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HONEY BUNNY
HONEY BUNNY<CXCIV>
しおりを挟む「なにをしても無駄だって十分わかった頃じゃないかと思うけど……♡ きみはまだ『だめ』って言い続けるの?♡ 筋金入りの負けず嫌いだね♡ それとも無謀なおばかさんなのかな♡ こんっなに思い知らせてあげてるのに、力の差わかってない感じ?♡ どっちにしても屈服させがいあるけどね♡♡」
上機嫌で見下ろしてくる彼が恐ろしく思えて、滲み出した涙が良好な視界を奪っていった。
「……ぁ♡♡」
特に不自由することはないにせよ、大好きなひとの顔が確認できないのは寂しい。
かつてないほど奥まで突き込まれ、失敗作のケーキのように膨れ上がっていく不安だって、とてもひとりで処理しきれるものではない。
ぼやけていくあなたを見失いたくないのに。逞しい腕に抱き締められて、その胸に顔を埋めたいのに。そのどれもが遠すぎて、ばれないようにひっそりと鼻を啜った。
「それに、きみって深ければ深いほどイイんじゃなかったっけ♡♡ そしたら、もう、さ……♡ やめる道理なんて、どこにもないよね?♡♡」
彼は無邪気な善意を装って、一点を狙った的確な動きで責め立てる。
「ちが……ぁあっ♡♡ ほんとにだめぇえ♡♡ やめて……っ♡ ねぇおねがい、やめてよぉ♡♡ ふ、ああ……あ゛っっ♡♡」
脚、手、それから腰と三点で固定されて逃げ場がないわたしは、繰り出される猛攻を防ぐ手立てもなく、悲鳴を響かせるように喘ぐしかなかった。
縛り付けられ、長いモノに突き刺されて苦しめられているのだから、やはり磔にされているのとそう変わらない。
標本を連想したかと思えば、今度は磔刑なんて言い出して。被害妄想も甚だしいかもしれないけれど、享受か抵抗か。本来であればふたつあったはずの選択肢は、実際に彼によって剝奪され、片方しか残されてはいなかった。
「…………へぇ、そう♡♡ 今回は『やめないで』じゃなくて『やめて』のほうなんだ?♡ 珍しいね♡ まだ始めたばっかだっていうのに、もうこんなになっちゃうとは思ってなかったなぁ♡♡ これも一種の嬉しい悲鳴ってやつ?♡ 悲鳴上げてるのは俺じゃなくてきみだけど♡♡」
いまだにぼんやりとした輪郭しか捉えることができないけれど、跳ねる声を聴いていれば嫌でもわかる。彼が一方的にわたしを快楽に追い立てるこの構図を心の底から楽しんでいるということは。
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