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HONEY BUNNY
HONEY BUNNY<CXLVII>
しおりを挟む「もしかして、泣いちゃったから……そのとき?」
「どうだったかなぁ♡♡ でも、確かに俺はきみの泣き顔が好きだし、べそべそ泣いてるの見て興奮しちゃってたから、そうかもね♡ なんてかわいいんだろうって、いつまでも見てたいなぁって……♡♡」
剥き出しの嗜虐心を乗せ、口端が吊り上がった。
その顔を向けられると、わたしはあなたに支配されることを望んでしまう。
「でも、悲しい涙ばっかり流させるのも良心が咎めるというか、流石にそこまで難のある性格してないっていうか……。いや、きみが絡むとわりと病んでる奴になる自覚はあるけどね? 同じ『なく』でも、どうせなら『啼いて』もらったほうがいいなぁと思ってさ♡♡」
彼は涙の通った跡を撫でたあと、顎を伝って喉元に手を置く。
「それって…………」
会話では見えるはずのない漢字変換がちらついてどきっとしたけれど、組み敷かれている以上、どこにも逃げ場はなかった。
「そう♡♡ 早い話が啼かせたくなっちゃったんだよね♡ ねぇ……♡ 早くきみのこと、かわいがらせてよ♡♡」
彼は顔中にキスを降らせて搔き口説いてくる。
美女といってもまかり通ってしまいそうな可憐な風貌からぽんぽん出てくるのは、男性的でストレートな欲望だった。見慣れているはずなのに、いまだに混乱してしまう。
「待ってって言ってるのに……♡ そんなにわたしのこと抱きたいの?♡♡」
彼自身を下から掬うようにすりすりさすって、探るついでにささやかなアピール。本当はもう待ってくれなくたっていい。
「抱きたいよ♡♡ でも、性欲だけじゃない。『死んでからも永遠に俺がきみのものだ』って証明できる方法はいまのところ思いつかないけど、もし二度と朝を迎えられなかったとしても悔いが残らないくらい、たっぷり愛してあげることなら俺にもできると思ってさ♡♡ そんなのじゃ、なんの慰めにもならないかもしれないけどね」
「『あなたにもできる』んじゃなくて……それは『あなたにしかできない』ことだよ?♡♡」
憂いを含んだ彼の頬をそっと両手で挟んで、短いキスと一緒に伝える。
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