我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CXCI>

　赤面すると同時に膣内は大きくうねり、意識がその奥の子宮に向いた。――――育む命も宿さぬうちから、幾度となくゆりかごのように揺らされた場所。

　けれど、喉元までせり上がる得体の知れない重苦しさから逃れることはできず。

「……あ♡♡ また締まった♡ どうかな、気持ち良くなってきた？♡」

　彼とて窮屈だろうに、気にしているのはわたしの様子。

「ん゛ぅっっ♡ ちゃんと覚えてるけど…………っ♡♡ こんなにすごいと思ってなくって……♡ ふあぁっ♡♡ も、だめっ♡♡ だめだよぉ♡ 壊れちゃう……っ♡♡」　

　気遣いから出てきた質問も無視し、苦痛だけではないなにかに顔を歪めて。かろうじて紡ぐことのできている言葉が意味のない音の羅列に成り下がるのも、きっと時間の問題だろう。

「そっかそっか♡♡ 『壊れちゃう』かぁ……♡♡ 残念だけど、俺には『壊して』って言ってるようにしか聞こえないなぁ♡♡♡ せっかくだから、何分継続してイけるか実験してみる？♡♡ 奥のほうだと気持ちいいのも長く続くみたいだし……♡ ふたつの意味で深くイけたら最高だと思わない？♡♡」

　油断していれば、再び暴力的な快楽を与える算段を立てて、直ちに実行に移す。優しいのに意地悪で、意地悪なのに優しいこのひとへの愛が止まらない。
　
「やぁっっ♡♡ もう十分だから♡♡ 気持ちいいから♡ これ以上深くなんてしなくていいの……♡ ぁっ♡♡ あぁぁ♡♡ そこ違う♡ はいっちゃだめなとこきちゃってる♡♡ ふかい……♡ ふかいよ…………っ♡ らめぇっっ♡ らめらの♡♡ 子宮の位置変わっちゃうぅっ♡♡」

　ベッドに磔にされているかのような責め苦を受け、男女の関係になって間もない頃の記憶が掘り起こされる。

　初めて彼を受け入れるとき、十分に慣らしてもらったにもかかわらず、あまりの圧迫感に呼吸の仕方を忘れかけてしまったことも。
　
　男性経験がないわけではなかったけれど、それまでの人たちとは明らかに異なる威容に視覚も内臓も圧倒されてしまったけれど、き・ち・ん・と・苦・し・い・と・感・じ・た・のは最初の数回きりで、長時間にわたる前戯に身も心も蕩かされ、すぐに快感を拾えるようになったことも。