我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CCCLXXXV>

「……っ♡ ふ……♡♡」

　誘いに乗ってしたキスで悩殺する……なんてことはできなくて、あれよあれよと奥まで誘い込まれ、思う存分吸われてしまった。

「あなたに褒めてもらうの、すき……♡♡」
　　　
「じゃあ、もっと褒めちゃおう♡♡ 最初は…………そうだなぁ……。俺のこと煽るためとかお返しのつもりとかで言い始めて、そんなに大胆なこと言う気なかったんじゃないかなって感じだったよね♡ なに言ったらいいのかわからなくて、ちょっとびくびくしてるきみも初々しくてかわいかったなぁ♡♡」

　気のせいだとは思うけれど、すごい音を響かせて彼が吸っていた舌には、ほんのり痺れが残っている。
　
「けど、途・中・か・ら・は・そ・う・じ・ゃ・な・く・な・っ・て・き・た・んじゃない？♡♡ 『エッチなこと言ってるのを聴いてほしい』、『おねだりしてるエロかわいいところを見ててほしい』みたいな感じになってきてないかな♡♡ 俺からお願いしなくても、自分から言うようになっちゃったくらいには♡♡」

「！」
　
　図星を突いた彼は、にやにやと笑みを深める。
　
「そ……んなこと……♡♡」

　首をふるふる横に振って、否定を試みたけれど。

「なくないし、しらばっくれるつもりなら気付いてないとはこっちにも考えがある言わせないよ♡♡ きみはどんどん大胆になってきてる……♡ なのに、本人がわかってないはずはないよね？♡♡」

「っ、ん゛ぅ……っ♡♡」

　彼はわたしの奥を重く突いて、それを容易く阻んだ否定した。
　
「…………うん♡ あなたに喜んでもらえるのも嬉しいし、『好き』も『欲しい』も……言ったら言っただけ、もっともっと好きになって、欲しくなって……♡♡ どうしたらいいかわからなくなって、ばかみたいにそればっかり繰り返しちゃうの♡♡ わたし、おかしくなっちゃったのかなぁ……？♡」

　好きで、大好きで、欲しくて仕方なくて――――。

　際限なく湧き出す欲を言葉に乗せて紡ぐごとに、実体を持たないはずの感情が増幅していく。