104 / 106
ステージに咲くのは、紅い華か
しおりを挟む
僕は、莉子が踊り終えた後、車椅子で、戻って来るのを、ステージの陰で、待っていた。誰もが、同じ気持ちだった。感極まって鼻水と涙で、ぐちゃぐちゃになっているのは、僕だけでなかった。
「生きてて良かった!」
黒壁が、僕に飛びつきそうになったので、交わしながら、車椅子で、戻ってくる莉子を迎えに出た。
「莉子!」
もう、僕は、人目を気にするのを忘れていた。高揚感は、マックスになり、莉子も、踊り疲れた体を車椅子に委ねながら、滑り込んできた。僕が、腕を広げ、抱きしめる。この一瞬の為に、生きてきた気がする。
「良かった!莉子。最高だった」
「新!私、やったわ!頑張れたの」
僕は、莉子の髪に顔を埋める。
「本当だ。良かった。本当に」
莉子の髪の匂いに、幸せを感じた。ほんの一歌だけだったけど、莉子の踊りは、可能性を秘めていた。ここから、全て、やり直せる。
「あのさ・・・」
僕に、振られた黒壁が、咳払いをしながら言った。
「フィナーレ。これからなんだよ。お前も、さっさと離れろよ」
これから、フィナーレで、藤井先生に、莉子が花束を渡す。スタッフ全員が、ステージに並び、あの有名な歌謡曲に合わせて、踊りながら、最後の、ステージに上がった藤井先生に、スタイお代表で、莉子が花束を渡す。スケジュールが押しているのに、僕と莉子は、いつまでも、感動を味わっていて、皆、どうしたらいいかと言う表情をしていた。
「ごめんごめん。」
僕と莉子が離れると、音楽が鳴り出し、皆、ステージに集まって行った。
「莉子。最後だから」
僕も、スタッフとして、紹介をされる予定。後ろに預かった花束を隠し、スタッフと一緒に、パルマを打ちながら、ステージに並んだ。一人ずつ、ギタリストの打ち鳴らすギターに合わせて、出演スタッフの紹介の後、藤井先生が挨拶に、ステージに立った。
「今日は、本当に嬉しく思います」
藤井先生は、またも、泣いていて、言葉にならない。自分の家族の事、病気の事、莉子の事、色々、あったんだろう。莉子が、車椅子のまま、先生の間に行った、僕は、花束を莉子に渡し、藤井先生の顔を見た。その瞬間だった。後ろに並んだスタッフの間から、黒い影が飛び出した。また、何かのサプライズだと、されもが思った。僕も、そう思った。あが、そうでは、ない事を瞬間、僕は、感じた。黒い影は、フードを目深に被っていたが、その目は、血走っていて、莉子を真っ直ぐに見ていた。振り上げた手の先に、光る何かを握っていた。
「莉子!」
僕の身体が、動いていた。瞬間、藤井先生の驚いた顔だけが、僕の目に入った。莉子の体をに覆い被さりながら、僕は、何が起きたのか、理解できなかった。
「きゃー」
誰の物とも、わからない悲鳴が、満ち溢れていた。僕は、莉子の体の上に落ちながら、彼女が、ひどく怯えた表情で、僕を見ているのに、気づいた。僕は、そのまま、莉子の足元に、崩れ落ちた。酷く、左の背中が、熱く燃えていた。
「生きてて良かった!」
黒壁が、僕に飛びつきそうになったので、交わしながら、車椅子で、戻ってくる莉子を迎えに出た。
「莉子!」
もう、僕は、人目を気にするのを忘れていた。高揚感は、マックスになり、莉子も、踊り疲れた体を車椅子に委ねながら、滑り込んできた。僕が、腕を広げ、抱きしめる。この一瞬の為に、生きてきた気がする。
「良かった!莉子。最高だった」
「新!私、やったわ!頑張れたの」
僕は、莉子の髪に顔を埋める。
「本当だ。良かった。本当に」
莉子の髪の匂いに、幸せを感じた。ほんの一歌だけだったけど、莉子の踊りは、可能性を秘めていた。ここから、全て、やり直せる。
「あのさ・・・」
僕に、振られた黒壁が、咳払いをしながら言った。
「フィナーレ。これからなんだよ。お前も、さっさと離れろよ」
これから、フィナーレで、藤井先生に、莉子が花束を渡す。スタッフ全員が、ステージに並び、あの有名な歌謡曲に合わせて、踊りながら、最後の、ステージに上がった藤井先生に、スタイお代表で、莉子が花束を渡す。スケジュールが押しているのに、僕と莉子は、いつまでも、感動を味わっていて、皆、どうしたらいいかと言う表情をしていた。
「ごめんごめん。」
僕と莉子が離れると、音楽が鳴り出し、皆、ステージに集まって行った。
「莉子。最後だから」
僕も、スタッフとして、紹介をされる予定。後ろに預かった花束を隠し、スタッフと一緒に、パルマを打ちながら、ステージに並んだ。一人ずつ、ギタリストの打ち鳴らすギターに合わせて、出演スタッフの紹介の後、藤井先生が挨拶に、ステージに立った。
「今日は、本当に嬉しく思います」
藤井先生は、またも、泣いていて、言葉にならない。自分の家族の事、病気の事、莉子の事、色々、あったんだろう。莉子が、車椅子のまま、先生の間に行った、僕は、花束を莉子に渡し、藤井先生の顔を見た。その瞬間だった。後ろに並んだスタッフの間から、黒い影が飛び出した。また、何かのサプライズだと、されもが思った。僕も、そう思った。あが、そうでは、ない事を瞬間、僕は、感じた。黒い影は、フードを目深に被っていたが、その目は、血走っていて、莉子を真っ直ぐに見ていた。振り上げた手の先に、光る何かを握っていた。
「莉子!」
僕の身体が、動いていた。瞬間、藤井先生の驚いた顔だけが、僕の目に入った。莉子の体をに覆い被さりながら、僕は、何が起きたのか、理解できなかった。
「きゃー」
誰の物とも、わからない悲鳴が、満ち溢れていた。僕は、莉子の体の上に落ちながら、彼女が、ひどく怯えた表情で、僕を見ているのに、気づいた。僕は、そのまま、莉子の足元に、崩れ落ちた。酷く、左の背中が、熱く燃えていた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
ご令嬢は一人だけ別ゲーだったようです
バイオベース
恋愛
魔法が有り、魔物がいる。
そんな世界で生きる公爵家のご令嬢エレノアには欠点が一つあった。
それは強さの証である『レベル』が上がらないという事。
そんなある日、エレノアは身に覚えの無い罪で王子との婚約を破棄される。
同じ学院に通う平民の娘が『聖女』であり、王子はそれと結ばれるというのだ。
エレノアは『聖女』を害した悪女として、貴族籍をはく奪されて開拓村へと追いやられたのだった。
しかし当の本人はどこ吹く風。
エレノアは前世の記憶を持つ転生者だった。
そして『ここがゲームの世界』だという記憶の他にも、特別な力を一つ持っている。
それは『こことは違うゲームの世界の力』。
前世で遊び倒した農業系シミュレーションゲームの不思議な力だった。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる