24 / 47
1章
シルさんが俺の家に来るの!?
しおりを挟む
イベント会場を出るとシルさんは俺たちと一緒に
タクシーに乗った。
シルさんの一言目はタクシーの運転手に向かって
「とりあえず出してください」だった。
「ごめんね。むりやり連れてきちゃって。
お姉さんもびっくりしちゃって
身体が勝手に動いちゃった」
タクシーに乗って座ったことで俺も少し落ち着いた。
シルさん、俺、じんのの順番で座っている。
シルさんがすぐ隣に座っているので良い香りがする。
俺のドキドキをさらに助長する。
「おれもびっくりしましたけど
シルさんと、いや、しるくさんと会いたかったので
会えてうれしかったです」
「ほんとにぃ??」
シルさんは得意の首を傾げて俺の顔をのぞき込んでくる。
「じょうくん、じょう君の家はどこ?」
声の質が少し機械的になった。
おれは少し距離感を感じてぎこちなく答えた。
「本郷町です」
「運転手さん、本郷町に向かってください」
ハキハキとした言葉で行き先を告げる。
「じょうくん、この後予定は?」
「家に帰るだけです」
「じゃあ、おうちまで送るね。
無理矢理連れてきちゃったの私だし」
おれはどうしてシルさんがあんな行動にでたのか
想像ができなかった。
そしてなぜかいま一緒にタクシーに乗っているかも。
「シルさんはお時間大丈夫なんですか?
俺んちまで送ってくれて」
「だいじょうぶだよ。今日の仕事はこれで終わりだから
あとは家に帰るだけなの」
「でも悪いんでどこかで俺たちを降ろしてもらっても...」
おれは少しでもシルさんと長い時間一緒にいたいのに
心とは裏腹なことを言ってしまう。
「じょうくん、私といるのがイヤなの??」
またのぞき込んでくる。
イヤなわけ無いことを知っているのに
この人はわざと聞いている気がする。
「イヤじゃないにきまってるじゃないですか」
「ふふっ、知ってる」
何でも見透かしたように言う言い方と表情と仕草が俺の心を
ぎゅっとわし掴みにする。
そこにはあの素敵な小悪魔がいた。
「ねえ、じょうくん。お隣のかわいい女の子は妹さん?」
「あっ!そうです。妹です。ほら、じんのご挨拶は?」
じんのは急な出来事すぎて追いついていない。
病気のこともあってか人見知りも激しいので
もじもじしている。
「すいません。この子人見知りで」
「じんのちゃん、こんにちは。
ニャン銃士のシルーだよ」
シルさんはシルーの声でじんのに自己紹介をしてくれた。
「シルー!!シルーだ」
じんのはいっきに顔色を変えてシルさんの方を見る。
「じんのちゃん、はじめまして」
シルーの声のまま続けてくれる。
「シルー、こんにちわ。
シルー、大好き!」
「じんのちゃん、ありがとう。
シルーもじんのちゃんもじょうくんも好きだよ」
(!!)
おれは胸をピストルで不意に打たれた。
シルさん、そこで俺の名前いれるなんて
小悪魔過ぎます...
「じんの、このひとはシルさんだよ。
シルーの声をやっている人だけど
普段は違う声で話すからね」
「わかった。シルさんも大好き!」
その後もじんのとシルさんがやりとりをしているうちに
自宅についた。
「シルさん、うちに寄っていきませんか?
