死神の守人

蘇 陶華

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真実の継承者

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僕が目を覚ましたのは、街外れにある大きな病院のベッドの上だった。あの後、力尽きた僕は、倒れ込み牛頭と馬頭は、沙羅の元に連れて行く訳には、いかず途方に暮れたらしい。悩んだ結果、牛頭が、僕の事業所の車を運転し、病院の前に、放置して行った。まあ、よく言えば、救急外来に送り届けてくれた。その後、多分、沙羅の元に行ったのだろう。何も、音沙汰はなく、僕は、ぼんやりと天井の電気を見つめていた。どうやら、二夜は、寝込んだらしい。背中の傷は、縫合されており、どうして、怪我をしたのか、みんなは、首を傾げていた。約束通りなら、沙羅は、元通りになり、八も解放されている筈だった。待っていた。元気な八が、顔を出してくれるのを。意識を取り戻した僕に、病院は、退院の許可を出し、僕は、家に帰る事になった。突然、仕事を休む事になったし、市神が、どうなったのかも知りたかった。あの信徒達に、守護神として、祀りあげられているんだろう。ふと、隣のベッドから、テレビの音が、耳に入った。
「なんだって、大きな犬だな」
気になり、カーテンを開け、画面に見入った。
「どうしたんですか?」
僕は、思わず声を掛けた。
「あぁ。。元気になったかい?最近、妙な事が続いてね。大きなカラスが出たかと、思ったら、今度は、犬の群れだ」
「犬の群れ?」
画面に1匹の犬が、大きく映しだされていた。犬じゃない。。。。地獄の番犬だ。。。僕は、慌てて、身の回りの物をバックに押し込んだ。僕の意識がない間、牛頭と馬頭が、いろいろ世話をしてくれていたらしい。
「どうした?帰るのかい?」
隣のおじさんが声を上げた。
「えぇ。。退院許可が降りたので。おせわになりました」
僕は、靴を履くのも、中途半端で、部屋から飛び出した。地獄の犬が来るなんて。。。誰が、脱走したの?沙羅は?あの女は?そして市神は?エレベーターのボタンを押すのも、もどかしく、窓から飛び出したかったが、思い出し、僕は、笑った。
「バカだな。もう飛べない」
市神。何してる?地獄の犬が、群れて現れるなんて、大物が来ているんだ。早く、捕まえてみろよ。本当の継承者なら、僕より、凄い所を見せろよ。エレベーターが、僕の居る階に上り、そして、ドアが目の前で開いた。
「!」
僕は、後ずさった。
「遅くなったな」
八が、壁を背にして立っていた。いや。。。壁に、寄りかかりながら、やっと立っている状態だった。
「なんだよ」
僕は、駆け込み、八を抱えた。
「やっと。。逢えた」
八は、途切れそうになりながら、僕に伝えた。
「随分、時間が掛かった気がする」
そう言って、八は、倒れた。
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