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HONEY BUNNY

HONEY BUNNY<CXXVII>

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「了解♡ それにしても、そっか……。きみも俺とおんなじか……」

 彼はしみじみと噛み締めるように呟き、頭を撫でてきた。

 色っぽい雰囲気は一瞬にして消え去ってしまったけれど、子ども扱いされているわけではないのだとわかったいまはなにも気にならない。

「おんなじ、って?」
 
「細かいところは違うけど、願い自体は一緒ってこと。きみ、もしかして俺が本気で赤ちゃん欲しがってると思ってた?」

「どっちかって言ったら欲しいほうなのかなぁって思ってたけど、違うの?」

「残念だけど、違うんだよ。確か昨日だったかな。どんな子が欲しいかって話したときに言わなかったっけ? 『どんな子でもいいし、本当はきみとふたりきりでいるのがいちばんいい』って♡」

 わたしにとっての世界でいちばん美しい顔が視界に広がり、鼻先が触れ合った。

「うん。言ってたね」

 調子を合わせてくれている可能性もあると話半分に聞いていたそれは、どうやら本心から出た言葉だったらしい。

「あれからまた考えてみたけど、やっぱり同じ気持ちだよ。きみとも、あのときの俺ともね」

 彼は内緒話をするときのように唇の前で人差し指を立てる。

「そっかぁ。えっと……。あなたはどうしてわたしとふたりでいたいって思うの?♡」

 胸と喉を焼いてしまいそうなほど甘い台詞を期待して、あざとく首を傾げた。

「きみとふたりでいたい理由?」

 サイドの髪も耳にかけて、答えを受け取る準備は万端だったのに、彼はわたしと同じ角度に首を傾けたかと思うと、次の瞬間には口を塞いできた。

「ん……っ!」

 執拗にわたしの舌を追い回す彼は水を得た魚のようで、目を爛々と輝かせて無声の駆け引きを楽しんでいる。
 
「…………さっきさ、きみは『なにをしても俺がきみのものになった感じがしない』って言ってたけど、やっぱり俺も、いまもきみを俺のものにできたとは思えなくて……」

 そのまま有耶無耶にされてしまうかと思ったけれど、しばらくののち、彼は静かに語り出した。
 
「いましてくれたキス、魂抜かれちゃうかなってくらいすごかったのに……♡」

 すべて奪い尽くされそうなキスの洗礼を受け、舌足らずにそう返せば、彼は妙にさわやかな笑顔を見せて。

「きみって俺を喜ばせる天才だよね♡♡ 言い方も言い回しもいちいちかわいくてさ♡♡」
 
「……っ♡ そんなにわたしのこと好き?」

 上擦った声でわかりきったことを訊いてしまったのは、話題を戻すためではなく、きっと照れ隠しだった。
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