タクシー代も出していただいたので
お茶ぐらい出します」
おれはこのチャンスを逃したくない一心で
シルさんを引き留める。
「う~ん...、じゃあお言葉にあまえちゃおっかな」
「はい。ぜひ」
もちろん心の中ではガッツポーズ。
「え!じょうくん家、こんな大きいの?」
「はい。いろいろ事情があって
ここにじんのと2人で住んでいます」
「え!ここに2人だけで?」
シルさんの驚く表情を見るのは初めてだった。
「ご両親は?」
「別のところに住んでいます。
家の中で説明しますね」
「じょうくんが普通の高校生じゃ無いって
感じてた理由が少しわかった気がする」
そう言いながらシルさんは俺の後ろをついて
家の中に入った。
タクシーに乗った。
シルさんの一言目はタクシーの運転手に向かって
「とりあえず出してください」だった。
「ごめんね。むりやり連れてきちゃって。
お姉さんもびっくりしちゃって
身体が勝手に動いちゃった」
タクシーに乗って座ったことで俺も少し落ち着いた。
シルさん、俺、じんのの順番で座っている。
シルさんがすぐ隣に座っているので良い香りがする。
俺のドキドキをさらに助長する。
「おれもびっくりしましたけど
シルさんと、いや、しるくさんと会いたかったので
会えてうれしかったです」
「ほんとにぃ??」
シルさんは得意の首を傾げて俺の顔をのぞき込んでくる。
「じょうくん、じょう君の家はどこ?」
声の質が少し機械的になった。
おれは少し距離感を感じてぎこちなく答えた。
「本郷町です」
「運転手さん、本郷町に向かってください」
ハキハキとした言葉で行き先を告げる。
「じょうくん、この後予定は?」
「家に帰るだけです」
「じゃあ、おうちまで送るね。
無理矢理連れてきちゃったの私だし」
おれはどうしてシルさんがあんな行動にでたのか
想像ができなかった。
そしてなぜかいま一緒にタクシーに乗っているかも。
「シルさんはお時間大丈夫なんですか?
俺んちまで送ってくれて」
「だいじょうぶだよ。今日の仕事はこれで終わりだから
あとは家に帰るだけなの」
「でも悪いんでどこかで俺たちを降ろしてもらっても...」
おれは少しでもシルさんと長い時間一緒にいたいのに
心とは裏腹なことを言ってしまう。
「じょうくん、私といるのがイヤなの??」
またのぞき込んでくる。
イヤなわけ無いことを知っているのに
この人はわざと聞いている気がする。
「イヤじゃないにきまってるじゃないですか」
「ふふっ、知ってる」
何でも見透かしたように言う言い方と表情と仕草が俺の心を
ぎゅっとわし掴みにする。
そこにはあの素敵な小悪魔がいた。
「ねえ、じょうくん。お隣のかわいい女の子は妹さん?」
「あっ!そうです。妹です。ほら、じんのご挨拶は?」
じんのは急な出来事すぎて追いついていない。
病気のこともあってか人見知りも激しいので
もじもじしている。
「すいません。この子人見知りで」
「じんのちゃん、こんにちは。
ニャン銃士のシルーだよ」
シルさんはシルーの声でじんのに自己紹介をしてくれた。
「シルー!!シルーだ」
じんのはいっきに顔色を変えてシルさんの方を見る。
「じんのちゃん、はじめまして」
シルーの声のまま続けてくれる。
「シルー、こんにちわ。
シルー、大好き!」
「じんのちゃん、ありがとう。
シルーもじんのちゃんもじょうくんも好きだよ」
(!!)
おれは胸をピストルで不意に打たれた。
シルさん、そこで俺の名前いれるなんて
小悪魔過ぎます...
「じんの、このひとはシルさんだよ。
シルーの声をやっている人だけど
普段は違う声で話すからね」
「わかった。シルさんも大好き!」
その後もじんのとシルさんがやりとりをしているうちに
自宅についた。
「シルさん、うちに寄っていきませんか?
タクシー代も出していただいたので
お茶ぐらい出します」
おれはこのチャンスを逃したくない一心で
シルさんを引き留める。
「う~ん...、じゃあお言葉にあまえちゃおっかな」
「はい。ぜひ」
もちろん心の中ではガッツポーズ。
「え!じょうくん家、こんな大きいの?」
「はい。いろいろ事情があって
ここにじんのと2人で住んでいます」
「え!ここに2人だけで?」
シルさんの驚く表情を見るのは初めてだった。
「ご両親は?」
「別のところに住んでいます。
家の中で説明しますね」
「じょうくんが普通の高校生じゃ無いって
感じてた理由が少しわかった気がする」
そう言いながらシルさんは俺の後ろをついて
家の中に入った。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
元おっさんの幼馴染育成計画
みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。
だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる