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HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CCXXXIX>

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「もしかして寂しかった?♡♡」

 唇を離しても離れがたいのか、両腕の拘束は一向に緩む気配がなかった。

「わかっちゃった?♡」 

「なんにも言わないで勝手に身体離してごめんね」
  
 唇の横にキスすると、悩ましげな息が頬を擽った。
 
「……素直さは美徳だよなのはいいことだ。けど、毎回こうだとね♡ たまには疑ったほうがいいと思うなぁ♡♡ ご存知のとおり、俺は悪い男だよ?♡」

「え、っと……?」

 突然なにを言い出すのだろうと目をしばたたく。

「行動に移す前に一旦考えたほうがいいんじゃない?♡♡ なにか企んでるんじゃないか……とかさ♡」

 鼻先には、いましがた触れた口角をにんまりと吊り上げて笑む彼がいた。

「じゃあ、ぎゅーってしたかったっていうのは嘘?」

「ほんと。それは本当だよ。この手を離れていった瞬間から、きみを抱き締めたくて仕方なくて……。いつ戻ってきてくれるのかなって思ってた♡♡」

 わたしが口を閉じるのを待たずして喋り出した彼は、存在ごと愛おしむように背中を撫で回す。

「ごめんね……。そんなに寂しがってくれてるなんて思わなかったの。でも、甘えん坊さんなあなたもすっごくかわいい♡♡」

 全身から伝わる愛情に触発され、彼の肩を抱き直した。

「かわいい?♡ じゃあ、もっと強くぎゅってしてほしいな♡」

「…………あれ? ちょっと待って……。だったら、『疑ったほうがいい』ってどういうこと?」

「きみを呼んだのには、もあったってこと♡♡」

 耳のすぐそばで聞こえる声が、ほんの少し熱を帯びた気がした。
 
寂しいそれだけじゃ……ない?」 

「そう♡ 密着してるほうが都合がいいんだよ♡ こうしちゃえば、幸せすぎて動けなくなっちゃうでしょ、きみは……♡♡」 

 指先が背中をすぅっと伝い、下りていく。

「……あっ♡♡」

「動かさなくてもけどね♡ 適度な刺激がないと、はなれないし♡♡」

 彼は腰を掴んで、押し込むようにひと突きしてきた。
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