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序章 

(8)なぜ!急に停戦の申し出

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(8)なぜ!急に停戦の申し出

「その可能性は高いな」

ウァイトはわかっていたかのように返事をする。

「わたしも同じことを考えていた。
 ウィークスが来てくれたことで確信に変わった」

ウァイトは現状での最適解を導き出す。

「ウィークス、
 おまえはすぐにアストロフィライトに戻  
 れ。
 そして首都と国民を守れ」

「はっ!」

ウィークスはすぐに首都に向かって飛行する。

ウィークスにはわかっていた。

ウァイト様は自分よりも正しい手を打つお方だと。

だからこそ何も聞かずにその場を即座に離れる。

ウァイトは聖霊ディーナシーを召喚し
各師団長に指示を出す。

「第三師団長スカイ・フライ、第五師団長スィーはすぐにウィークスの戦場へ向かえ。

 第一師団ジュピターと第二師団コンチネ
 ントは遅滞戦闘に切り替えろ。

 勝たなくて良い。死者を少なくしろ。
 
 師団長は死ぬな。正念場だ」

聖霊ディーナシーは
聖騎士団長のみが召喚できる聖霊である。

指示を受け取った師団長は即座に行動を開始する。

副団長と師団長の行動の切り替えの速さに
ウァイトに対する信頼の厚さが垣間見える。

ジュピターは経験と知識が豊富であり、
このような急な戦略変更にも
臨機応変に対応ができる。

コンチネントは聖騎士国随一の防御力で
遅滞戦闘には向いている。

スカイ、フライ、スィーは師団ではなく師団長と名指しの指示をされたため、
第三師団と第五師団の兵は
その場に残して自身のみ立ち去る。

各師団長はこの不足の事態は
ウィークスの戦線離脱と理解している。

とはいえウィークスが負けるとも思っていないので
何かが起こっていることは理解している。

各人、ここが正念場だと腹を決めて戦う。

遅滞戦闘に努めれば聖騎士団長が
なにか打開策を示してくれるはずだと信じている。

ジュピターもコンチネントも負けない戦闘に切り替える。

そのおかげで死なずに戦況を維持している。

中央での戦いにおいて、
獣人族長ヘリと各種族長相手に
スカイ、フライ、スィーでは
1番過酷な戦況に陥ると思われていた。

しかし、そうならずに済んでいた。

ヘリも戦線から離脱していたのだ。

スカイ、フライ、スィー
vs
犬族長、猫族長、熊族長、兎族長
が戦っている。

ヘリだけでなく、
程なくフェルミもプルトニも戦線を離脱する。

ジュピターとコンチネントは
遅滞戦闘に努めていたため、
フェルミとプルトニが戦線離脱しても
深追いをしなかった。

ウァイトとライトは戦闘を再開せずに
お互いに牽制し合っている。

ライトはウァイトとウィークスが話し合っている間に
闇の精霊アルプを使い各族長に指示を出す。

「ヘリは今すぐ俺の天幕にこい。

 フェルミとプルトニは敵の師団長に変化    
 があれば戦線を離脱して天幕にこい。

 そして俺の帰還を待て」

各族長は理解し難かった。

今回の戦いも不利になることは目に見えていた。

ライトのやろうとしていることに
理解が追いつかない。

それでも中央帝国皇帝であるライトには従う。

それはライトがそれだけ強いということである。

ライトはウァイトに話しかける。

「停戦を申し出る!」
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