136 / 533
HONEY BUNNY
HONEY BUNNY<L>
しおりを挟む「気持ちよくなっちゃうと、このあとお返しにあなたのこと洗えなくなっちゃうから……えっと、なるべくお手柔らかにお願いしたいなぁ、って」
これ幸いと寄せられた耳に向かってこしょこしょ耳打ちする。とても刺せたものではないへなちょこな釘だったかもしれないけれど、彼にはあざといくらいの物言いがよく効くと心得ていたから。
「なんだ、そんなことか♡ かしこまって言わなくてもいいのに♡♡」
目論見どおり、彼は上機嫌でわたしの髪のブラッシングを始めた。
「それでも、わたしにとっては死活問題だから……お願いね?」
「確かに、きみのことふにゃんふにゃんにしちゃったら洗ってもらえないもんね。楽しみが減っちゃうし、そのためにも気合い入れて我慢しないと」
「『気合い入れて我慢する』ってちょっと面白いね。初めて聞いたかも?」
「そう? 俺、一緒にお風呂入るとき大体そんな感じだよ」
そのあとは、いつもと同じように洗髪してもらい、終わったタイミングであることを持ちかけてみた。
「……さっき、洗ってるときはえっちな触り方しちゃだめって言ったけど、あとでだったらしてほしいくらいなの。わたしがあなたのこと洗い終わったら、いっぱい触ってくれる?」
か細い声は頼りなかったけれど、なんとか最後まで言い切れた。頭皮と一緒に心もほぐされて、一時的に開放的になっているのかなぁ……なんて考えていたら、どこからともなくいい香りがしてきた。ここに来てすぐに漂ってきた、あの不思議な香りだ。
「喜んで♡♡ きみからそんなこと言ってくるなんて珍しいね♡」
見ると、彼は鼻歌を歌いながら見事な泡を作っている。近くには先ほどシャンプーラックに見つけた新入りとおぼしき容器。あれはボディソープだったのか。
「なんだか、すごく……触ってほしい気分で……♡♡ あんなにいっぱいしてもらったのに、まだ足りないなんて恥ずかしいんだけど…………」
そんなことを考えているうちにも、お香を立てているようなえもいわれぬ香りは浴室中に満ちていく。知覚するのが遅れただけで、かなり前からこの香りに包まれていたのかもしれない。
「きみのそれは計算……なんかじゃないよね。天然でこんなにかわいいんだからかなわないよ。どこまで俺のこと振り回してくれるんだろう♡♡」
お湯から上がってもカラダは熱を持ったまま。保温容器にでもなった気分だ。彼の立てた泡よりふわふわになってしまった頭では原因究明も儘ならない。わたしは火照るカラダのみならず、あとからあとから湧き上がってくる底無しの欲望さえも、のぼせによるものだと思い込んでいた。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる