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HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CCCLXXVIII>

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「これで最後の確認にしようか。きみは……それでもまだ、いますぐ死にたいって思ってる?」 

 重なった胸から、彼の鼓動が伝わってくる。

 ――――美しい生命を刻むこの音を、わたしの一存で絶やすことなど許されない。
 
「ううん、ごめんなさい。わたし、まだあなたと生きてたい。死にたくなんてないよ……。あなたの運転でドライブ行けるのがあと一回だけなんて嫌だし、ヨーロッパの海だって、死にに行くんじゃなくて、見に行きたい。したいことも、行きたい場所も、いっぱいあったって思い出したの。……ううん。。生きていくことの意味も、生きているから感じられる幸せも……」

「よかった♡♡ あんなこと言ったけど、俺にもいっぱいあるんだ。心残り……というか、きみと一緒に行きたい場所とか、したいこととか……いま思いつくだけでも無限にね」

 ほっとしたように相好を崩した彼は、そのまま大きな瞳をしまって、その隙に涙も隠したのだろう。 
 
「…………ああ、泣かない泣かない♡ 理由は人それぞれだろうけど、死が魅力的なものに思える瞬間ときは、きっと誰にだってあるよ……」

 立てていた指を一本ずつ寝かせ、背中の起伏を確かめていると、張り詰めていた糸がぷつりと切れてしまったらしい。

「で……♡ 話は変わるんだけどさ♡♡ 『』……あるんじゃないかなって思ったんだけど、どう?♡ なんでも俺に言ってくれたら、叶えてあげる♡♡」

「わたしがしたいこと?♡ ほんとにどんなことでもいいの?♡♡」
 
「厳密にはどんなことでもってわけじゃないけど……。とりあえず、言ってみてよ♡♡」

「あなたと一緒に……♡♡」 

 耳に唇を寄せて、『生きたい』と囁くと。

「そうこなくっちゃ♡♡ 『生きたい』か『イきたい』かは正直わからなかったけど、俺がそうしたいから、まずはイかせてあげるね?♡♡」
 
 彼は最初から『逝きたい死にたい』の選択肢を除外して、今日いちばんの笑顔を見せた。
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