった。
「!」
左肩に置かれた手は
長い爪を持つ地獄の犬に変わっていた。
「うわ!」
足元から、崩れ落ちそうになった。八は、必死で、手を伸ばし、何かに捕まった。地獄の犬は、裂けた口で、八に襲いかかってきた。無我夢中で、手をばたつかせると、何かに当たった。沙羅の細い腕だった。
「少しだけ、少しだけだよ。八。時間をもらえたのは。あとは、自分で、勝ち取るのよ」
沙羅の腕が、八を引き上げるのと、同時に、地獄の犬が、襲い掛かってきた。何匹かの、犬が、沙羅と八を追いかけ、黄泉路から、飛び出していった。
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