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HONEY BUNNY
HONEY BUNNY<LXX>
しおりを挟む「ゃ……っ、ああっ♡ そう♡ そうなの♡ 奥とんとんってされるの好きぃ……♡♡」
脳天まで突き抜ける振動に口元がだらしなく綻んでいったけれど、ただ開けているだけではもったいない。誤って舌を噛まないように注意しつつ、感じたままを言葉に乗せる。
鼻にかかった声は別人のようでぎょっとしたけれど、彼はわたしが声を上げるたびに声を上げるたびに笑みを深めていく。
「はぁ……っ♡ ほんとにここではする予定なかったけど、してみると最高だね♡ すぐ目の前にはきみのかわいいお顔があるし、鏡には綺麗な背中も、ウエストがきゅってくびれてるのも……ハートを逆さまにしたみたいなふかふかのお尻も、ぜーんぶがばっちり映ってて、ほんっとに贅沢♡♡」
他の人に言われていたら美辞麗句だと一蹴していたであろう言葉も、彼の紡いだものだというだけで素直に受け取ることができるけれど、俎上に載せた部位に実際に触れられながら褒められるというのはどうにも落ち着かなかった。
「……ぁ、んっ♡ や、ああっ♡♡」
「綺麗……♡♡」
と聞こえるか聞こえないかの声で言った彼はわたしを揺らすだけでは飽き足らず、他の角度からも存分に辱めてくる。視線を受けた場所は日焼けをしたあとのようにひりひりして、繋がっている場所にも負けないくらいの熱を持っていた。
「ちょっとだけならいいけど、鏡ばっかりじゃなくてわたしのこともちゃんと見ててね?」
彼の注意をこちらへ向けるために無駄な肉のついていない頬を両手で挟んだ。妬心を再燃させたように見せかけたけれど、本当は自分からは見えない背面の様子をリポートされ、照れてしまっていただけだ。
「また鏡にやきもち?♡ ……じゃないよね。後ろ姿見られてるのが恥ずかしくなってきちゃったのかな♡♡」
「そうだよ。どうしてあなたにはなんでもすぐにわかっちゃうの……?」
わたしのすべてが視えているのではないかと疑ってしまう瞳を覗き込んでも答えなんて見つかるはずもなく、高い鼻がわたしのそれに当てられる。たったそれだけのアクションには、たったいま向けた疑惑の目線を恥じてしまうほどに慈しみが詰め込まれていた。
「なんでだろうね?♡ 愛の力かな♡♡ でも、きみが見られたくないレベルで恥ずかしいって言うんだったら、見ないようにもできるよ?♡ そのほうがいい?」
「別にそこまでしてもらわなくても……」
すんなりと要望の通りそうな気配を察し、警戒心をそっと手繰り寄せる。こういうときは大抵、彼の側でもなにか明確な意図があって提案しているのだということは学習済みだった。
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