上 下
20 / 47
1章

最後に勝つのはじんの!?

しおりを挟む
朝、じんのがおれを起こしにくる。
いつものように布団に潜り込んで抱きついてくる。

ビクッと反応してしまうがもう間違わない。
未知さんでもなければくるみでもない、
と頭で理解している。

「じんの、おはよう」

「おはよー、おにいちゃん」

「下のみんなはもう起きてるのかな?」

「さっきトイレに行ったけどまだ静かだったよ」

「起こしにいくか」

「はーい」

一階の和室の前で立ち止まり念のために声をかける。

「もう起きてますかぁー」

声が聞こえてくる。

「起きてるわ」
「起きてるよー」

おれはスッとふすまを開ける。

「だめ」
「だめー」

未知さんとくるみの声が重なって聞こえてくる。

そこにはTバック姿でお尻が丸見えの杏子先生の寝姿があった。
寝巻きはワンピースタイプで寝相の悪さのせいでめくれあがっている。

未知さんは胸もお尻も小ぶりだったが杏子先生は肉付きもよく
Tバックとお尻の相性がすごくいい
。それも杏子先生の雰囲気に合っている薄いピンク色だった。

未知さんとくるみがそのお尻を手で隠そうとする。
そんな小さな手で隠れるお尻ではない。

俺は見続けてしまった。

「あっち向いて!」

くるみが布団を杏子先生に掛けて隠そうとする。

うるさかったのか、杏子先生が寝返りを打つ。

「!!」
3人全員が驚いた表情をする。

今度はレースの三角地帯が目に飛び込んでくる。

杏子先生のおへそとパンティと素足があらわになる。

「じょうくん、出ていって!」
くるみが叫ぶ。

「ごめん」
おれはすぐに後ろを向いて部屋を出ていった。

なんだろう………
くるみや未知さんと違って包容力のあるような
肉付きと弾力を感じた。
なんか高校生とは違う………
杏子先生は身を委ねたくなるような身体つきをしていた。

廊下で考え込んでしまう。

「おにいちゃん!朝ご飯食べよう?」

おれが廊下で突っ立っていたのでじんのが
声を掛けてきた。

おれはじんのと2人で5人分の朝ごはんの支度をする。

リビングの扉が開く。

「おはよー」
杏子先生が起きてきた。

「!!」

ワンピースの内側から明らかに乳首がポチッとしている。

この人はなんて無防備なんだ。
目のやり場に困ってしまう。

先生が眠気覚ましに背伸びをする。
ワンピースがずりあがり下着が見えそうになる。
そのままストレッチをし始める。

「先生!はやく顔洗ってください」

「まずは寝起きはストレッチ」
そう言いながら体を横にひねる。

胸が強調される。
目のやり場に困るが男のさが。
目が勝手に自動追跡する。

今度は前屈。
胸元がざっくりな寝巻きは前屈との相性が抜群だ。

「いたっ!」

じんのがふくれっつらで俺な足を踏んできた。

「先生、もうすぐご飯できるから顔洗ってきて」

「そうだね。行ってきまーす」

「ふぅー」

昨日今日と変わるがわる女性陣の淫らな姿を
みてしまった。

「はぁー、」
なんでそれがシルさんじゃないんだろうとため息をつく。

…………………

みんなが朝食の席につく。

くるみと未知さんはもう着替えてちゃんとした格好だった。
杏子先生は寝巻きのままだ。
すっぴんでもかわいい顔だ。
化粧をするとさらに可愛らしくはなるが
すっぴんでも男はみんなそそるだろう。

もくもくとみんなで朝食をとっていると
またもや恐ろしい言葉が飛んでくる。

「くるみさん、夜中に2階に上がっていったようだけど
 どうしたの?」

(!!)

おれもくるみもビクッとなる。

「え、えーっと」
くるみが珍しくテンパっている。

「未知さん、起きてたんですか?」
くるみは立て直そうと時間を稼ぐ。

「わたし、音に敏感でちょっとしたことでも目が覚めるの。
 で、2階に何か用があったの?」

杏子先生はワクワクドキドキしながらこちらを見ている。

未知さんは勘づいたようだ。
昨日おれもくるみも別れたばかりと言ったことに対して、
それぞれの相手が俺たちだったってことに。
だから夜中2階の俺の部屋にくるみが行ったことも
理解した上で念のため裏を取ろうとしているんだろう。

くるみは未知さんがおれに興味を持ち始めていることに気づいている。
おれはくるみがなんて答えるのかドキドキしていた。

私たち別れましたが付き合いなおすことになりました、
といったりするのだろうか?

