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1章
(72)またしてもすべての元凶はマーラだった
しおりを挟むライトは首都ドワルルに到着した。
「トリチ!どうなっているのだ」
ライトは怒号を発する。
「はっ!ライト様からの命令に従い
ドワルルを鬼人族にて制圧しました」
「そんな命令は出していない!
誰から聞いた」
「闇の聖霊アルプより指令がありました。
ライト様がエルフ族を撤退させて
ドワーフ王とその軍は孤立させた上で
首都でドワーフ王を迎え撃つと。
完璧な作戦です。
言葉にもなりません。
このような策略を描くとは
さすがライト様としか言いようがありません」
(この状況ではもう戦うしかないな)
「わかった。トリチよ、決戦に備えよ」
ライトはもうドワーフ族とのやり直しは
きかないと考えていた。
自分の意図しない戦いではあるが、
ドワーフ国を滅ぼすには最良の手だった。
いまさら謝ったところでどうにもならない。
こういうふうに手立てしたのは
マーラに違いないのはわかっている。
大陸統一への最短コースを
進めようとしているのはわかっている。
それでも正義感の強いライトは
次の手を考える。
「マーラ、よくも勝手に動いてくれたな」
「はい、現状打てる最良の手を選択しました。
我が国のダメージもなく、エルフ族の
追い討ちによる乱戦もなく、
弱ったドワーフ国の相手をするだけで
よくなりました。
ライト様の行動パターンと照合させた上で
今回の采配となりました」
「地の宝珠を手に入れるには
最短で最良の手であろうが
私は裏切りは好まない」
「ライト様のやり方では
ライト様の正義感のために、
中央帝国の兵の命や
ドワーフ国の兵の命を
より多く奪っても良いという
考えになります。
そんな都合の良いことは叶いません。
ここは戦時中の大陸です。
生きるか死ぬかです。
きれいごとではすまされません。
そろそろ気づいてください」
「それはわかっている。
その上でなお、手を取り合える
世界を作りたいのだ」
「どうぞご自由になさってください。
ただし、地の宝珠のありかだけは
必ず聞いてください。
それを手に入れなければ本末転倒です」
「わかっている。ドワーフ王は生かして
ドワーフ国を再建させる」
「もうすでに敵対度はマックスです。
戦いに勝って従属させなければ
そういうこともできないでしょう。
ここでの決戦に備えて
猫族、犬族、熊族、念のために
龍人族長フェルミもこの城に
もうすでに呼び集めています」
「マーラよ、確かにお前の立てた案は
最短で最適だがそこに心はない。
それでは兵も民もついてはこれまい。
大陸統一後の世界についても
想定しておくべきではないか」
「ライト様、それは大陸統一されれば
自ずと道は開けます。
まずは手段を選ばずに統一することです
「もうよい。ドワーフと一戦交える
準備をするぞ」
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