531 / 533
あなたからのプレゼント
あなたからのプレゼント<中編>
しおりを挟む「当ててみていい?♡」
――――前に、確認を取ってみる。
「もちろん♡♡」
「……もしかして、来年のクリスマスプレゼントの希望、もう聞くつもり?♡♡」
『気が早すぎる』と冷やかしたいのではない。
言われるまでもなく信じていたけれど、『来年のクリスマスも一緒に過ごす約束』をスマートに取り付けてくれたのが嬉しくて仕方なくて、大好きなあなたの口から、あなたの声で聴きたかっただけ。
その証拠に、わたしの声は炭酸ガスの仕込まれたキャンディのごとく期待に弾んでいる。
「鋭いな♡♡ ほんと言うと、驚いてるお顔が見たかったんだけど……♡ どんな顔してたってきみはかわいいし、わかってるんだったら話は早いね♡ ねぇ、ハニー?♡♡ 来年はなにが欲しくて、どうやって過ごしたいか、俺に教えて?♡♡ ……いや、なにを欲しがってくれるんだろうね。きみは……」
彼の声も負けず劣らずぱちぱちしゅわしゅわ弾んでいて、シャンパングラスが目に浮かぶようだった。
真珠の意味を持つ泡も、首飾りの意味を持つ泡の連なりも、あなたの美しさには到底かなわないけれど。
「来年のクリスマスはね…………♡♡」
わたしの瞳の奥を覗き込んでくるあなたには、内緒にしてきたけれど。
――――本当は、わたしにはずっと欲しいものがある。
あなたと最初のクリスマスを過ごしたときから?
――――いいえ、もっと前。
クリスマスを迎える前。
何度、プレゼントの希望を訊いてくれても、 『一緒にいてくれたら、なにもいらない』と、お馴染みのクリスマスソングの直訳じみた返しをするせいで、温厚なあなたにはじめて叱られてしまったとき。
あなたがひとつめのクリスマスプレゼントの希望を聞き出してくれたときから、欲しいものなんて決まっている。
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は家族に支えられて運命と生きる
西 ゆう
恋愛
エーヴィヒ王国は獣人と人間暮らす国である。
13歳になったエリーナはデビュータントで王宮を訪れた。そこで『運命のツガイ』に出会ったが2人は一緒にいる事が出来なくなる。
そんな時エリーナはこの世界が小説の中だと気づく。
エリーナ達家族に支えられて運命と生きる事が出来るのか?
死にかけ令嬢は二度と戻らない
水空 葵
恋愛
使用人未満の扱いに、日々の暴力。
食事すら満足に口に出来ない毎日を送っていた伯爵令嬢のエリシアは、ついに腕も動かせないほどに衰弱していた。
味方になっていた侍女は全員クビになり、すぐに助けてくれる人はいない状況。
それでもエリシアは諦めなくて、ついに助けを知らせる声が響いた。
けれど、虐めの発覚を恐れた義母によって川に捨てられ、意識を失ってしまうエリシア。
次に目を覚ました時、そこはふかふかのベッドの上で……。
一度は死にかけた令嬢が、家族との縁を切って幸せになるお話。
※他サイト様でも連載しています
今日であなたを忘れます〜公爵様を好きになりましたが、叶わない恋でした〜
桜百合
恋愛
シークベルト公爵家に仕える侍女カリーナは、元侯爵令嬢。公爵リンドへ叶わぬ恋をしているが、リンドからは別の貴族との結婚を勧められる。それでもリンドへの想いを諦めきれないカリーナであったが、リンドの婚約話を耳にしてしまい叶わぬ恋を封印する事を決める。
ムーンライトノベルズ様にて、結末の異なるR18版を掲載しております(別タイトル)
7/8 本編完結しました。番外編更新中です。
※ムーンライト様の方でこちらのR-18版掲載開始しました!(同タイトル)
転生した平凡顔な捨て子が公爵家の姫君?平民のままがいいので逃げてもいいですか
青波明来
恋愛
覚えているのは乱立するビルと車の波そして沢山の人
これってなんだろう前世の記憶・・・・・?
気が付くと赤ん坊になっていたあたし
いったいどうなったんだろ?
っていうか・・・・・あたしを抱いて息も絶え絶えに走っているこの女性は誰?
お母さんなのかな?でも今なんて言った?
「お嬢様、申し訳ありません!!もうすぐですよ」
誰かから逃れるかのように走ることを辞めない彼女は一軒の孤児院に赤ん坊を置いた
・・・・・えっ?!どうしたの?待って!!
雨も降ってるし寒いんだけど?!
こんなところに置いてかれたら赤ん坊のあたしなんて下手すると死んじゃうし!!
奇跡的に孤児院のシスターに拾われたあたし
高熱が出て一時は大変だったみたいだけどなんとか持ち直した
そんなあたしが公爵家の娘?
なんかの間違いです!!あたしはみなしごの平凡な女の子なんです
自由気ままな平民がいいのに周りが許してくれません
なので・・・・・・逃げます!!
公爵夫人は愛されている事に気が付かない
山葵
恋愛
「あら?侯爵夫人ご覧になって…」
「あれはクライマス公爵…いつ見ても惚れ惚れしてしまいますわねぇ~♡」
「本当に女性が見ても羨ましいくらいの美形ですわねぇ~♡…それなのに…」
「本当にクライマス公爵が可哀想でならないわ…いくら王命だからと言ってもねぇ…」
社交パーティーに参加すれば、いつも聞こえてくる私への陰口…。
貴女達が言わなくても、私が1番、分かっている。
夫の隣に私は相応しくないのだと…。
半月後に死ぬと告げられたので、今まで苦しんだ分残りの人生は幸せになります!
八代奏多
恋愛
侯爵令嬢のレティシアは恵まれていなかった。
両親には忌み子と言われ冷遇され、婚約者は浮気相手に夢中。
そしてトドメに、夢の中で「半月後に死ぬ」と余命宣告に等しい天啓を受けてしまう。
そんな状況でも、せめて最後くらいは幸せでいようと、レティシアは努力を辞めなかった。
すると不思議なことに、状況も運命も変わっていく。
そしてある時、冷徹と有名だけど優しい王子様に甘い言葉を囁かれるようになっていた。
それを知った両親が慌てて今までの扱いを謝るも、レティシアは許す気がなくて……。
恵まれない令嬢が運命を変え、幸せになるお話。
※「小説家になろう」「カクヨム」でも公開しております。
侯爵の愛人だったと誤解された私の結婚は2か月で終わりました
しゃーりん
恋愛
子爵令嬢アリーズは、侯爵家で侍女として働いていたが、そこの主人に抱きしめられているところを夫人に見られて愛人だと誤解され、首になって実家に戻った。
夫を誘惑する女だと社交界に広められてしまい、侍女として働くことも難しくなった時、元雇い主の侯爵が申し訳なかったと嫁ぎ先を紹介してくれる。
しかし、相手は妻が不貞相手と心中し昨年醜聞になった男爵で、アリーズのことを侯爵の愛人だったと信じていたため、初夜は散々。
しかも、夫が愛人にした侍女が妊娠。
離婚を望むアリーズと平民を妻にしたくないために離婚を望まない夫。というお話です。
旦那様は私より幼馴染みを溺愛しています。
香取鞠里
恋愛
旦那様はいつも幼馴染みばかり優遇している。
疑いの目では見ていたが、違うと思い込んでいた。
そんな時、二人きりで激しく愛し合っているところを目にしてしまった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる