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1章

(66)海王がヴィーヌスを斬り殺した!

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「なに!ヴィーヌスが殺されただと?」

「はい、先程、海王国のスィティーから
 密書が届きました」

ヴィーヌスが不在時は情報局長の
ドキが国防長官代理となる。
そのドキの元に密書が届いたのだ。

「どうして殺されたのだ」

「スィティーによると損害賠償請求に
 海王が憤慨し、その場で切り捨てた
 とのことです」

「なぜ、そんなことをするのだ………」

「スィティーが海王を諌めて
 亡骸は氷漬けにして送るように
 手配するとのことでした」

「ドキ、すぐに敵討ちに向かう
 海王国の情報をすべて私に知らせよ」

「かしこまりました。
 2日お時間をくださいませ」

「長い、1日で戦の準備だ」

「はっ」

そういうとドキは姿を消した。

「海王国め、許せん。絶対に許さん」

ウァイトは激情に駆られていた。

「コンッコンッ」

王の間の扉の音が鳴る。

「どうした、ウィークス」

「ヴィーヌスが殺されたと聞きました。

 ウァイト様は海王国へ攻めると
 おっしゃられると思いますが
 諌めにまいりました」

「法皇国を滅ぼすことが先決です。
 今を逃すと将来に災いとなるでしょう」

「それはわかっているが………
 許せぬのだ、海王国が」

「海王国はスィティーもいます。
 スィティーは敵対する気はないと
 思われます」

「くどい!それならば二手に分かれれば良い!
 法皇国は虫の息だ。そこまで力をそちらに
 さかなくてもよい」

「海王国の情報が上がってきたら
 布陣を発する。それまで待て」

「わかりました」

……… ………… ………… …………

「ウァイト様、海王国の現状報告です。

 海王『ポントス』
 海軍提督『スィティー』
 海軍大将『ラーン』
 海軍中将『エーギル』
 海軍少将『リル』


 海王は戦場に出たという記録は
 残っていませんが
 スィティーよりも強いという評判です。

 スィティー提督は海軍を束ねる
 最上位の将軍です。
 
 海軍大将ラーンは激しい性格で
 すべてを破壊するような
 性格の持ち主だそうです。

 海軍中将のエーギルはラーンの夫であり
 ラーンを止めることのできる唯一の
 人間だそうです。

 海軍少将リルは謎です。
 最近まで不在だった少将の地位に
 ついたそうです。

 海王のポントスは野心家であり、
 今回の法皇国の策略も分かった上で
 聖騎士国を攻めてきた可能性が高いです。

 元々から覇権を狙っていたのでしょう。
 タイミングよく法皇国が
 動いたということでしょう」

「よく1日で調べてくれた、ドキよ。
 法皇国の大十字は残り3人、
 うち1人は重症だ。
 
 法皇国には
 コンチネントとスィーをあてる」

「スィーは弓戦が得意です。
 海王国とは海上での戦いを考慮して
 スィーを参戦させるべきでは
 ありませんか」

ドキが進言をする。

「場合によってはスィティーとも
 戦うだろう。
 スィーとスィティーは
 戦わせたくない」

「かしこまりました。
 海王国には誰が出陣しますか?」

「私とウィークスとスカイ、フライ、ドキだ」

「犬千代は連れては行かれないのですか」

「そうだ、この前みたいに本国の守りも
 しっかりしておきたい。
 出陣は3日後だ。それならば
 コンチネントもスィーも体調はある程度
 回復してるだろう」

「かしこまりました。それでは
 各人は伝達しておきます」
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