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Interlude

Interlude<XIII>

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って言えば、わかるんじゃないかな?」

 彼は、水筒――――では語弊がありそうだから言い直すと、茶こしの付いたタイプのティーボトルの蓋を開けた。

 今日は少し茶葉を多めに入れたのだろう。紅茶の色がいつもより濃くて鮮やかだ。

「……あ、紅茶の蒸らし時間を計る用の時計が欲しいってこと?」

 向かいからは、すっかり鼻に馴染んだ、彼のお気に入りだという茶葉の香りが漂ってくる。
 
「そう♡♡ ひとつあれば、なにかと便利じゃないかと思うんだよね。使わないときはインテリアにもなるし、コーヒーの焙煎時間も計れるし♡」

 お洒落なキッチンの一員に加えても違和感のない砂時計を選ぶというのは、なかなかに難度の高いミッションのような気もしたけれど、彼の家に飾ってもらえるとなると、ますます気合いも入るというものだ。

「ああ! 確かに、普通の時計だとちょっとわかりにくいかも。デジタルでもアナログでも」

 この前、花嫁修業の一環としてパスタを茹でたときのことがよみがえってきた。
 
 いまは電子レンジで調理するのも主流になってきたけれど、一度も経験がないというのもどうかと思い、チャレンジした。

 ――――まではよかったのだが、うちにはひとつもデジタル時計がなく、また、なんの計画もなく思い付きで始めてしまったせいで、キッチンのシンプルなアナログ時計を頼りに調理せざるを得ず、結果的には茹ですぎてぶよっとした麺を食すことになった――――という事件があった。
 
「ストップウォッチ使うのもなんとなく合わないでしょ? 紅茶とかコーヒーとか淹れてひと息つきたいのに、ずっと文字盤と睨めっこしてたら余計疲れちゃうし。せっかくきみが眼精疲労に効くサプリまでくれたのにさ」

 目を閉じた彼は、いい香りで束の間の安らぎを得ているのだろう。その姿さえ絵になった。

「そうだね。……じゃあ、君に渡すクリスマスプレゼントは砂時計……ってことでいい?」

 オーソドックスな砂時計も似合うけれど、天球儀のようなデザインのものはもっと似合うかもしれない。

「うん♡ そのくらい自分で選べって思うかもしれないけど、ずっときみに選んでほしいと思ってたから、それでよろしく!」
 
「君にぴったりな砂時計探すの楽しそう! わたしも思いついたらすぐ希望出すから、待っててね?」

 彼の家のキッチンのインテリアを思い出しながら、あれこれ考えていると、予鈴が鳴った。
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