それともごまかすのだろうか?

「2階の空いている部屋で寝ていました」

(!!そうきたか)


「あら、どうして?」

「杏子先生のいびきがうるさくて」

がーん、と杏子先生はショックを受けている。
涙目でそんなことみんなの前で言わないでよと訴えている。

「よく知っているのね?この家のこと」

「はい、じんのちゃんとはよく遊んでいて
 泊まったりもしていたので」

「泊まってたの………」

「はい」

「………………

 藍原くんとくるみさんはお付き合いしてたの?」

ついに直球を投げ込んでくる。

「はい、この前まで付き合ってました」

くるみは毅然とした態度で伝える。
それは未知さんのことを恋敵として認定しているかのようだった。

「それならそうと昨日言ってくれたらよかったのに」

未知さんはそうだろうと思いつつも
どこかでそうではないでいてほしいと思う気持ちもあった。

「ごめんなさい。わたしも別れたばかりで
 どうすればいいのかわからなかったので」

「気にしないで。私にとっては特に関係のない話だから。
 てっきり昨日は藍原くんの部屋に行ったのかと思ってたわ。

 で、実際はどうだったの?」

「はい、部屋に行きました。
 わたし、まだじょうくんのことが好きなので」

ついにくるみが開き直った。
おれにも未知さんにも宣戦布告をしたような雰囲気だ。

杏子先生は顔がニヤニヤしている。
この人はめちゃくちゃ楽しんでいる。

「あら、そう。くるみさん、藍原くんに振られたのね」

未知さんは淡々とくるみに対して対抗心を燃やす。

静かにバチバチするくるみと未知さん。
それを楽しむ杏子先生。
俺だけがどうしていいかわからず黙り続ける。

「まあまあ、みっちーもくるみちゃんも青春には
 いろんなことがあるのよ。別れあれば出会いあり。
 これからいろんなこと経験しましょ」

杏子先生が助け舟を出してくれた。

「じゃあ、先生も参戦しようかな?
 そのほうが楽しくなりそうだし」

『先生は参戦しないでください!』

くるみと未知さんが声が合った。

「あはっ。だめか、やっぱり。ごめんねぇ割り込んじゃって」
杏子先生は両肘をテーブルについて顔を両手に乗せながらニコッと笑う。

「朝ごはん食べませんか?」
俺は申し訳なさそうにみんなに振る。

「そうだね」ということでみんな食べ始めた。

じんのがもぞもぞしている。

「じんの、どうしたの?」
おれはいつものように優しく問いかける。

「おにいちゃん、くるみちゃんと別れたの?」

「うーん………」なんで答えるかがいいのか考えてしまう。

「じんのちゃん、わかれたんじゃないよ。お兄ちゃんと
 くるみちゃんはお互いのことをもっとよく考えようって
 いま、真剣に考え中なの」

さすが先生!いい言い回しをしてくれた。
と思ったらまたまた恐ろしいことをぶっ込んでくる。

「みちお姉ちゃんもお兄ちゃんと一緒に
 よく考えたいみたいだよ」

「わたしは関係ありません」
未知さんは不機嫌だ。

「じんのちゃん、おにいちゃんは三角関係なの」

「これ以上変なことを言わないでください!」
おれは今の状況でももういっぱいいっぱいだ。

「おにいちゃんはじんのと結婚するから大丈夫だもん。
 くるみちゃんにはお兄ちゃんを貸し出し中なの」

「あははっ、くっくっ………」
杏子先生はお腹を抱えて笑い始めた。

「最後はじんのちゃんが手に入れるのね。
 ここにきて1番強いライバルが現れたわね。
 お二人さん」

俺は未知さん、くるみとどうなるのだろうか、
まさかの杏子先生ともなにかあるのか、と余計なことまで
考えてしまう。
そしてその3人のことではなく、
おれは改めてシルさんへの気持ちを見つめ直さなければと思う。

俺が本当に好きなのは誰なのか………

合宿という名の親睦会は幕を閉じた。
そしていつもの春休みに戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」 俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。 学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。 その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。 少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。 ……どうやら彼は鈍感なようです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 【作者より】 九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。 また、R15は保険です。 毎朝20時投稿! 【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

元おっさんの幼馴染育成計画

みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。 だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。 ※この作品は小説家になろうにも掲載しています。 ※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...