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Interlude
Interlude<Ⅻ>
しおりを挟む(本気で『大容量のグミを机に置いたまま、授業を受けるつもりでいた生徒会長』って……。彼には悪いけど、ちょっと……いや、かなり面白いかも……!)
口からはみ出そうなものを咀嚼しているときと同じように、口元を隠した。
「なに笑ってるのさ?♡ もしかして『生徒会長なのに、このひと全然生徒の模範になってないなぁ』みたいなこと考えてる?♡ 自分でもそう思うから、別にいいんだけどさ」
けれど、笑いが目元にまで及んでいたのか、彼はにやにやと尋ねてきた。
「…………『生徒の模範になってないなぁ』とまでは思ってないけど、『おっきいグミ机に堂々と置いたまま授業受けるつもりでいた生徒会長ってちょっと面白いかも……』って思って、おかしくなっちゃった。君の行動とか考え方って、真似しようと思ってできるものじゃないよね」
「なるほどね? 俺としては残念だったけど、きみが少しでも楽しい気分になってくれたなら、まぁいっか♡♡」
彼が空になったタッパーを仕舞い込む際に、ランチトートの口から今朝わたしが渡した大容量のサプリが覗いた。
「それで、もう一回クリスマスプレゼントの話に戻るけど。お願いだから、遠慮なんてしないで、欲しいもの教えてね? きみが本当に、心の底から欲しいもの。……いますぐには無理でも、何年かあとだったらあげられるようになってる可能性だってあるし。その場合は、今年は他のものにしてもらわなきゃいけないけどさ。まずはなんでも思いついたら言ってみてよ♡」
「……そういう君は? もう決まってるの?」
いつからいつまでがクリスマスにあたるのか――――という先ほどの話を反芻する。わたしも当日を迎えるまで、いつも以上に彼のことを考えて過ごしたい。
そのためには、彼の希望するプレゼントを知っておく必要があった。――――そう。決して話題を逸らしたかったわけではない。
「そうだなぁ。…………砂時計、とか?」
腕を組んだ彼は、学校の椅子特有の直角の背凭れに身体を預けた。
「砂時計……。随分アナログだね? 君って、時計が好きなの?」
高校生男子の口から出てきた単語とは思えず、面食らった。だが、大人の男性からはもっと出てこないだろう。
当然、達観していて大人びたところのある彼とも結び付かない。砂時計といえば、お土産屋さんの一角にある、ちゃちなおもちゃの印象が拭えなかったから。
「時計はわりと好きだけど、趣味ってより…………いや、確かに趣味に関係するものではあるんだけど」
「?」
木漏れ日のような眼差しを見守られるなか、さらさら流れる砂の音を聴いた気がした。
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