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Interlude
Interlude<LIV>
しおりを挟む「ほんと?♡ めちゃくちゃ嬉しい♡♡ 実は俺もそうなんだ♡♡ きみのことが好きすぎて、絶対他の誰にも渡したくなくて告白したはずなのに、付き合ってからも全っ然安心できない! ……みんな、ほんと諦め悪いよねぇ。きみを誰の彼女だと思ってるんだか! 完全無欠の生徒会長様なのにね」
えっへんと胸を張った彼の眉は、困ったときのように下がっている。
自信に満ちた物言いの裏に見え隠れする弱さごと抱き締めて、溶かしてあげられたらいいのに。君がいつもしてくれるみたいに。
頬の内側なんて噛んでいないで、彼に少しでも安心感を与えてあげればいいのに。
「本当言うと、いまもすごく不安。……まぁ、きみがもっともっとかわいくなっていってるのと、俺がきみをもっともっと好きになってるのが原因ってわかってからは、そこまで気にならなくなったけどね♡♡」
「そうかな? なんか照れる……。けど、ありがとね」
「そういうところだって♡ きみのかわいいところ♡ あぁもう♡♡ 早く俺だけのきみにしちゃいたいなぁ♡♡」
彼は握っていた手をぱっと離して両頬に当てた。うっとりと細めた目も、わずかに開いた口元も、とても煽情的だ。
完全に意識をそちらに持っていかれそうになったけれど、いましがたなされた発言のなかには、二点ほど気になる点があった。
『そういうところ』と言われても、具体的にどういうところなのかさっぱり見えてこないし、『俺だけのきみ』というのは、どういうことだろう?
――――わたしはとっくに君だけのわたしなのに、君にはそれが伝わっていないの?
「ライバル…………だとちょっと違う意味になってきちゃうか。好敵手だもんね。俺のほうが全然上だし? 負ける気しないし、譲る気はもっとないし! えぇと……そうだ、恋敵! 恋敵が増えるのはよろしくないけど、きみがかわいくなるのは大歓迎だから♡♡」
訊いてみようと思い始めたところで、世界でいちばん大好きな声が耳に届いた。雲間に隠れていた太陽が顔を出すように、どんよりと靄がかかっていた思考が一瞬でクリアになる。
「ありがとう。何回言っても足りないけど、本当にありがとね」
わたしのことを第一に考えてくれている彼のことを、これ以上困らせたくはない。礼を述べているあいだに、伝えたいことを明確にした。
「……君は『好き』って気持ちだけで突っ走ったりしないって、焦らないでちゃんと待ってくれるってわかってるのに。わかってるはずなのに……。わたしのほうが焦って、次の段階に進みたいなんて言って君のこと困らせちゃって」
きっともっと簡単なことからでいい。彼のしていることをなぞるだけでもいい。なにかをしてもらったときに、同じことを同じように返すだけでも、きっと君はわたしの伝えた以上の愛情を感じ取ってくれるだろう。
これは確信で、信頼だ。けれど――――。
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