我々はうさぎではないので、乙女座の我が子にはまだ巡り逢えない

HUNNY BUNNY

HUNNY BUNNY<XXIV>

「……そう、なのかも？」

「うん、そういうことにしちゃおうよ♡ それにさ、きみだって俺に相当甘いよ？　いま喋った内容だって、他の人なら詭弁だなんだ言って相手にしてくれないんじゃないかな。……まぁ、それはともかくだ。俺も性格的にもあんまりスパルタ向きじゃないし、きみをべったべたに甘やかすのは生き甲斐っていってもいいくらいなんだよ」

「生き甲斐……」

　あくまでわたしのためではなく、彼がしたくてしていることなのだと言いたいらしい。

「うん。だから、きみを甘やかす口実……俺にちょうだい？♡」

　じりじりと迫ってくる美貌。『美しすぎる顔面の圧は思いの外強い』ということも彼に教わったことのうちのひとつだ。好きな人の顔は美醜の如何に拘わらず眩しいのに、想い人が桁外れに容姿の整ったひとであればなおのこと。そのうえ、甘えた声でねだられて拒否できる人がいるのなら、ぜひともお目にかかりたいものだ。
　
「あなたってほんと交渉の天才だよね。わたしが断るはずないってわかってて言うんだもん。……ずるいなぁ」

「まぁね。多少ずるい言い方はするよ。それで……お許しはいただけないのかな？」

　抜け目のなさに笑顔が零れる。先ほど返事を迫ったわたしに似せて許可をもぎ取ろうとしているのも、かわいくて仕方ない。

「いいよ？　わたしのこと、好きなだけ甘やかして♡♡」

「よかった。これで心置きなくかわいがれるよ」

「……もしかして、あれでも遠慮してたの？」　
　
「『あれでも』とは心外だなぁ。そのとおりだけどね。自分でもこれ以上甘々になんてなれるかはわからないけど……まぁやってみるさ。甘やかし方にもい・ろ・い・ろ・あるからね♡♡」

「ひゃっ♡」

　背筋をなぞられ、びくりとするわたしを得意げに見つめる彼は強者の余裕に浸っている。
　
「ああ、それともうひとつ。きみは自分を重い女だって言ってたけどさ、ここにもうひとり重い男がいるんだよね。俺の愛の重さ、舐めてもらっちゃ困るなぁ……♡ もし、きみが息もできなくなるくらい俺に溺れてくれたら……それ以外なにもいらないかも♡♡ 相当でしょ、俺は俺で」

　身動きも取れないほどきつく抱き締められた。特別華奢なほうだとは思わないが、彼の身体にすっぽり包まれて、わたしも彼の性器を締め付けてしまう。体格差を感じてときめく以上に、どこもかしこもフィットしている事実に嬉しくなる。