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Interlude

Interlude<XXVII>

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「…………さて。自分で連れてきてなにそれって思われるかもしれないけど、イチャイチャ……じゃなかった。話の続きは勉強会のときでいいかな? 学校よりもずっと、誰かに知られる心配もないと思うしさ」

 本音がこぼれてしまったような言い方だ。彼にとってのメインイベント、試験勉強やわたしの相談に乗ることではないらしい。

「うん、それがいいな。朝からいろいろありがとね? ……でも、メインは試験勉強だよ?」

 にやける口元を隠しもせずに、釘を刺しておいた。

「もちろん忘れてないよ! きみの話を聞くのは重要だから、勉強に使う時間を使ってもいいけど、イチャイチャするのは休憩時間のときにね♡♡」

「…………試験が終わったら、イチャイチャするためのデートもしたいなぁ……♡♡」

「イチャイチャするためのデートか♡ いいね♡ どんなことがしたいか考えておいて♡♡ 俺も最高に幸せなイチャイチャデートプラン考えるから♡♡」

 どさくさ紛れのおねだりを快諾した彼の脳内では、すでに何通りものデートプランが走り始めている気がしてならない。
 
「そうと決まれば、目撃者ゼロのうちに退散退散! ……あ。でも、見るからに急いでても怪しいから、普通の速度で歩こっか♡♡」

 おどけた彼は、流れるようにわたしの手を取った。

「もう♡ 注文が多いよ♡」

 その手を握り返し、合図もないのに同時に歩き出す。

「ごめんごめん♡ ほんとは俺が一秒でも長くきみといたいだけ♡♡」

 ――――こうして手を繋いで歩くのは、合計何回目になるんだろう。

 付き合い出してから、一緒に移動するときはどんなに短い道のりだったとしても、彼はわたしの手を優しく捕まえて繋いでくれるから、わからない。

(人前でもそうじゃなくても当たり前に手繋いでくれるの好き……♡)

 他の人と手を繋いだときの記憶は残っていないも同然だけれど、彼とは触れ合った瞬間からお互いの肌の境目がぼやける感覚があった。

(力加減がちょうどいいとか、体温が好きとか。あとは……彼の肌質がいいとか? そういうのもないわけじゃないと思うけど、手繋いでいるだけでしあわせだって思えて、もっともっと好きになっちゃう気がするのも、ちょっと怖いくらい違和感がないのも、相性がいいから……♡ だったら嬉しいなぁ♡♡)

 ――――というのは、窓華ちゃんから仕入れた知識だ。

 彼女曰く『粘膜接触キスなんてしなくても相性は測れる!』だそうで、ハグしたときや手を繋いだときに違和感のない相手とは、カラダの相性もいいとか。
 
(…………彼とえっちしたら、どんな感じになるかなぁ。優しくしてくれそうだし、そこまで変化ないんじゃないかと思うけど、そういうときだけ意地悪になるとかも嬉しいかも。彼女だけが知ってる顔……みたいな?♡)

「どうしたの?♡」

 掛けられた声は、朝の空気より清々しい。
 
「君が好きだなぁって思っただけ!」

 にやけ顔を笑顔に変えて、気持ちを切り替えた。
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