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ホーリーナイト・セレナーデ
ホーリー・ナイト・セレナーデ<Ⅺ>
しおりを挟む「ん、ふ……ぁあっ♡♡ 次は、なにを答えたらいい……っ?」
愛しいひとにぐしゃぐしゃの顔を向け、媚を多分に含んだ声で尋ねる。
「ええと……傷を抉るようで悪いけど、いちばんつらかったことってなんだった?」
抱き締める彼の腕に力がこもる。聡明なあなたの頭には、何通りもの予想が大渋滞してしまっているのだろう。湧き上がる怒りをやっとのことで噛み殺して、平静を装ってくれていることがわかった。
「そう、だなぁ……。ほとんどなにもしないまま挿れられたこと……? 全然濡れてなかったから痛かったし、『その人にとって、わたしは性欲の捌け口でしかないんだろう』って思っちゃったのもダメージ大きくて」
「なにそれ。ほんっと腹立つなぁ……。相手が誰だろうと許されることじゃないけど、きみに対して平気でそんなことをした最低野郎がのうのうと生きてると思うとさ…………って、ごめんごめん。俺が怖がらせてどうするって話だな。でも、どうせなにも覚えてないうえに反省もしてないだろうし。まったく……そいつの汚いブツ、ちょん切ってやりたいね」
冗談めかしているけれど、引き攣った笑みと突如としてなくなった抑揚が、いましがた呟いていた報復をも実行しかねない不穏さを掻き立てていた。
「っていっても、そんなことするわけにもいかないし。うーん…………」
ぱっと消えた禍々しい雰囲気に安堵したわたしは、あることに気付く。
「いっぱい悩んでくれて、ありがとね? だけど、これはあなたには絶対再現できないよ……」
「不可能? 確かにどんな理由があっても、ろくに慣らしもしないできみに挿れるのは抵抗があるけど、必要ならしてみせるよ。あー、でもやっぱりなぁ……。傷つける可能性が少しでもあることはなにひとつしたくないし、ローションはたっぷり使うけどね。……って、それじゃ意味なくなっちゃうかな?」
「……ふふ、ありがとう。あなたはそういうひとだよね。だけど、そういうことじゃなくて……」
あまりにも彼らしい思いやりに満ちた案に愛しさが込み上げて、腹部に回されたままの腕をきゅっと握る。
「わたし、直接いじられなくても、あなたとなら少しキスしただけで濡れちゃうから……前戯なしでも、そんなにつらくないと思う、よ? 他のところ触ってもらえないのはすごく残念だけど……」
その言葉を受け、油断しきった陰核に指が伸ばされた。上下に軽く擦られているだけなのに、自分でいじるのとは訳が違う。その指が彼のものであることに意味がある。
「ゃっ♡」
「濡れやすいのは気付いてたけど、てっきりそういう体質なのかと思ってたよ。違ったんだ?」
そこかしこに彼の視線を感じる。素直に感じているさまを凝視しているのだろうか。いつもなら『あまり見ないでほしい』と思うし、やんわりと伝えるところだが……『見てほしい』と思ってしまっている。
「うん、あなただからだよ。そばにいるだけでとろとろって溢れてきちゃうこともあるくらい……。好きすぎてカラダが勝手に反応しちゃうの」
彼に出会うまでは不感症だと思い込んでいた。初めて夜を共にした際も、彼にはそう告げていたと記憶している。いざ始まってみれば、緊張で強張っていたはずの身体は優しい手解きを受け、瞬く間に溶かされていた。そして事が終わったあと、感動と羞恥でパンクしてしまったわたしを、彼は腕に抱いたまま寝かしつけてくれたのだった。
初回だから特別丁重に扱ってくれたというわけではなく、幾度夜を重ねても細やかな気遣いを欠かさない……。それまで付き合ってきた元カレたちとは明らかに違う彼になら身も心も委ねられるとリラックスして行為に臨めるようになった結果、いまのわたしがある。
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