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Interlude

Interlude<LXI>

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(君は痛いことも怖いことも絶対してこないってわかってるし信じてるのに、歯が当たるたびにどきどきしてぞくぞくして♡♡ ……君にだったら、ほんとに食べられちゃってもいいかも……♡♡)

 彼は歯を立てていたかと思うと唇で挟み、唇で挟んでいたかと思うとまた歯を立てて――――というふうに、ふたつの動作を行き来していた。

 本当は歯を立てるつもりなんてなかったのだと思う。唇で優しく挟むだけのつもりが、興が乗ってしまったのだろう。
 
 しかも、唇よりも歯のほうが彼にはしっくりくるようだ。
 
 ――――というのも、唇で挟まれていたはずの部分にはいつのまにか歯が当たっていて、わたしが歯の当たる感触に身体を震わすと、彼も思い出したように(もしくは『労わるように』かもしれない。)歯を当てていた場所に唇をあてがうから。

 なんて考えているあいだにも、彼は再びわたしの肩に歯を突き立てた。

(噛み付きたそうにしてる♡♡ しないのかな?♡ わたしなら平気だから、してくれていいのに♡ 歯型がついちゃってもいいし、血が出ちゃってもいいし……♡♡ 齧り取られちゃってもいいよ?♡♡ 絶対痛いだろうし、ちょっと怖いけど……♡)

 彼が顎に力を込めようとするたび、食い千切られてしまうなんて非現実的なありえない妄想が展開してしまう。

 それにともなって、どういうわけか胸の奥ではなくが疼いた。

 ――――わたしはその感覚がなんなのか知っている。

 一ヶ月のなかで最も妊娠しやすい時期に、該当する臓器と両脇にある臓器のいずれか片方が結託して、自分では生産も調達もできない種を求めて激しく主張してくることが年に数回のペースであったから。

「ねぇ……♡ わたしそれ、食べ物じゃないよ……?♡♡」

 鼻にかかった声は、普段のわたしとは別人じゃないみたいだと他人事のように思った。
 
「いけないいけない♡♡ いくら甘くてかわいいからって、女の子の肌に齧り付いて傷付けちゃダメだよね。傷は…………うん、よかった。ついてないみたいだけど、痛くなかった?」

 声を掛けられた彼はゆらりと顔を上げ、先ほどまで噛み付いていた場所を目視と触知の両方で確かめた。
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