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HONEY BUNNY
HONEY BUNNY<LXXXVIII>
しおりを挟む「半分……っていうと?」
抜け出たままの形の手の中にもう一度自分の手を潜り込ませると、彼はそれをしっかり包み込んでくれた。
「えっとね、今年のクリスマスプレゼントはふたりで過ごす二日間に決めたでしょ?」
「そうだね」
「そのときのこと、あなたは覚えてる?」
と問いかけると、彼は少し考えてから話し出した。
「あの日、確かきみは『今日よりいっぱいしたい』って言ってたね。俺がそれに便乗して『二日間』みたいな感じになったんだっけ? お互いへのプレゼントってことで」
近頃、輪をかけて多忙にしている彼とふたりで過ごす時間を少しでも増やしたかった。
広いベッドのすぐ隣にはそこで寝ていた形跡があるのに目が覚めるともう出掛けてしまったあとで、眠る前にひと目顔を見たいと夜更かししていても寝落ちしてしまう。
まったく触れ合いがなかったわけではなかった。しかし、ここ一ヶ月ほどはそういった調子で、包み隠さずに言えば、彼の肌のぬくもりが恋しくて狂いそうだった。
避妊具をふたりを隔てる壁のように感じてしまっていたことも、それとまったく無関係だとは思えない。
「そう。だからね、二十五日が終わるまでは今日何回もしたみたいな子作りえっち、たくさんシよ……?♡ わたしのこと本気で妊娠させるつもりでたくさん愛してほしいの♡♡ もしそれでデキなかったら、『いまのわたしたちにとっては、親になるよりもふたりでいることのほうが幸せなのかも』って考えて、次また赤ちゃんが欲しくなったときまでちゃんと避妊する……っていうのはどうかな?」
どんな言葉で修飾したって、その場の快楽や気分、欲求といったものに負けた自分を正当化するための後付けか、あるいは贖罪なのかもしれない。ただ、逃げでもなんでも、これがいまのわたしに出せる唯一の解だった。
「こんなの、全然考えて選んだうちに入らないかもしれないけど……」
弱々しい声で付け足すと、彼は大きく首を横に振って力いっぱいに抱き締めてくれた。
「そんなことないよ。俺には思いつかなかったし、きみが自分で辿り着いた答えだ。いっぱい考えて悩んでくれたんだね……。いちばんいい落としどころなんじゃないかな。すごくいい案だと思うし、異論はないよ」
あっさり了承され、胸のつかえが下りる。
「……本当に? あなたは本当にそう思ってる?」
さっさとこの重苦しい話題を終わらせて秘め事の続きに耽っても構わないはずなのにわざわざ蒸し返して、何度も肯定の言葉を欲しがって。
「もちろん。俺はきみのことをかわいがれるなら、なんだって構わないし♡♡」
常に注がれる完璧な愛を試しているのを知ってなお、あなたはわたしの不健康で依存的な愛を名誉のごとく受け取るの。
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