我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CCXXXII>

「もちろん聞きたいさ♡♡ 他にもあったら教えてよ、いつもと違うセックスの感想♡♡」

　わたしを死・の・淵・に追い詰めた張本人が左の口端を吊り上げていた。

　なににも憚らない、退廃的な色気を纏った悪魔のような彼のお出ましだ。
　
「……何回も伝えてると思うんだけど♡♡」

「んー……。確かに、真っ最中にも結構言ってたっけ。これまでのことを考えると、十分頑張ってるんだろうし。でもさ、『大好き』とか『愛してる』とかと同じだよ。何回聞いたって飽きないし、何回でも聞きたいに決まってる♡ きみも知ってると思うけど、俺はどこまでも追及するすごくしつこい男だからさ♡♡」

　目線だけを下げて見下ろす彼は、猫にするように顎の下を擽ってくる。

「何年もだんまりだった分も聞かせてもらうよ♡♡ どこをどうされるのが気持ちいいかみたいなことから、俺をどれだけ愛してるかまでね♡ さぁ、きみはなにから話してくれる？♡♡」


　　
「……聞き出したいなら、言・わ・せ・て・みて？♡♡ あなたに伝えたいこと、いっぱいあるの。聞いてほしいことも。でもね、いっぱいありすぎて、どこから言ったらいいかわからないから……ね？♡ わたしの言いたいこと、わかるでしょ？♡♡」

　いちかばちかの駆け引きに出る。挑発といってもいい。『わたしの口を割ってみろ』と。

「へぇ……♡ 『声も我慢できなくなっちゃうくらい気持ちいいことして♡』ってことか♡♡ その挑戦、受けて立つよ♡♡ 今度は『死んじゃうくらい』じゃ済まさない。『死んだかと思う』くらい良くしてあげられるように頑張るね♡♡」

　その瞳は情欲のみならず闘争心に燃えている。　

「……いや、そんなのじゃきみは満足できないだろうから、今度は『死んだかと思った』って絶対に言わせてあげるよ♡♡ 覚悟しておいきたいしててね♡♡」
　
　腰を浮かせて唇を奪うと、引き上げる寸前に固定され、離したばかりの唇を塞がれた。